守田です(20181224 22:00)

映画「ほたるの川のまもりびと」の映評の続きです。
先にこの記事の前半である「明日に向けて(1634)映画「ほたるの川のまもりびと」超おススメです!ぜひ観て下さい!(京都は28日まで!)」を読んでいただけると嬉しいです。
今回も記事をご紹介する前に、この映画の予告編をご紹介しておきます。ぜひこれも先に観て下さい。2分11秒と短いですが映画のエッセンスがばっちり詰まっています!

劇場版「ほたるの川のまもりびと」 予告編
https://www.youtube.com/watch?v=rk5fz8002Tg

● ひょっとしたら僕も少しは川原(こうばる)にも貢献できたかも

さらに映画を観ながら思ったのは、不遜かもしれなけれど、「ひょっとしたら僕らの頑張りもこの川原の頑張りにも貢献できたかもな」ということでした。
というのは当時、三里塚農民は闘争を「全国住民運動の総本山」と捉え、「三里塚が負ければ全国住民が苦しい思いをする。だからここで国家権力の横暴を食い止めるのだ」と訴えていました。
そんなこと言われたら胸がキューンとなってしまうじゃないですか!僕らは農民たちの思いに応えようと燃えに燃えました。

そして1978年3月26日、僕にとってはちょうど高校の卒業式を終えたばかりでしたが、時の自民党福田政権が年度内強行開港を狙ったことに対し「三里塚闘争に連帯する会」の多くの人々が空港を包囲し、突入し、管制塔を占拠して壊し、開港を阻んでしまった。
僕もそのたくさんの人々の中にいました。あのとき全国住民運動の総本山としてたたかう農民たちの助っ人として、僕らは三里塚の大地をかけ、機動隊と奮戦しました。そうして勝ってしまった!まさかの「勝ち」でした!
僕の中にはあの時のことがいまも胸に宿っています。「民衆が団結すれば国家権力にだって勝てる!」。僕はそれを18の春に経験しました。

実は三里塚闘争はここから大きく曲がり角を迎えていきます。というのは民衆によって開港を実力阻止された政府が、従来の機動隊を前面にたてた暴力一辺倒のあり方を政府なりに反省し、「話し合い路線」に転換したからです。
結果的に三里塚闘争はこの政府の方針転換にうまく対応できず、「話し合い」攻勢の中で手ひどく分裂させられ、多くの農民が去る結果をもたらしてしまいました。それどころか支援党派の間で、あまりに不毛な内ゲバも行われてしまった。
その点で1983年の分裂以降の歴史を振り返ると苦い思いがいっぱいでてくるのですが、しかしこのように機動隊を前面に押し立てたやり方を思いとどまらせたことは、少なからず全国の運動現場にも影響したと僕は思うし、それはいまもそうだと思います。

つまり成田の現場では運動は残念な混迷にも入っていったのだけれど、しかし国家権力の暴力を三里塚闘争がかなり弱めさせたのは間違いないと僕には思えるのです。
そしてその同時代に川原の運動も行われていた。僕は一度も川原に行ったことはないけれども、しかし同時代に生き、同じ国家権力の総力をあげた事業に立ち向かうことで、一緒に奮闘できていたと思うのです。

● 56年間の奮闘、団結の保持にただただ拍手を贈ります!

ただし懐かしさはここまでで、この運動はそのまま今日まで続けられてきているところが本当に素晴らしい。56年間、抵抗を続けられている。56年間、団結を守り続けている。すごい。素晴らしい。
映画の題名は「ほたるの川のまもりびと」で、とてもセンスが良いし、実際にたくさんの蛍による美しい舞も撮られているのですが、僕は同時にこれこそは「民主主義の守りびと」「人権のまもりびと」だと思います。
人としての真っ当な思いを掲げ、圧政に屈せずに団結を守り抜く。そうして営々たる抵抗を貫き、美しい大地を守り通す。口で言うのは簡単ですがとても難しいことです。何より団結を保つのが一番難しい。

でもそれをやり遂げいくと、無上の楽しさが得られ、笑いが込み上げてくるのです。
そんなことをもう56年も奇跡のように続け、美しい川原を守り続けてきた人々に心の底から拍手を贈りたいです。

みなさん。僕のこの映評はちょっと偏っているかもだけれど、ぜひこの映画をご覧になってください。
こうやってこの国の自然と人権は守られてきたのです。それを担う人々の本当に素敵なあり方にぜひ触れてください!

● 各地のスケジュール

京都市では「京都シネマ」で12月28日(金)まで上映しています。
毎日18時45分から20時15分までです。
http://www.kyotocinema.jp/index.php

大阪市では第七芸術劇場で2019年3月16日(土)~3月25日(金)までです。
http://www.nanagei.com/movie/next.html

その他の各地での上映情報を記したページを記載しておきます。
https://hotaruriver.net/theaters/

連載終わり