守田です(20181121 16:00)

● 23日(金)に鳥取県境港市の夢みなとタワーでお話します

講演タイトルは 「地震・津波・台風・大雪、そして・・・原発からのいのちの守り方」。
主催は「原子力防災を考える県民の会」で13時半から16時までです。チラシを紹介しておきます。

境港市での講演は2回目になります。前回は2016年10月8日でした。
今回の講演は鳥取県が島根県とともに安定ヨウ素剤の30キロ圏内までの希望者への配布に踏み切り、説明会と配布が行われてきた中で行うものとなります。

● 島根原発は危険な地震地帯に立地している

島根原発が立地している松江市の地下には「宍道断層」が走っているのですが、この断層、1998年は福原町から尾坂まで8キロとされていたのに2004年に10キロになり、2008年には22キロとなっています。
もちろん断層そのものが成長しているわけではなく、後から発見されて「長く」なってきたのです。一部の学者さんたちは「断層は30キロ以上ある」とも主張していますが、断層の長さは地震の大きさに直結します。

これだけでも危険なことは明らかですが、近年、山陰地方に大きな「ひずみ集中帯」があることも分かってきました。
「ひずみ集中帯」とは南海トラフで列島の乗ったユーラシアプレートが海側からやってくるフィリピン海プレートに押されてひずみが生じ、エネルギーが溜まって地震が頻発する地帯です。
最近でも2016年10月21日に「鳥取中部地震(M6.6)」が起こりました。これらからここで原発を動かすことなど自殺行為でしかないのです。

● 再稼働を止める努力をしつつ災害対策も進めよう!

原子力災害対策を考える時、一番大事なのは原発を動かさないこと。正しい対策はこれしかないです。事故の時にすべての人が確実に被曝を避ける道などないからです。
ではなぜそれ以外の対策を進める必要があるのかというと、すでに9基が動かされてしまっているし、今後も動かされるかもしれないからです。
動いている以上、深刻な事故を起こす可能性があるので少しでも被害を減らすために備えをしなくてはです。

対策の骨子は一にも二にも「とっとと逃げる」こと。原発事故は一度始まったらどこまで拡大するか分からない。だから可能な限り原発から遠くに逃げた方がいい。
そのためにはあらかじめ逃げる想定をしておくことが大切です。そうでないといざとなると「逃げなくていい口実」を探してもしまいがちだからです。
そんなときに「俄かに健康に被害はない」とか言われると不安定な心理に付け込まれて安心してしまいかねない。だから常日頃から「とっとと逃げる」心構えを作っておくことが必要です。なお篠山市のハンドブックからこの点をご紹介します。

● 安定ヨウ素剤事前配布の意義

この際、安定ヨウ素剤を飲んで逃げることが大事。早い段階で原子炉から飛び出してくる放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれ、被曝することを防ぐためにです。
日本は海産物が多いので、住民は日常的に自然界の安全なヨウ素を摂取していて、甲状腺の中は8割から9割は埋まっていますが、その残りを薬で満たし、放射性ヨウ素の取り込みを防ぐのです。
ただし防げるのは放射性ヨウ素だけ。他の放射能も間違いなく飛んできますから、同時に「とっとと逃げる」べきです。

なぜ事前配布が必要か。一つに事故が起こった混乱状態の中で配ることは困難で、間に合わない可能性も高いからです。
二つに市役所の側も仕事をあらかじめ減らして違うことに力を振り向ける余裕がもてるし、放射能が降る中で住民に薬を配りにいった職員が被曝する可能性も減らせます。
さらに大事なのは、さまざまな薬害が起こっているため、多くの方が効能と副作用についての事前説明を受けていないと飲めないこともあります。だから事前配布でこそ十分な効果が期待できるのです。この点も篠山市のハンドブックから紹介します。

● 昆布は大量に煮だせば代用できるけれども食べない方がいい

安定ヨウ素剤を得られないときに昆布で代用できるのでは?という声もあります。確かに煮だして飲むことで代用できますが、真昆布40グラムは必要です。通常だと味噌汁20杯ぐらいになるでしょうか。
これを煮詰めればヨウ素は煮汁に95%移行するので代用になります。しかし昆布は緊急時は食べない方がいい。消化がよくなくて、お年寄りの場合、腸閉塞を起こすこともあるからです。
また毎日、昆布などを使った料理を食していてもヨウ素は日々消費されるのでいつも隙間はあり被曝防護のためには十分とは言えない。やはり薬を飲んで隙間を埋めるのが一番手軽で確実です。

以上、地震のこととと安定ヨウ素剤のことにフォーカスしてアウトラインを書きましたが、講演では被曝の危険性を過小評価するあらゆる騙しにひっかからないことや被曝の避け方もお話します。
山陰地方の方、ぜひお越しください!