守田です(20180719 18:00)
● 豪雨災害の死者は223人
豪雨災害での死者が223人まで増えました。
19日までの警察庁のまとめでは内訳は多い順に広島112人、岡山61人、愛媛26人、京都5人、山口、高知、福岡各3人、兵庫、佐賀、鹿児島各2人、岐阜、滋賀、鳥取、宮崎各1人です。
安否不明者は共同通信のまとめで15人。広島8人、岡山3人、愛媛2人、大阪、奈良各1人です。
● 劣悪な避難所
さて避難生活を送っている方の数は総務省消防庁の発表で、18日午後8時現在、16府県で約4700人。ただしこの数は公的に開設された避難所での数だと思われますが、問題なのは、明日に向けて(1552)でも記したように日本の避難所はあまりに劣悪なことです。
前回もこの点を鋭く指摘した大前治弁護士の論稿を紹介しましたが、今回はその後半部分について論じたいと思います。
自然災害大国の避難が「体育館生活」であることへの大きな違和感 避難者支援の貧困を考える
20180710 大前治弁護士 現代ビジネスネット版
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56477
● 国連・難民キャンプ開設基準を下回る日本の避難所
大前さんがここで指摘されているのが、なんと日本の体育館などの避難所が、国連が定めている難民キャンプ開設の際の水準を大幅に下回っていることです。
災害や紛争時の避難所について、国際赤十字が以下の点を最低基準(スフィア基準)として提唱しているのだそうです。
・世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する
・1人あたり3.5平方メートルの広さで、覆いのある空間を確保する
・最適な快適温度、換気と保護を提供する
・トイレは20人に1つ以上。男女別で使えること
しかもトイレの数は男女の数が1対1なら1対3にしなければならないとされている。それで平等な数が確保されるからです。
● 国連の基準は「ガイドライン」ではなく「最低基準」
さらに大切なのはこれは単なる避難所建設のガイドラインではなく、正式な題名が「人道憲章と人道対応に関する最低基準」とされていること、人権を守るために最低これが必要だ!と世界に向けて発信されていることです。
以下のように書かれているそうです。
*災害や紛争の避難者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある。
*避難者への支援については、第一にその国の国家に役割と責任がある。
(国際赤十字・スフィア基準「人道憲章」より)
● NHKでも取り上げられた国連基準(スフィア基準)
なおスフィア基準についてはNHKも本年5月1日にWEB特集で取り上げていました。大変参考になるのでこちらもご覧ください。
避難所の女性トイレは男性の3倍必要~命を守る「スフィア基準」
NHK NWES WEB 2018年5月1日 https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0501.html
● 体育館の避難所は人権侵害!
これらを読んで、僕は率直に言って恥ずかしく思いました。いままで自分がこうした観点に十分に立ちきってきたとは言えず、体育館の避難所を見て改善の余地を強く感じではきたけれど、明らかなる人権侵害とは言ってこなかったからです。
国が役割と責任を果たしていないこともきちんと追及してこれなかった。つまり残念ながらそれだけ僕の人権意識は劣っていたということです。
● 私たちの課題
今回、多くのみなさんと一緒にこの点を越えていきたいです。
この国で私たちが享受できる人権、子どもたち、孫たち、未来世代に手渡していく人権をもっと輝かしいものにしていくために、私たちはこの点を大きく超え、この国の避難所をせめて国連水準にまで引き上げる必要があります。
それらを経つつ、南海トラフ地震や中央構造線・ひずみ集中帯での地震、さらなる豪雨などに立ち向かっていくのです。
避難所と私たちの人権の進化をみんなで実現しましょう!
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