守田です。(20151217 00:30)
今宵はもう一本記事をアップします。
さきほど高浜原発再稼働反対全国署名のお願をアップしましたが、高浜原発の再稼働と川内原発の再稼働にはその危険性において大きなつながりがあります。
これらについてこの間最も的確な指摘をしてこられたのは、元東芝の格納容器設計者の後藤政志さんですが、すでにお伝えしているように本日17日午後2時より、京都市内でその後藤さんのお話を聞く会を行います。
可能な方はぜひお越しいただきたいと思いますし、IWJの萩原さんが中継してくださいますので、ぜひネットでもご覧になって欲しいと思います。
以下にFacebookイベントページをご紹介しておきます。
後藤政志さんに聞く高浜原発再稼働の危険性
・・・守田敏也がインタビュー形式でお尋ねします!
https://www.facebook.com/events/145470422484021/
川内・高浜原発再稼働の問題点は、大きくは次の4つのポイントがあげられます。
1、再稼働の前提になっている新規制基準が「重大事故」=過酷事故を前提にしていること。
2、加圧水型原発の新たな事故対策そのものにも大きな危険性が含まれていること。
3、加圧水型原発は蒸気発生器の欠陥を克服できていないこと。
4、実効性のある避難計画がまったく作られていなこと。
1、原子力規制庁が出した原発再稼働に向けた新規制基準では、「重大事故」=過酷事故を絶対に起こさないことを求めてはおらず、起こった時の対策を求めています。
しかしこれは大きな論理矛盾です。過酷事故とは設計士の想定がすべて突破されて安全装置が働かずに放射能が環境中に飛び出してくる事故のことです。想定外の事故なのです。本来、想定外のことに備えるということ自身に矛盾があります。
またこれらは福島原発事故の教訓を踏まえたとされていますが、そもそも福島原発事故はいまだに収束しておらず、何が起こってきたのかもまだつかめていないのであって「教訓」の反映などできようがないのです。
2、その上で新たに施された加圧水型原発に対する事故対策としてもさまざまに誤りがあります。
中でも顕著なのは水素爆発の可能性に対する対策です。加圧水型原発は沸騰水型原発と違って内部に窒素を充填しておらず、重大事故の際に水素がたまりやすいのですが、これに対してイグナイタが付けられています。
水素が危険な濃度に溜まる前に着火して燃やしてしまう装置ですが、もしこの装置自身が故障していたらどうなるのか。しかも何度目かでようやく着火に成功した場合、すでに危険濃度にまで水素が溜まっていればかえって自爆装置になってしまいます。
3、しかも加圧水型原発は加圧されて150気圧300度でまわっている一次冷却水の温度を二次冷却水に伝え、蒸気を発生されてタービンを回す「蒸気発生器」に構造的な欠陥を抱えています。
このためメーカーの三菱重工は何度もこの装置の改良を試みてきましたが、その最新型が2010年代にアメリカのサンオノフレ原発で事故を起こしてしまい、同原発は廃炉に至ってしまいました。
川内原発1号機はこの最新型をつけて再稼働したので危険であり、2号機は直前で最新型への交換を止め、旧来の取り換えが必要と認識された旧型で再稼働したので危険です。高浜原発も同じ致命的な欠陥を有しています。
4、さらに実効性のある避難計画は川内原発に続いて高浜原発の場合もまったく作られていません。
事故が起これば最も過酷な立場に置かれる医療・介護施設などはまったく対策がなされておらず、安定ヨウ素剤の配布などもなされていません。
この点からも再稼働はまったく認められません。
以上がポイントになりますが、後藤さんにお話を聞く企画に向けて、あらかじめここでこれまで「明日に向けて」でお伝えしてきた情報を再掲しておきたいと思います。後藤政志さんはとくにこの間、前述の1と2のポイントについて詳しくお話してくださって
います。その中でもとくに重要なのは本年1月に薩摩川内市で行った以下の講演です。
後藤政志(工学博士)川内原発が溶け落ちるとき~元・原子炉格納容器設計者が問う原発再稼働~
2015年1月31日 薩摩川内市まごころ文学館にて講演
https://www.youtube.com/watch?v=4QEwDJhrwFE&feature=youtu.be
ぜひこれをじっくりと見られることを強くお勧めします。また同時にこの講演に触発されるとともに、原子力規制庁が3月3日から高浜町のケーブルテレビで始めた新規制基準の説明ビデオにも刺激されて、本年3月に以下のように記事を連投しましたので紹介し
ておきます。
川内・高浜と続いている再稼働の動きへのそれぞれに的確な批判となっていると自負していますのでぜひお読み下さい。
明日に向けて(1060)あまりに杜撰な川内原発工事認可申請(後藤政志さん談)
2015年3月24日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0870cd08844d3d12e17ae6345ae8b79b
明日に向けて(1062)原発再稼働に向けた新規制基準は大事故を前提にしている!
2015年3月28日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3d3e4b0cb07ae7a68734a3b52c9c693f
明日に向けて(1063)福島の教訓に基づく重大事故対策などまだできるわけがない!
2015年3月29日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8718f402298f072498d32eb7f59478f8
明日に向けて(1064)原子力規制庁・新規制基準の断層と地震動想定のあやまり(後藤政志さん談)
2015年3月30日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/a3f0e8c33a857d8a36a56280845eedc1
明日に向けて(1065)新規制基準の重大事故対策はあまりに非現実的でむしろ危険だ!
2015年4月6日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/d4c8272d4c01e698efd2e68600b4b4af
明日に向けて(1075)川内原発再稼働も禁止すべきだ!~加圧水型原発事故対策の誤りを後藤政志さんに学ぶ~
2015年4月22日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9605e1dc395c1d33815861dad65ac36a
今回の後藤さんにお話を聞く会も事後的に内容を書き起こしてアップしたいと思いますが、これまでの記事を読んでいただいただけでもかなりの知識を得られると思います。
ぜひそれぞれをゆっくりと読まれてみてください。
できるだけ広範なみなさんで後藤さんの知恵をシェアし、賢くなりましょう。賢くなって、川内・高浜のみならずすべての原発の再稼働を食い止める力を高めていきましょう。