守田です。(20150304 12:00)

今週末に脱原発企画がひしめいています。
僕は6日午後に京都府綾部市の竹松うどん店さん、夕方に舞鶴市の西方寺ふれあい会館でお話し、7日に同じ舞鶴市で原発ゼロ京都北部集会に参加しますが、さらに8日に滋賀県東近江市でもお話します。
東近江市での集いは「でこ姉妹舎」さんが声掛けして下さいました。午前10時から東近江市の「たむたむ畑(ゆるママ)」で行います。詳しくは「でこ姉妹舎」さんにお尋ねください。(僕もたむたむ畑がどういう場か知りません。ワクワクしています)

でこ姉妹舎さんのFacebookページと、イベントページをご紹介しておきます。イベント詳細案内は末尾に貼り付けます。
https://www.facebook.com/dekosimaisha
https://www.facebook.com/events/401425040026014

さて今回のタイトルに掲げた「「テロ」と原発と食」については6日夕方の舞鶴市西方寺ふれあい会館でのお話会のお題ですが、8日の東近江市の企画でも、でこ姉妹舎さんからも中東問題と被曝問題のつながりを語って欲しいと頼まれました。
僕もまさにこの点を聞いていただきたい。そのためどんなお話をしようと思うか、あらかじめ概略を述べてみたいと思います。

「テロ」について。これは僕がお願いしてあえてテロではなく「テロ」と書かせていただいたものです。なぜって「テロ」という言葉、定義があいまいなままに、とにかく「卑劣な暴力行為」をひとくくりにする形で使われているからです。
しかし僕は中東の問題について「テロ」という言葉を使うなら、イラクの側に何の落ち度もなかったのに「大量破壊兵器を隠している」という理由で全面侵攻したイラク戦争こそが最大のテロだったと思います。イラク戦争は明確な戦争犯罪です。

パレスチナにもイスラエルによる「国家テロ」が、繰り返しかけられてきました。ガザへの軍事攻撃はその最たるものですが、今も続く経済封鎖も卑劣なテロ行為です。しかしこれらは「テロ」とは言われない。あまりに理不尽です。
IS(イスラミック・ステート)は、こうしたアメリカやイギリスが行ったイラク戦争や、パレスチナへの繰り返される暴力の中で作られたモンスターだとしかいいようがないと思います。

私たちにとって最も大事なことは、歴史的にこの米英を中心とするヨーロッパの中東への暴力のつらなりに、これまで常に距離をとってきたのが日本だったということです。
中東の人々にとって欧米はかつて自分たちを植民地支配していた人々であることに対して、日本は欧米の盟主のアメリカに原爆を投下されるなど、国内をめちゃくちゃにされながら、平和産業で復興してきた国というイメージを持たれてきました。

だから石油の安定確保もできたし、何より、争いを仲裁できる位置性も日本は持ってきました。それが戦後70年に私たちの国が築き上げてきた財産でした。
ところが好戦的な安倍首相が、これをすべて投げ棄ててしまおうとしています。その象徴として中東訪問であたかもISとの戦争を支援するかのような言動を発し、ISの態度を硬化させ、二人のみせしめ殺害という結果を招いてしまったのです。

今、私たちがなすべきことは、暴力の連鎖を断ち切るために努力することです。そのために私たちは、ISの残忍さだけでなく近代国家全体の残忍さを問題にすべきです。その中には南京大虐殺や軍隊「慰安婦」制度など日本の行った残忍さもあります。
さらに私たちは、被爆国として、アメリカが行った原爆投下の非人道性を、今こそさらに深める形で告発していく必要があります。その暴力が、イラク戦争などにも引き継がれてきているからです。

ここで暴力の問題は原発の問題と内部被曝の問題に深く重なっていきます。なぜかと言えば原発はもともと原爆の製造装置である原子炉の排熱を利用して発電につなげたものだからです。
その際、「原子力の平和利用」のために、放射線被曝の危険性、特に低線量被曝の危険性が隠されました。中心になったのが内部被曝隠しでした。

内部被曝はそもそも正確に測ることなどできないものです。放射線が身体の中の細胞のごくごく小さな点にあたり、壊滅的な作用をもたらしますが、そこに計測器などつけようがないからです。だから本来、管理もとても難しいのです。
私たちの身体はとても複雑で同じ打撃でも全く違う意味を持ちます。例えば針で身体を刺すのが被曝だとすると刺されるのがほっぺたと目の玉では全く違う意味があります。だからどこにどう被曝するか、被曝の具体性が分からないと被害影響が評価できないの

です。

実際に原爆においてもたくさんの人々が投下後に爆心地に近親者を探すために入り、放射性微粒子を吸い込んで内部被曝し、深刻な症状に陥りました。亡くなった方もたくさんいました。
ところがアメリカはこれらを一切なかったことにしてしまいました。深刻さを隠すと同時に、そもそもなかなか管理できない内部被曝に無視を決め込んだのです。その内部被曝被害を除外した被爆者データを使って放射線防護学が作られてしまった。

そのために今なお被曝の危険性が主に外部被曝で評価され、内部被曝の危険性が見過ごされているのです。
もともと原爆投下は無差別殺戮であり戦争犯罪です。しかも通常爆弾による空襲と違って、何年、何十年にわたって被害を及ぼし殺していくのでより悪質です。その長期にわたって人を殺す作用をもたらすのが主に内部被曝なのです。

僕が内部被曝の影響を極端に過小評価した放射線防護体系を作っているICRP(国際放射線防護委員会)批判に全力をあげているのもこのためです。原爆投下だけではない、核実験で、原発事故で、おそらく何千万もの人々が殺されてきているのです。
この現代におけるもっとも巨大な暴力の構造を解き明かし、ストップさせていく必要があります。

その際、大切なのは、この巨大な暴力を止める行動を非暴力的に行うことです。その中でこそ、アメリカの暴力が生んだものだとはいえ、対抗的に残虐性を強めているISのような人々にも道義的で最も説得力のある批判を貫けると僕は思います。
「あなたたちは全く間違っている。あなたたちはアメリカの残忍性を真似ているだけだ。あなたたちが怒りを抱いた卑劣さと同じことをあなたたちは行っている。原爆を受けた私たちは暴力的な仕返しなんか絶対にしない」と僕は言いたい。

さてこの話は食の話にどう結び付くのでしょうか。二つあります。現代ではこの暴力の思想、お金が儲かればどんな酷いことも平気で行うモメントが食べ物の世界に押し寄せ、健康被害が作られている点です。被曝と放射能汚染の上に悪い食べ物が蔓延していま

す。
一方で放射線被曝による被害をはじめ、私たちの命を危機にさらすこの現代世界の流れを逆転させていく展望も、私たちが食べ物を見直し、食べ方や作り方を見直すことの中に大きく存在しています。

僕はこの点が、社会主義を始め、これまでの社会変革論の中に一番欠けている点だと思うのです。ただし「論」はまだ形作られてなくとも、すでにさまざまに実践が進んでいる。
その点では今回訪問する綾部市の竹松うどん店さんも、舞鶴市西方寺ふれあい会館に集ってくださるみなさんも、東近江のでこ姉妹舎さんも、食に関する実践を僕などよりずっと高いレベルで行ってきている方たちです。

そんなみなさんと一緒になって、世界から暴力をなくしていくにはどうしたらいいのか。被曝から命を守り、未来を明るい展望を切り開くためにどんなことができるのかを語り合いたいと思います。
美味しい食べ物に舌鼓を打ちながら。ぜひお越しください!

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琵琶湖とあしたの今に vol.5

守田敏也さんお話会
『いま日本と世界で起きていること』

日時:3月8日(日)10:00~
会場:東近江市 たむたむ畑(ゆるママ)

漏れ続けている放射能、すぐ近くに感じられる戦争の気配、誰かが受け続けている差別、暴力…
それは遠い世界のどこかのお話ではなく、私たちみんなが今まさに直面している問題です。

内部被曝を避けるための知を得て、子どもや次の世代の健康や平和を守りたいという願いを込めて、守田敏也さんにお話していただきます。
知りたいこと、わからないことをみなさんで分け合い、思いをめぐらし、自由にお喋りしたいと思います。

会場:東近江市 たむたむ畑(ゆるママ)
(ご予約の際に詳しい場所をお知らせします)

10:00 守田さんのお話
12:00 お昼ご飯
13:00 質疑応答・フリートーク
15:00 終了

参加費:一家族 800円
(諸費用捻出のため、別途カンパ熱烈歓迎!)

定員:30名

・人数把握のため、ご予約をお願いいたします。

・昼食、飲み物をお持ちください。
でこ姉妹舎の玄米菜食ランチ販売もあります。(※ご予約の際お申し込みください)

・小さな子どもさん連れ大歓迎。
会場は畳のお部屋で赤ちゃんも安心です。

・子どもを育てるかたにぜひ聞いてほしいお話なので、お子さん連れでたくさんご来場いただきたいです。
なので、子どもの泣き声などがあちこちで聞こえると思いますが、どうぞ温かく見守ってくださいますようお願いいたします。

・守田さんにお聞きしたいことがあれば、答えてくださるとのことですので、どしどしご要望をお寄せください。

ご予約:dekosimaisha@yahoo.co.jp(でこ姉妹舎)