守田です。(20140726 14:00)
イスラエルの攻撃による戦争状態が依然続いています。26日午前9時13分に発せられたNHKニュースによると、ガザの保健当局はこれまでの死者が839人にのぼったと報告しているとのことです。
こうした中でようやく停戦の動きが出てきました。イスラエル軍とハマースの双方が、現地時間で26日の午前8時から12時間の停戦に合意したとのことです。
このまま戦闘が止まることを祈るばかりですが、ガザの人々にとって封鎖状態の継続は、生活をぎりぎりと抑圧しつつ、なおかついつ何時、イスラエルの軍事戦闘が始まるか分からない状態であることを私たちが知ることが重要です。
停戦が実現したならば、続けて戦争状態そのものである封鎖を解除せよという声を全世界で上げる必要があります。
構造的暴力は一見、直接的暴力よりも「まし」に見えるかも知れません。確かに子どもたちは今すぐ殺される危険性を免れるだろうし、免れて欲しいと心から思います。
しかしその暴力下に置かれた人々にとってはこうした暴力の継続もまた地獄の苦しみです。その意味でイスラエルの戦争犯罪をまったく裁くことをしない停戦調停は、ガザの人々により「まし」な暴力を受け入れろと言っているのと同じことです。
圧倒的な軍事力の差がありながら、ハマースが抵抗を試み、多くのパレスチナの人々が支持しているのはそのためであることを知る必要があります。
ハマースが掲げた「10年間の休戦協定のための10の条件」の実現こそが求められています。以下をご参照ください。
明日に向けて(898)戦争の責任は全面的にイスラエルにある。ハマースは真の休戦(封鎖解除)を求めているhttp://toshikyoto.com/press/1456
以下、これまでご紹介してきたイタリアの「ネナ・ニュース通信」の7月22日の分をお届けします。
時系列に沿って、ガザに起こったことを見ていくと、ガザの人々にとってこの事態がどれほどに過酷なものであるかが見えてきます。同時にイスラエルがあまりにひどい戦争犯罪を繰り返していることをもです。
イスラエルに攻撃される可能性がまったくないところにいる私たちこそが、この戦争犯罪の目撃証人になり、イスラエルによる構造的暴力を止めさせていく必要があります。
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2014年7月22日
ネナ・ニュース通信
2週間で600名を超える死者が出ており、モスクおよび住宅にも爆撃が行なわれている。
一晩中絶え間なく爆撃が行なわれ、死者数は増加し続けている。一方で人道的停戦についての議論がなされている。エルサレム東部ではイスラエル軍との衝突で若者が一人死亡した。
9時15分:イスラエル空軍の爆撃によって少なくとも25カ所の医療施設ならびに救急車が攻撃を受ける。
ガザの保健省の官僚の発表によれば、イスラエル軍は15日間にわたる軍事攻撃で25カ所以上の医療施設及び救急車を爆撃したという。
「医療施設を爆撃することは、国際レベルで非難されるべき犯罪行為であり、越えてはいけない一線である。昨日、デイル・アル=バラーのアル=アクサ殉教者病院への爆撃で4名のパレスチナ人が命を落とし、また多数の救急車がミサイル攻撃の対象となった。また爆撃を受けた地区に残された負傷者のもとへ医師らが駆けつけることも阻止された。
9時40分:ハマス「長期的な停戦の可能性はない」
ハマスの指導者の一人ムハマド・ナッザルは今日、停戦協定は未だに達していないと発表した。「制限付き人道的停戦については応じるが、長期的停戦については応じる準備はできていない。」
9時45分:イスラエル兵士1名が行方不明。イスラエル軍は死亡したと見ているが、ハマスは拘束したと発表。
軍関係者の情報筋によれば、先週の日曜日に戦車に対する攻撃で他の6名と一緒に同兵士も死亡したと見られているが、発見また身元確認のとれた遺体の中に同兵士のものはないという。
同じ日にハマスは同兵士の登録番号と同じものを有する兵士を拘束したと発表した。ハマスのスポークスマン、アブ・ウバイダによれば、アル=カッサム旅団が日曜日、ガザ国境付近で起きた戦闘の後に兵士1名を捕虜として拘束したという。
10時00分:イスラエル「国連が提案した停戦協定には応じない」
イスラエル官僚の発表によれば、占領区の政策活動コーディネーターであるヨアヴ・モルデチャイは国連大使ロバート・セッリーに対し、イスラエルは国連によって提案された停戦協定には応じないと公式に申し入れた。
10時40分:アル=ジャジーラ「我々のガザ支局が爆撃を受けた」
昨日イスラエル外務大臣リーベルマンによる警告(「イスラエル国内でアル=ジャジーラが報道活動を行うことを阻止する方策を取る」)が発表された後、カタールを拠点とするアル=ジャジーラTVは今日同ガザ支局がイスラエルによる爆撃を受けたと発表した。
11時00分:国連パレスチナ難民救済事業機関の学校が爆撃を受ける。
マガジ地区にある国連パレスチナ難民救済事業機関が管理する学校が爆撃を受けた。同地区はこの二日間にわたってイスラエル軍による激しい爆撃を受けた場所である。ガザから発射されたロケット弾がテルアヴィヴにある一軒家の中庭に落下した。
11時15分:ヨルダン川西岸地区で昨夜16名が逮捕される。
昨晩、イスラエル軍は16名のパレスチナ人を逮捕した。ヘブロン東部にあるバニ・ナイン村のフサム・アル=カワスメ(彼は6月から拘束されている)の家に奇襲をかけ、彼の父親、妻、そして息子一人を逮捕した。同軍の発表によれば、彼らはハマースのメンバーであるという。
11時30分:アメリカ合衆国がガザ支援に4700万ドルを寄付。
アメリカ合衆国はガザ地区に対する人道支援金として4700万ドルを寄付することを発表した。カイロから同国務長官ジョン・ケリーが発表した。
「アメリカ政府はイスラエルの自衛行為という正当で適切な軍事行動による影響を非常に懸念している。どの国もミサイル弾による攻撃を受けながら無抵抗でいるわけにはいかないが、いかなる紛争においても一般市民、女性、および子どもたちへの被害についての懸念が生じる。」
ガザに対する支援金は供出するものの、進行中の大量虐殺を阻止するためにイスラエルに対する圧力は全く加えていない。
12時00分:ガザ連帯のデモが行なわれる中、ナザレで衝突が起こる。16名が逮捕される。
昨夜ナザレ(現在イスラエル領内のパレスチナの都市)で3千人近くの住民がガザの人々に対する連帯を表明するために広場に繰り出した。
「イスラエルは集団殺戮(ジェノサイド)を行なっている」と書かれたプラカードが多く掲げられた。イスラエル警察は警官と衝突を起こした200名近くのパレスチナ人群衆を分散させるため放水車と衝撃音波弾を用いて介入した。16名が逮捕された。
12時20分:エジプトがイスラエルとパレスチナ自治政府との間の交渉再開を提案。
カイロでアメリカ国務長官ケリーと会談中のエジプト外相サメー・シュクリは今日、ガザにおける停戦協定の一環として、イスラエルとパレスチナ自治政府との間で和平交渉の再開を行なうよう提案した。
13時05分:ガザに対する軍事攻撃による死者は600名以上に達し、今日で15日目を迎える。
保健省のスポークスマン、アシュラフ・アル=キドラによれば、イスラエル空軍によって爆撃された住宅の瓦礫から新たな遺体が救助隊によって収容され、死者数は604名に上るという。新たな死者は四歳のムナ・ラミ・アル=ハラウットで彼女はガザ北部で息を引き取った。
国連事務総長バン・キ・ムーンは停戦協定を実現させるために再びイスラエルを訪れる予定である。明日パレスチナ自治政府議長マフムッド・アッバ スと会談をラマッラーで行い、その後イスラエル官僚らとの会談に参加する予定である。
13時15分:シェイク・ザイード地区およびテル・アル=ザタール地区から数千人単位の人々が避難。
この数時間でガザ北部に位置するシェイク・ザイード地区およびテル・ザタール地区の住宅街がイスラエル軍による壮絶な爆撃に遭い、同地区の住民たちは避難を行なった。
一方でイスラエル軍とパレスチナ人民兵らの戦闘はジャバリヤ難民キャンプ(7万人が住む)付近へと移動している。住民達はパニック状態に陥りながら逃げ惑い、国連パレスチナ難民救済事業機関(Unrwa)が経営する学校へと向かっている。
地元の報道機関の情報によれば、ガザの避難民の数は13万5千人に上り、そのうちの9万人が同機関の学校に身を寄せていると推定される。この数時間で同機関から支援の要請が発表された。同機関はこの数日間で受け入れた大勢のパレスチナ人たちの飢えを満たすことがこれ以上できないと発表した。6000万ドルの資金が緊急に必要とされているという。
14時00分:イスラエル軍は行方不明になった兵士の身元を発表する。ハマスによって発表された兵士の名前と一致。
イスラエル軍は行方不明になった兵士の身元を確認した。彼の名前はオロン・シャウルで、日曜日にハマスが拘束したと発表した兵士と同じ名前である。イスラエル陸軍の発表では、彼は死亡したとされているが、彼の遺体は発見されていない。
14時10分:イスラエル陸軍「今日187カ所を攻撃し、23カ所のトンネルの66カ所の入り口を発見した。」
イスラエル陸軍の情報によれば、今日ガザ地区で爆撃された標的は187カ所に上り、そのうち100カ所はシュジャイヤ地区だという。
23カ所のトンネル、ならびにそれらの入り口66カ所が発見された。パレスチナ関係者の情報によれば、今日だけで少なくとも27名の死者が出ており、そこには4歳の少女と妊婦1人が含まれているという。軍事攻撃開始以来、負傷者の数は3700名に上っている。
15時15分:パレスチナ人犠牲者の数は増加する一方。609名の死者ならびに3720名の負傷者を記録。
15時45分:アメリカ国務長官ケリーがカイロに到着「エジプト政府によって提案された停戦協定を実現させるために来ている。」
エジプト外相シュクリと同席したアメリカ国務長官ジョン・ケリーは記者会見で、カイロに赴いた理由を「エジプトによって提案された停戦協定を実現させるために同大統領オバマから要請された」と話した。
そしてケリー米国務長官は「何度もネタニヤフ首相およびアッバス議長に電話をかけた。まだまだやらなければならない作業が残っている(編集註:両者を歩み寄らせるために)」と発言した。
その後、同国務長官はエジプト首都カイロに赴いた理由を、ガザに関する議論を展開するだけではなく、同地域におけるテロリズム問題への対処を図るためだと話した。また彼はアメリカ合衆国が「昨日ガザに対する支援金4700万ドルを寄付して事態の対処に努めている」と強調し、国際社会に対して「さらなる努力を展開すべきだ」と要請した。
16時10分:パレスチナ人死者数は611名に達する。イスラエル2チャンネル放送「トンネルの大半を破壊するには1週間から2週間を要する」
「境界防護」軍事作戦が始まって以来、パレスチナ人死者数は611名に達している。負傷者の数は3475名に上る。これらの死者数および負傷者数は常に増加を続けており、ガザ地区での戦闘およびイスラエル空軍による爆撃は一時も止むことなく続いている。
イスラエル2チャンネル放送では同軍からの重要な情報として「イスラエル軍はトンネルの大半を破壊するのに1週間から2週間の日数を要する」と発表した。
16時40分:パレスチナ人死者数は616名に上る。3750名の負傷者が出ている。新たに2名のイスラエル兵士の死亡が確認された。
イスラエル軍事攻撃開始以来、殺害されたパレスチナ人死者数は増加を続けている。現時点で616名の死者が出ており(今日だけでも66名の死者を記録している)、負傷者は3750名を数える。現在イスラエル空軍による空爆はガザのアシュ・シュジャイヤ地区、ザイトゥーン地区(ガザ市東 部)、そしてハーン・ユニス地区に集中している。
ガザ地区中心部に位置するアル=バリジ難民キャンプに対するイスラエル軍による爆撃で3名のパレスチナ人が殺害された。ラファでは75歳と85 歳の高齢女性2名が殺害された。先ほど瓦礫の下から21歳と22歳の若者2名の遺体が回収された。
一方イスラエル10チャンネルでは「行方不明になっているオロン・シャウル兵士の登録番号が日曜日にハマスによって発表されたものと一致している」と放送。
イスラエル陸軍ナハル部隊長は新たに2名のイスラエル兵士が死亡し、多数の負傷者が出ていると発表する。
17時45分:パレスチナ人死者数は626名に上る。3750名を超える負傷者が出ている。アッバス議長はラマッラーに急遽戻る。
アル=バリジ地区へのイスラエル軍による爆撃によって1名が死亡、4名が負傷した。汎アラブ主義を掲げるアル=マヤディーンTVによれば、ガザ のアル=シュジャイヤ地区のバグダッド通りには複数の遺体が放置されているという。
政治レベルにおいては、アッバス議長がカイロでの会談を終えた後、サウジ・アラビアへの旅程をキャンセルしてラマッラーに戻っている。カイロでの会談ではパレスチナ自治政府の方針と抵抗を進める政党(主にハマス勢力)との方針の違いが明らかになり、会談は失敗に終わった。
ガザ地区ではイスラエル軍による空爆と占領行為が続いている中、パレスチナ武装勢力はイスラエルに向けてロケット弾を発射し続けている。いくつかのロケット弾がネゲヴ地区に落下した。負傷者ならびに損傷については何も報告されていない。
18時05分:アメリカの四つの航空会社がイスラエル発着便を見合わせる。
18時45分:4名のパレスチナ人が殺害される。国連人道問題調整事務所「ガザには避難することのできる安全な場所はない」
19時00分:国連パレスチナ難民救済事業機関「避難民を受け入れている学校がイスラエル軍のミサイル攻撃を受けた」
19時15分:イスラエル法務大臣リヴニ「トンネルがすべて破壊されるまではいかなる停戦もありえない。」
19時20分:アメリカ交通省はテルアヴィヴにあるベングリオン空港発着便を「24時間にわたって」見合わせるよう勧告した。事前にアメリカの 四つの航空会社が自社便の飛行を見合わせていた。また欧州議会の外相28名はガザにいる全てのテロリスト団体に対し武力解除を要請する共同声明を発表した。
19時40分:アメリカによる航空便の方針が明らかになった後、ドイツの航空会社ルフトハンザはイスラエル発着の便を36時間にわたって見合わせた。一方、エアーフランスは期間を定めずに便を見合わせると発表し、オランダのKLMは今日の便を全てキャンセルした。
20時00分:イスラエル交通省は同国行きの便をキャンセルした航空会社に対し、ベングリオン空港は「安全」であり、また警備体制も充分だとして、彼らの決断を考え直すよう要請した。
20時30分:国連パレスチナ難民救済事業機関「我々の施設に敬意を払ってほしい、我々の管理する学校にロケット弾が隠されていた。」
20時45分:カナダ航空がイスラエル行きの便をキャンセル。
21時00分:フランス「虐殺を阻止すべき」、アメリカ「イスラエルはガザの市民を守るために何かすべきである」
21時15分:パレスチナ国連大使が国連安全保障理事会に対し停戦決議を採決するよう要請する。
21時30分:昨日イスラエル空軍の爆撃によって一家全員死亡したアブ・ジャーメ家の系図(B’Tselem)
21時55分:アリタリア航空が明日まで便をキャンセル。明朝の便が19時まで遅延する。今晩イスタンブールからテルアヴィヴ行きのトルコ航空の便が航路を変え、トルコ領内に戻る。同様に他のトルコの航空会社も24時間にわたって便をキャンセルする。
22時00分:ガザに対するイスラエル軍の爆撃が続いている。ハーン・ユニス地区にあるハマス軍事部隊長モハメド・デイフの自宅が攻撃される。 ガザ南部では2名のパレスチナ人戦闘員がイスラエル兵士に向かって発砲する。
パレスチナ人戦闘員1名が死亡する。イスラエル南部ではサイレンの音が けたたましく鳴り響く。保健省によれば死者数は625名に上り、負傷者数は4000名に達している。
23時00分:明日開かれる国連人権理事会でイスラエルが非難される可能性。
22時30分:アッバス議長がイスラエルに警告「パレスチナ人に対して罪を犯した者たちを全員起訴するつもりだ。」
22時40分:サメル・ハレール・シャマリの家族が国際連帯運動(ISM)によって配信されたビデオを通じて同青年の死を知る。
(出典:ネナ・ニュース通信、文責:石山奈緒)
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