守田です。(20140326 23:30)

表題のように3月30日に奈良市でお話しします!市民放射能測定所開設一周年に即してです。

一つは表題として与えられた「広がる放射能被害と市民測定所の役割」について。
実はこの内容、とくに測定所の役割については、僕にとって宮城県仙台市にある「みんなの放射線測定室てとてと」の方たちとの交流などの中でも考えてきた問いでもあります。
つい最近、出版された同測定室の通信「てとてと春2014」で、僕に対するロングインタビューを掲載してくださったのですが、そこに載せていただいています。
http://sokuteimiyagi.blog.fc2.com/blog-entry-327.html

福島原発事故後、全国で100か所以上の市民測定所が立ち上がり、家庭に持ち込まれる食材を中心に、積極的な測定が繰り返されてきました。
この全国で行われた果敢な市民的モニタリングの結果、市場で購入して、家に持ち込んで飲用する多くの食材の放射線値が下がっていきました。食材を扱う生産者、加工者、流通者などなどの間での汚染物を減らす努力が市民的測定によって促進されたのだと思います。
市民測定所はその意味で、絶大な貢献を果たしてきています。市場に出回るものの安全性を高めてきたわけですから、放射線防護を意識している人はもちろん、防護意識の低い人をも守ることにつながっており、僕は多くの方に、すべての測定所の方たちへの感謝の念を持っていただきたいなと思っています。

しかし残念ながら、成果がまったく数値化できないことなどもあって社会的評価はほとんど得られておらず、むしろ測ってもそれほど汚染が見つからないことが増えるにしたがって、検体を持ち込む側のインセンティブが落ちてきているのが実情だと思います。
結果的に測定所の運営が厳しくなってきている。せっかく人が詰めていても検体の持ち込みがなかったりして、測る側のモチベーションも落ちがちなのではないでしょうか。

だとするならば、僕は市民測定所は、さらなる役割を自ら作り出し、担っていくことが問われているのではないかと僕は思います。

どのような内容が問われているのか。その第一は、放射線低線量被曝の危険性をより明確に、はっきりと打ち出すステーションとしての位置を確立していくことです。
とくにぜひ取り組んで欲しいのは、ICRP(国際放射線防護委員会)の線量評価、ベクレルからのシーベルトへの換算式への批判です。
端的に言って、ICRPの考え方に基づくと、食品の汚染はかなり高いベクレル値であっても非常に低いシーベルト値に換算されてしまう。大した危険性はないとされてしまうのです。これへの批判にぜひ各測定所が踏み込んで欲しいと僕は思います。

そのことはたとえ1キログラムあたり数ベクレルの放射線値であっても、きちんとモニタリングし続け、避けられるものは徹底して避けていくことの重要性を浮かび上がらせていくことにもつながります。
海の汚染が日々拡大していることも踏まえつつ、測定を継続し、市民サイドがウォッチを続けることの重要性が明らかになるわけです。そうした低線量被曝の危険性を、分かりやすく伝えていく拠点に、ぜひ測定所を位置付けて欲しいと思います。

このことは測定所が、測定実践を通じて、市民が放射能とは何かということをつかんでいく場として機能していくことともセットになっていくことが望ましいと思います。
放射能のというものが、測り方次第ではどのようにでも表現しうるものであることなども、きちんと発信していって欲しいです。

もう一つは、食べ物全般の安全性を問う場への測定所が飛躍していくことです。
放射線被曝から身を守るためには、少しでも体の免疫力を強め、被曝に負けない身体を保持していくことも非常に重要な位置を持ちます。そのとき放射能以外に危険因子である化学物質の汚染を問題にすべき必然性が見えてきます。
そもそも化学物質による汚染についても、最も恐ろしいのは複合汚染であると言われてきました。食材には多くの添加物が使われていますが、実はそれらの化学物質が同時に体内に投与されたときに、どのような結果をもたらすのかという研究はほとんどされていません。
つまり安全性のテストは非常におざなりなのです。むしろ危険性が明確に証明されて初めて、化学物質の規制が始まっているのが実情です。
私たちの直面している現状は、この上に放射性物質が多数混入してきている状態です。もとよりあった化学物質の曝露の上に、放射線障害が加わっているのです。

私たちはここから総合的に身体を守っていく必然のもとに立っているわけで、そのためには総体としての危険因子を減らしていく努力が必須です。そのとき食材に関する幅広い知恵が必要になります。
放射線測定室は、持ち込まれる食材の安全性を確認する場ですから、ぜひ一歩進んで、食べものの安全性全般に関する知識を増やし、それを発信していく場へと飛躍していって欲しいと思います。今後、こうした市民的ステーションの重要性はますます増していくからです。
30日はおそよそんなことを提案したいと思っています。

第二に、ベラルーシ、ドイツ、トルコへの訪問の旅で学んだものの一部を、この場をお借りしてお話ししたいと思います。
この点については、膨大な山の中からどこを引き出してお見せするのか、まだまだ迷ってもいるのですが、何よりも民衆運動の相互の交流の意義、エールを交換しあっていくことの重要さをまずはお伝えしようかなと思っています。
なぜかと言えば、どこの国のどの場にいっても、人々は日本の民衆が、福島原発事故後に何をしているのかを知りたがっていたし、かつまた頑張っている姿を伝えると、深い共感を示してくれたからです。

そのことは私たちがそれぞれの場で、日常的に担っている活動の重要性を、違った視覚から見つめ直していく機会にもなると思うし、同時に、自らが行っている活動を積極的に情報発信していくことの大切さも見えてくるのではないかと思います。
とくに僕は、例えば市民測定所であれば、その活動を、ぜひ世界に向けて発信して欲しいと思うのです。そのためにぜひとも英語での発信にチャレンジして欲しい。
どのようなレベルの英語でも良いのです。まずは情報を出すことがとても大事なのです。端的に言って下手な英語でいいから各国の人は情報を出して欲しがっているのです。下手な英語だって読んでくれる。福島原発後の当事者である私たちの声が聴きたいのです。
そのために、自分たちの日々の活動をもっと積極的に世界へと発信しようと訴えようと思います。

以上、2点の内容に基づいたお話をします。トルコの日本から輸出される原発建設予定地の写真などもお見せしますので、お近くの方、ぜひお立ち寄りください。

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奈良市民放射能測定所 開設一周年記念セレモニー

2014年3月30日(日)9:20~16:00
場所:奈良市西部公民館5F第2講座室
資料代:500円

奈良・市民放射能測定所は皆様のご協力に支えられ、開設1 周年を迎えました。
福島第一原発事故によって拡散し続ける放射能は、事故から3 年の今も私たちの命と健康を脅かし続けています。甲状腺ガンの発症増加など健康被害がじわじわと深刻度を増し、放射能による内部被曝の影響を無視して生
活することができない状況になっています。五感で感知することのできない放射能といかにして向き合うのか。どのようにして暮らしと健康を守るのか。
これらの問いを発した市民が自ら放射能を測定し、判断する知恵を身につけ、データの信頼性を高め、汚染食品の流通を抑制するため、市民放射能測定所は設立されました。
そのため運営は今も全て市民のボランティアに依っています。まさに市民の、市民による、市民のための、放射能測定所なのです。
まずは一年のご報告と、力を合わせて課題を乗り越えてきたこと、そしてみなさまに支えられ、ともに歩んできたことへの感謝の想いをこめて、ここに一周年記念セレモニーを開催いたします。
今回もフリーライターの守田敏也さんを講師に招き、ヨーロッパ視察の報告を踏まえて記念講演をしていただきます。
 みなさまお誘いあわせの上、ぜひお越しになってください。

●プログラム 
 9:20  総会 
10:00  講演「原発事故から3年 広がる放射能被害と市民測定所の役割~チェルノブイリとフクシマをむすんで~」
       講師:  守 田 敏 也 氏
11:30  測定所への移動と昼食(お弁当の販売700円詳しくはスタッフにお尋ねください)
13:00  守田さんへの質疑と交流
●記念パーティー:14:00~16:00 飲む人1500円・飲まない人1000円 
パーティーの会場は当測定所です。(飲食物持ち込み歓迎)

講演会場:奈良市西部公民館
〒631-0034 奈良県奈良市学園南3丁目1-5
HP:https://naracrms.wordpress.com

お問い合わせはTEL:0742-81-8458 又は090-6059-5202(辻本)まで。