守田です(20210418 17:30)
● 九州でもウソの連続
前回、規制委員会がちっとも「規制」などできておらず、ウソばかりの原子力業界をなんら正そうとしてきていないことを指摘しました。今回も続きを書きますが、九州にフォーカスしてみても大きなウソがあります。例えば火山噴火についてです。
九州には破局的な噴火を起こした火山が多数あり、川内原発にも火砕流が押し寄せた跡があります。九州電力は「大規模噴火は10年ぐらい前に分かるのでその時に核燃料を降ろす」と言い、規制委はこれを認めて再稼働を許可したのです。
すぐに火山噴火予知連絡会が痛烈に批判。実際には噴火は直前でも予知できない場合があるのです。10年前に分かるなどと言われたら人々の火山への備えがおそろかになるので連絡会が懸命に批判しましたが、規制委は無視しました。
そんなデタラメをいいながら再稼働に向かった九州電力が、今度は再稼働の条件としていた「免震重要棟」を、許可が下りた後に「作らない」と明言。揺れを吸収する免震構造をやめ、揺れに耐える耐震構造に代えると約束を反故にしたのです。
揺れに建物が耐えても、揺れが吸収されなければ中で作業ができない。だから地震などと複合する深刻な事故に備えて「免震重要棟」が必要とされたのに、認可後のこの重大な言い換えを規制委は容認し、稼働を続けさせてしまっています。
火山噴火をめぐってもウソ、免震重要棟を作るといったこともウソ、それらが明らかになっても反省もしないしおとがめもなし。それでどうして「規制」などと言えるのでしょうか。
耐震と免震はまったく別もの 倉敷化工株式会社HPより
● 規制委に裁判所からのダメ出しが
そんな規制委は昨年12月4日に、大阪地裁から裁判でウソを指摘されました。大飯原発の再稼働に向けた「設置許可」をめぐっての地震の予測に、これまで地域で起こった地震の平均値を用いていたことを痛烈に批判されたのです。
あたりまえですが地震は平均値で来るわけではありません。過去の最大値以上に備えないといけない。にもかかわらずこんなひどいウソをつく。
大阪地裁は怒りをあらわにしてこう述べました。「規制委の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」。その上で再稼働を認めた設置許可取り消しを命じたのですが、これも規制委はしらんぷり。
本年3月18日にもやはり規制委が再稼働を認めた東海第二原発に対して、水戸地裁が再稼働を認めない判決を下しました。避難計画がまったくできていないからでした。
この判決は規制委の設置許可にまで踏み込んではいませんが、しかしよく見ると、避難計画など無関係とばかりに再稼働を認めている規制委のモラル欠如への批判にもなっています。
規制委員会はこの相次ぐ二つの判決に誠実に対応し、すべての原発への設置許可を取り下げるべきです。
以上、見てきたように規制委員会は規制当局としてまっとうな機能を果たしていません!自分たちのウソは押し通すけれど、電力会社のウソは認めたり認めなかったりみたいな状態になっている。そのもとで電力会社の不正が重ねられているのです。
東電に原発の運転禁止が認められたように、規制委員会の再稼働認可も見直すべきです。規制委への批判を高めましょう!
#柏崎刈羽原発運転禁止 #原子力政策はウソだらけ #廃炉は100年以上かかる #薄めれば安全詐欺 #特定重大事故等対処施設の遅れ #九電免震重要棟建設を反故に #大飯原発設置許可取り消し #東海第二再稼働認めず
連載終わり
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