守田です(20201130 08:00)
連載「原発から命を守るために」の3回目をお届けします。
今回は原発を止めるために、今一度、私たちはなぜ原発を動かしてはならないのかを考えておきましょう。
● 10万年以上も管理しなければいけない放射性廃棄物を生み続けている
第一に原発は事故を起こさなくても使用済み核燃料などの高レベル放射性廃棄物を発生させます。その管理がどれぐらいかかるのかというと、およそ10万年以上です。
経費だけで考えても天文学的。しかもこの上にかなりの危険性が加わります。これを負担するのは、発電の恩恵を何も受けない未来世代。10万年以上にもわたってです。
原発の電気が安いと言うのは大嘘。この先どうするか決まっていないので予算計上ができていないだけです。原発は未来世代への暴力以外のなにものでもありません。
一度使用した核燃料がウラン鉱石の放射能レベルにまで減衰するのに十万年以上かかる
出典 核燃料開発機構(現日本原子力研究開発機構)「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性」 ( 原子力・エネルギー図面集)
https://www.ene100.jp/zumen/8-3-9
● 福島原発事故はまだ収束過程、教訓化できるのはまだまだ先
第二にやはり何といっても危ない。大事故の可能性を宿しています。
原子力規制委員会は「福島原発事故の教訓を生かして次の事故に備える」と言ってますが、実際には1~3号機の核燃料が溶け落ちたまま膨大な放射線を発していて人が近づくことすらできない。
送られたロボットもみんな途中で壊れました。このためまだ事故が完全に収まったとは言えないし、どこがなぜどう壊れたのかも分かっていないから、大事故が再び起きる可能性もあります。それも今の世代も未来世代も傷つけます。
例えば、規制委員会は2013年に教訓を生かしたとされる「新規制基準」を打ち出しましたが、しかし事故から5年半も経った2017年9月に衝撃的な事実が判明しました。
実は事故時、原子炉に届いた冷却水は「ほぼゼロ」だったというのです。消防車などで懸命に水を送りましたが、途中で原子炉ではない方向にいってしまい、冷却がまったくできていなかったのです。
この事実が分かる前の2013年に新規制基準はできている。その点だけでも見直しは必須だったのにそれもしていない。危険すぎます。「ただちに原発を止めよ!」の声を強めましょう。
福島原発事故、原子炉に届いた冷却水は「ほぼゼロ」だったと判明 事故から5年半経って分かった
2017.09.20 NHKスペシャル『メルトダウン』取材班
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52931?page=2
続く
#原発は未来世代への暴力 #放射性廃棄物 #使用済み核燃料 #冷却水届かず
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