守田です(20200811 18:30)

9、10日と広島を訪れてきました。今回もとても意義深い訪問となりました。
その様子を後日報告しますが、今回は「黒い雨」訴訟をめぐる緊急のお願い、「控訴やめて」の声を届けることを訴えたいと思います。

●「黒い雨」訴訟、厚労省が控訴検討中・・・

7月29日に広島地裁で、「黒い雨」訴訟における原告側勝訴判決が言い渡されました。
原爆投下後に降った放射性物質をたくさん含んた「黒い雨」を受けた多くの人々に対し、国が黒い雨によって被曝をしたことを認めず、被爆者認定をそれに基づくきちんとした援護もしてこなかったことを批判した判決でした。
広島地裁は、原告84人(遺族9人を含む)全員に対して、被爆者手帳を交付することを被告である国と広島市・広島県に求めました。

この控訴期限が明日12日なのですが、なんと国は判決を認めずに、控訴を検討しているそうです。
制度の性格上、被告の側に立った広島市と広島県が、控訴しないように国に働きかけてきたにもかかわらずです。もともと市や県は、黒い雨をめぐる被爆者認定の拡大を国に求めてきています。
ただしここにきて「市と県は実質的な被告である国に控訴断念を求めているが、国が援護区域の拡大に乗り出すことを条件に受け入れる検討を始めた」(毎日新聞)とも報道されています。毎日新聞の記事をご紹介します。

「黒い雨」訴訟で国が控訴方針 広島市と県、条件付き受け入れも
毎日新聞 2020年8月10日
https://mainichi.jp/articles/20200810/k00/00m/040/268000c

毎日新聞の報道

●「控訴やめて」の声を国・広島市・広島県に!

国のあまりに酷い姿勢を批判し、厚労省に、内閣に「控訴はやめて」の声を届けましょう。緊急ですが今日、11日中に行ってください!

【厚生労働省】
電話:03-5253-1111(厚労省代表)
▽厚生労働省「国民の皆様の声」募集 送信フォーム
https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/getmail

【内閣府・首相官邸】
電話:03-5253-2111(内閣府大代表)
▽首相官邸 ご意見募集
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

広島市、広島県に対しても意見を送りましょう。
両者ともに控訴したくないとの姿勢を持っていますが、国の出した条件の受け入れの検討も始めているとのこと。
これらも念頭におきつつ、市と県にも「控訴をやめて欲しい、国にも求めづつけて欲しい」と書き送りましょう。

【広島市】
電話:082-245-2111(代表)
▽市政へのご意見・ご要望
https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/10/8219.html

【広島県】
電話:082-228-2111
▽県政提言メール(県へのご意見)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/19/1171540420003.html

● 75年も放置していた人々への被爆者認定をさらに伸ばすなん

「黒い雨」訴訟で突き出されたのは、国がこれまで当時のあまりに不十分な調査による「降雨範囲」の把握に基づき、たくさんの人々の被ばくを認めてこなかったことです。
これに対して黒い雨を受けた人々から被爆者認定と援護を求める声が上がってきましたが、広島市は2008年に3万6千人にアンケートを実施。
「黒い雨」が降った範囲が、国の認めた地域より面積にして6倍も広いと考えられることを突き止めました。


中国新聞より

しかし国はこうした人々の努力を無視し、被爆した人々を放置し、限定された援護しか施してきませんでした。
広島地裁判決は国の姿勢を厳しく批判しています。以下の二つの記事をご参照ください。

明日に向けて(1851)「黒い雨」訴訟は画期的!原爆被害はもっと広範に及んでいた
https://toshikyoto.com/press/5178.html

明日に向けて(1852)「黒い雨」訴訟勝利は、被ばく被害の意図的な矮小化をこそえぐりだしている!被爆者認定、原爆症認定の見直しが必要だ!
https://toshikyoto.com/press/5182.html

控訴の動きが許せないのは、国が75年も被爆者として認めず、きちんとした援護もしてこなかった人々に対し、さらにこの状態を続けようとしているからです。
原告は最年少で75歳、実際、これまでもすでに12人が亡くなられ、うち9人の方にういては裁判を遺族が受け継いでいます。被爆後75年も放り出しておいて、さらに時間を稼ごうとする国の姿勢はあまりに惨く酷いです。控訴などあってはなりません。

● 被爆した人々を守ればあなたが守られる!

同時にこの裁判は、これまでの放射線防護の基準が緩いものでしかないことも突き出しています。
現在の基準は、広島・長崎の被爆者調査をベースとしていますが、それがたくさんの被爆者を除外したものであったことが示されたからで、当然の見直しが行われるべきです。
それがあなたを守ることにつながります。原発事故での放射性物質の影響も、当然にももっと厳しく考えていかねばならなくなるからです。

その点で被爆された方たちの努力と運動は、あなたを守ることにつながっています。その点でこの裁判は「他人ごと」ではないのです。
被爆された方たちを守り、あなたを、私たちを、未来の命を守りましょう。一緒に声をあげましょう!


被爆した人々の運動はみんなを守ることにつながっている―勝訴後の報告集会 時事通信より

#黒い雨訴訟 #控訴やめて #広島原爆 #被爆者健康手帳 #放射線防護

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