守田です(20200708 02:00)
洪水災害が広がっていることを踏まえて深夜に投稿します。ご容赦を。
● 九州豪雨で被害が拡大中、四国・本州も要警戒!
九州がとんでもないことになっています。梅雨前線の停滞のもと、7月4日から降り始めた雨が九州各地で大きな被害を生み出しています。7日午後10時13分発表の朝日新聞によれば、4日からの大雨による死者は56人、心配停止2名、行方不明12人です。
しかもこの雨は、今宵、再び熊本から大分に大雨を降らせています。さきほど午前1時16分に気象台から大分日田で筑後川が再び氾濫との発表がありました。続いて同1時24分に大分由布で大分川が氾濫と伝えられました。あまりに胸が痛いです。
九州全域が雨を脱するのは8日朝とされていますが、川はその後にさらに増水を強めます。明日も厳重な警戒が必要です。ぜひとも豪雨地域のみなさんに、命を守っていただきたいです。
一方、この雨雲は、四国や本州に移りつつあります。明日以降、九州より東の地域で大雨被害がもたらされる可能性があります。要警戒です。
この大雨の間、各地で大雨特別警報が出されたり解除されたりしていますが、もともと特別警報は「数十年に一度の大雨」の時のものなのに、ここ数年、発令が繰り返されています。
しかも今回、熊本や鹿児島に出されたのは4日未明の午前4時50分で、すでに避難ができない状態での発令でした。「想定外の大雨」が強調されていますが、その言い方は正しくない。
起こっているのは、これまでの災害対策の目安が次々、突破されていることなのです。
写真1 球磨川の氾濫前と後の姿 朝日新聞より
● 事態は予測可能だった!
今回の豪雨による被害、まだまだ拡大する可能性がありますが、悲しみと共に怒りも湧いてきます。
なぜか。今回の事態は「想定外」などではなく、予想できたからです。これまでの「想定」を見直し、一新することが問われているのです。僕は今年の梅雨が始まったときに、すでに以下の点を紹介していました。
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今後、梅雨、夏の台風と雨が強まる機会が増えることが予測されますが、何より踏まえておかねばならないのが、気候変動の影響で雨の降り方の激しさが年々、増していることです。
これに伴い、毎年のように大きな河川の決壊による洪水や土砂災害が発生しており、しかも河川氾濫は年々規模が拡大しています。
ここ3年を振り返ってみましょう。2017年には7月5,6日に福岡県・大分県を中心に「平成29年7月九州北部豪雨」が発生。死者40人、行方不明2人の被害が出ました。
2018年には6月28日から7月8日にかけて「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」が発生。岡山県の真備町が水没するなどする中で、西日本一帯で死者263人、行方不明8人という甚大な被害が出ました。
2019年には10月12日に「令和元年東日本台風(19号)」が静岡県に上陸。関東・甲信越・東北などで死者86人、行方不明3人の被害が出ました。なおそれぞれの名は気象庁の命名によっています。
明日に向けて(1831)大水害・大地震の危機に逞しく備えよう―防災・減災体制の抜本的強化を
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2d720f627c297c94dadc01a438da3509
図1 増加する河川決壊数を図示 クローズアップ現代より
● 甚大な水害がどこでも起こりうることを踏まえ、厳重な警戒を
ぜひこの記事を読んでいただきたいですが、要するにここで僕が指摘したのは、「想定」が突破される事態が毎年、各地で起こっている点です。とくに昨年の台風19号被害では、71河川142か所で堤防が決壊、氾濫河川は300にも及びました。
降雨量が複数河川で「計画降雨」を上回ってしまったためです。「計画降雨」とは河川整備等を行う際の流域基準のことで、基本的には”100年に1回の豪雨でもこれ以上は降らないだろう”との想定による基準値ですが、それが次々と突破されてしまった。
だからもはや全国で防災体制を一新しなければならないのです。これまでの想定ではダメなのです。それがもう分かっていたのです。にも関わらず更新しないから、「数十年に一度の水害」と想定するレベルに毎年どこかが達してしまうのです。
図2 台風19号 「計画降雨」を上回る記録的大雨 2019年10月16日17:38 日本気象協会 安齊理沙
しかも日本の河川の洪水対策は、長年「堤防で氾濫をおさえこむ」ことを基軸としてきたために、堤防が突破されると打つ手なしになってしまう。
もちろん手をこまねいてただけではなく、氾濫を抑えこめなかった場合の対応措置も、重ねられてはいるのですが、しかしペースがあまりに遅いし、国民・住民に十分に伝わっていません。
とくにこの国難を無視して東京オリンピックを強行しようとしてきた安倍政権が、ほとんどまともな措置をとらないばかりか、国民・市民への注意喚起もしてこなかったために、今回も被害を拡大させているのです。
このため、今後も全国どこでも堤防の破堤や越水による大規模な洪水が起こりえます。とくに東京は大ピンチの前にあります。大阪や名古屋も同じです。ぜひともこのことを頭に入れて備えて欲しいです。
最悪を想定してください。小舟なども用意して備えていただきたいです。いまのうちに避難所を少しでも良くすることに着手しましょう。コロナも考慮し、災害の際のホテルの借り上げ準備を各地で進めましょう。
災害に苦しむ九州の人々にみんなで助けをだすとともに、それぞれの地域で「明日は我が身」と考え、できる備えを強めましょう。みんなで互いの命を守り抜きましょう。
#九州豪雨 #河川決壊 #筑後川氾濫 #計画降雨 #特別警報
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