守田です。(20121102 09:30)

11月4日に、大飯原発再稼働に反対して民主党を飛び出した衆議院議員、平智之さんと対談することになりました。

平さんは民主党にあって、「原発事故収束対策プロジェクトチーム」事務局次長として「禁原発」を訴えてきた方です。「禁原発」とは、「脱原発」といいながら、何年後には原発を止めるとかの時間稼ぎばかりを画策している他の議員たちの姿勢に対し、「即時廃炉」を明確にするための言葉。
このため野田首相による大飯原発再稼働強行決定に対して、二日後の6月18日に離党届けを提出。禁原発の意志を貫きました。

この時の思いを平さんは次のように語られています。
「再稼働に至り、もう私自身の一貫性が保てないと判断しました。党内で何を言っても、”ガス抜き”に使われるだけだと気がついたのです」
「これまで原発利権に巣くっていた政・官・財の『鉄のトライアングル』が原子力政策の変更を許さず、野田首相もこれに屈して続行を宣言したということ。これで、政権交代の意味はすべてなくなりましたね」(週刊金曜日20120803号)

そんな平議員が、京都から選出されている方であるということもあって、京都で放射線防護で奮闘してきたある友人から、この禁原発の思いに共感している、僕にも話をしてみてほしいとの話が舞い込みました。
それでともあれお時間を作っていただき、お会いすることになり、京都の平さんの事務所をおたずねしました。

しかしどんな話になったかというと、はじめはあまりかみ合いませんでした。平さんは国会でいかに原発を食い止めていく法律を作るかを考えていらっしゃいます。
僕はそれはそれで大事なことだとは思うけれども、正直なところ、国会の中のことは僕にはできることがないし、申し訳ないけれどもそれほど関心がありません。

すべての原発の即時廃炉を求めている点、また低線量被曝の危険性をしっかりと認識し、徹底した放射線防護を推し進めようとの方向性ではまったく違いがないものの、そこに向かうスタンスがあまりに違うように思えたのです。

その思いは、今もすべてが解消したわけではありません。そもそも僕には国会という場がよく分からない。なんというか、あまりに遠いい場だというのが正直なところです。とくにそこでの多数派形成ということに胡散臭さばかりを感じます。

漠然とした言い方ですが、どうも僕には、国会には、パワー崇拝が支配しているように思えてならない。「正しいことを言っていても、少数派であるかぎりはダメだ」とか言って、多数派を目指すうちにどんどん志が曲がっていく。

それは志よりもパワーに価値をおいているからではないか。その考えは、強ければいい、力があればいい、だから原発も持ちたい・・・と戦後日本が走ってきた考えと根っこを同じにしているのではないか。それがこびりついているのが国会なのではないかと思えてならないのです。

ただそれだけ言っていたら、国会議員という存在を全否定してしまうことになるし、そこで志を貫こうとする行為も全否定してしまうことになる。
それではあまりに傲慢だということはわかっています。でもそれでは国会の場で人はどう行動すればいいのか僕にはよく見えない。少数派でもいいではないか。志を曲げなければそれでいいではないかと思うのだけれど、それで議員を続けられるのかどうか僕にはわかりません。

そんな思いがあり、話の方向をどこに持っていったら良いのか、おそらくお互いに困っていた時間があったと思うのですが、あるところからピタッと一致する見解が得られました。それは今の世の中、この日本の状態が、私たち、男性が中心になっていることによってもたらされてるのではないかという点です。

平さんは言います。女性はダメなものはダメ、危ないものは危ないと発想する。男性は、ダメかもしれないけれども、電力はどうするのかとか、危ないかもしれなけれども、代替するものはあるかとか、そういう理屈(実は屁理屈)を持ってこられると、どうもそれにはまってしまう傾向がある。

それで官僚は、論議の本質からすれば枝葉のところに議論をずらし、細かい点に話をもっていこうとするのだけれど、男性はこれにはまりやすい。その挙句にダメなことはダメだと言い切れずに押し切られてしまうのだというのです。これを変えなければいけないとも。

「え、そう考えるのですか?それはいい。そういう考えなら何か一緒にできますね」と僕は説得されてしまった。ああ、なんだかこの人は僕がイメージしている「国会議員」っぽくないなと思いました。「禁原発」=ダメなものはダメ!それには共感するなあと思ったのです。

でも今になってもやはり僕には国会はかなり胡散臭い場に思えるし、そこで志を曲げずにどう動いていけばいいのかさっぱり分からない。多数派を目指し、「嫌な人たち」と組んでしまうことはないのか、その道しかなくなってしまうことはないのか、そのとき平さんはどうするのかという懸念もあります。
しかしだからといって国会なんか放り出してしまえとも言えず、ウーム・・・といううなりが僕にはある。

それで4日はこの思いそのものを平さんに聞いてみようという気になっています。
そもそも国会というところが分からないので、議員をされてきた平さんに謙虚に学んでみよう、その中で市民が国会に対して何かできるのか、そんなことを僕なりに考えてみようと思います。

そのため対談と言っても、僕が話をお聞きする場になってしまうかもしれませんが、その中から何か、私たち全体にとって有益なものを探しあてていきたいと思います。

というわけで、どのような結論にいたるのか、僕にも見えないところがありますが、どうかみなさんと一緒に、国会とは何か、そこに市民はいかなる影響を与えらるのか検討してみたいと思います。ともに考える場にぜひお越しください。

なお対談に先立って、それぞれに講演を行います。
平さんの演題は「電気は足りている。科学に基づいた禁原発論」です。
同じ内容になるかどうかわかりませんが、平さんの主張は以下の毎日新聞インタビューで読むことができます。
http://mainichi.jp/select/news/20120924mog00m040019000c.html

僕の演題は「大飯げんぱつ事故想定の際の避難訓練と心構え」です。
先日、同志社大学の寮で話した内容などをコンパクトにまとめてお話します。
記事を記しておきます。

明日に向けて(556)(569)(571)原発災害に対する心得(上、中、下)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/a276d3555af84468c1db19966b59cf16
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0fd8fbc4681c2a073c73e4a0f95896bf
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/ed69f6466c0d72c16f70a371e599df31

順番では僕が先にお話し、次に平さん。休憩をはさんでトークセッションになります。
詳しい案内を以下に記しておきます!

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げんぱつ震災を生き延びる為の緊急対談
「わてら爆発しますえ、助けとくりゃす。地震来る前に止めとくりゃす。」byげんぱつ

講師 平 智之(衆議院議員)
   守田敏也(フリーライター)

11月4日(日)18:00開場 18:15~20:30(予約不要)

ひとまち交流館・京都 第5会議室(定員80名)カンパ制(500円程度)

託児アリ 2歳以上6歳まで(未就学児)
(8日前迄に要予約・10名程度 託児1000円)

問い合わせ 託児は要予約 :ママパパ&放射能バスターズ京都
kyoto.kodomo.inochi@gmail.com

プログラム

18:15~18:45
「大飯げんぱつ事故想定の際の避難訓練と心構え」:守田敏也
18:45~19:15
「電気は足りている。科学に基づいた禁原発論」:平智之
19:20~20:20
平智之さん&守田敏也さん トークセッション
20:20~20:45
質疑応答など
○プログラム内容は告知無く変更になる場合もございます。

平智之さん プロフィール
昭和34年京都市中京区生まれ、京都育ち。洛南高校・京都大学工学部卒業
米国UCLA大学院修了。KBS京都・関西TV「モーレツ科学教室」等タレント活動
喫茶店マスター、政策シンクタンク等を経て、現在、衆議院議員(京都1区)
同志社大学嘱託講師。平成24年7月3日に大飯原発再稼働に反対して民主党を離党
現在「禁原発」を唱える「平安党」の発足に尽力。
http://www.t-taira.net/

○ご参加のみなさまに講演をしっかりと聴いて頂きたいので、
18:10までにご着席ください!