守田です。(20121017 20:00)

まったく唐突な話ですが、僕はかつてたくさんの詩を書いていました。
たくさん書いて、どこにも発表しなかった。
何よりも僕が僕を励ますために詩を書き綴っていたのだからです。

でも最近、無性に詩が書きたくなってしまいました。
舞鶴の講演で出会った、葉波さんという方が、詩のようなメールを送ってくださることに刺激されたためでした。
そのとき僕は、ああ詩が書きたいと思った。詩を書いて、世に熱を送りたいとそう思った。

それで詩作を再開することにしました。
恥ずかしさや逡巡する思いもありますが、この「明日に向けて」の一環として書き留めていこうと思います。
僕にとって大事な過去の詩も少しずつ、紹介していこうと思います。

まずは今宵は、詩作の再開に向けてそのものズバリ、「詩作」という作品、そして過去に書いた「君へ」という作品をお届けします。

********

詩作

僕はかつて
たくさんの詩を書いた
ノートの上に、便箋の上に、パソコンの上に

それらの詩を僕は愛した
でもどうしたことだろう
僕の詩作はここ数年、途絶えてしまった

今、その理由がわかる
僕はあのとき、僕のために詩を書いた
僕が生きるため、苦難を乗り越えるために書いた

でもいつの間にかそれは
僕にとって必要のない行為になった
僕は40歳台という人生の大きな壁を越えた

僕の言葉たちは僕の励ましであり
苦境を乗り越えようとする気合だった
だからそれは自然に眠りについたのだ

そうして今、
僕は再び新たな詩作をはじめようとしている
何のため?明日のためだ

明日を人々とともに
紡ぎ出していくためだ
われらの苦境を越えるためだ

だからそれは、正確には
僕のためでないわけではないが
しかし僕のためだけなのではない

人々と可能性を開きたいのだ
そのための熱を生む必要があるのだ
可能性は信じることから始まる

そのために僕はまた
言葉を編んでいこう
日々、刻々と、編み出していこう

言葉よ、熱を産め
熱よ、可能性を開け
可能性への確信こそが未来を作るのだ

20121017

君に

心が震えている
静かに目を閉じて、耳を傾けると
ホラ、その音が
こんなにも聞こえてくるものだ

そのさざ波は、あるいは喜びであり
あるいは哀しみであるのかもしれない
しかし、いずれにせよ、確かなことは
こうして、心が
脈を打っているということなのだ

君も、今宵
できれば、一人きりになって
そっと、胸に手を当てて
そうして、君の心の震えに
耳を傾けてみたまえ

そうすれば、君は
今よりも少しだけ君が
いとおしくなるだろう
そうすれば、君が、いつしか君を
邪険にしてやしなかったかと
少しだけ思い返す気持ちも
沸いてくるだろう

そうだ、そうして君は
君と仲直りするがよい
君のかけがえのなさを
思い出すがよい

そうすれば、明日の朝
君の目には、いつもより眩い光が
もたらせるはずだ

そうして君は、出逢う人々に対して
いつもより少しだけ柔らかく
接することができるだろう

・・・人の心には浄化作用がある
それは実は
訓練によって高められる力だ
それを引き出すためには
ただ己と毎日
静かに見つめ合うことが
必要なのだ

そのために
今宵、君は
一夜のレッスンを
試みてみるといい

そしてもし
それを上首尾に
やりとげることができたのなら
明日の朝
僕を見て
ニコッと笑いかけてくれたまえ

19990117 0509改訂