守田です(20190325 17:00)

今回の統一地方選で、僕は「関西無所属ネットワーク」と京都市の日本共産党の方たちを応援しています。
今回よりその一環として候補予定者の方たちへのインタビューを掲載していきたいと思います。はじめに日本共産党京都市議(左京区選出)の加藤あいさんに話をうかがいました。
以下、3回に分けてお届けします。

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● 選挙に向けて共産党のメンバーのセルフヒストリーが見えると良いのでは?

守田
統一地方選にチャレンジする共産党の方にインタビューを行いたいと思いますが、みなさん、選挙であまり自分のことを押しださないですよね。だから僕がセルフストーリーを聞いて内面の魅力を引き出せたらなあと思っています。

加藤
一期目はよくやるのですけれど現職になると議員としてやってきたことがお話のメインになるのでセルフストーリーを語らなくなるかな。

守田
それに感情が伴うといいと思うのですよ。みんなもっと舞台裏も知りたいし。

加藤
まあ、人間味やね

守田
そうなのですよ。そこが見えないと党内にいろいろな意見があることも見えない。

加藤
そうか。選挙に向けたチラシ一枚作るのにもいろいろ意見があって、実際にはこんなに苦労しているのに(笑)。

守田
それもあってインタビューをさせていただきたいのだけれど、やはりまずはどうして議員になったのかから始めましょう。

左京区田中の加藤あい事務所の前で

● 私の場合、まず共産党に参加し、党を増やそうとし、その中で選挙に出た

加藤
うーん。実は私の場合、そこですぐにセルフストーリーになるわけでもないのですよ。共産党は他の党のような「議員政党」ではない。(注 議員だけで大衆的根のない政党の意)。
共産党には草の根で運動があって党員がいて、政党や政策を広げようとする日々の活動がある。むしろベースとしては共産党の一員としてこの政党を大きくしたいと思って活動しているのですよね。
でも守田さんがおっしゃっているのは、その場合でも自分をスタートにおいて能動的になった方が楽しいということですよね。それはすごくよくわかる。

守田
では加藤さん自身はどう考えているのでしょうか?自分の志向性というか。

加藤
自分の人生においてということですか?私は高校生のときに運動を始めたのだけれど、「政治を変えたい、社会を変えたいと言うことを大きな声でみんなに言いたい」と強く思っていました。
でも政治というとすごく特別で高校生同士で話したりしていない。そのころはテニス部にも入っていたのですが、けっこうハードでテニス一色。その中で政治の話をすることができなかったのです。
だから高校では一切活動のことは言えず自分が二つに分裂していてとっても嫌でした。そのため大学では学生自治会に入ってフルに活動しました。

佛教大学で活動をしながら教職をとったのだけれどなかなか教員になれませんでした。どうしようかなと思っていたら「共産党で働かないか」と言われて共産党の専従になり、その後に民青の専従になりました。
父には「一度も社会に出たこともないのに共産党の専従になるなんてやめた方がいい」とか言われました。でも父は娘には極めて弱いので「そう。お父さんの意見は分かった」で終わりだったのですけれども(笑)

それで民青の専従だったときに「候補者になりませんか」という話が来たのです。そのときは正直言って議員とはなんだかよく分かっていませんでした。社会を変える運動をずっとやっていこうとは思っていたけれども議員になるなんて考えたこともなかった。
でも「社会を変える」こととなにも矛盾しないので「それじゃあやります」と受けたわけです。だから最初の選挙、周りの人が相当、大変だったと思います。

守田
でも当選したのでしょう?なぜですか?

加藤
それはもう前の人のしっかりとした地盤があったからですよ。「共産党ってこんな風に活動してんねや」って逆にすごく学ばされました。
いろんな地域のお世話活動とか、住環境を守る運動とか、政策を掲げて政治運動をしているだけではなくて、社会を日常から変えようといろいろ動いている。「すごいなあ」って思いましたね。
あのときは27歳だったし、分かっていることなんてほとんどありませんでした。「選挙に出てみませんか」と言われて出て、そこから知ったことの方が本当に多いです。

守田
その点では議員になって良かったですね。

加藤
そうですね。うん、そうですね。でも「そうですね」とは言えないような状態の時もあったけれども。

● 議員ってめちゃめちゃ忙しい!

守田
どういう状態のとき?

加藤
議員ってめちゃめちゃ忙しいのですよ。本当に。疲れているときとかは「はあ、しんど・・・」って思いました。

守田
忙しいのはどういうところ?

加藤
例えば私は議員になってすぐに出産したのです。ところが夜に出ることが多い。いろいろな会合があっていかないといけない。もちろん学ぶこともたくさんありますから行った方が絶対に良いのです。
でもそうすると子どもをおいていかないといけない。それがすごく辛かったですね。気持ちが子どもに引きずられるのです。行かなきゃいけないから行くけれど「はあ~」って思っていました。

守田
どうやって乗り越えたの?

加藤
保育所でのつながりです。間違いなく。素晴らしい保育園なのですよ。私なんかよりももっとめちゃめちゃに働いているお母さんがいるのです。
自分は議員をしていてものすごく忙しいと思っているけれども、産婦人科の女医さんとか私よりも忙しい女性たちがいっぱいいた。
あるときこんなことがありました。私が夜に出かけていくと子どもが手紙を書いておいておくのですよ。「お母さん、先に寝とくよね」とか。それが辛くて。
「くーっ」と思って、それをその女医さんに言ったら「それはねえ、加藤さん、返事を書くのよ」と言われて。私はそれで返事を書いてすごく救われたのですよ。

守田
どんな返事を書いたの?

加藤
中身はあんまり覚えてないのですけど、私は私に投げかけられた言葉に母親として申し訳ないと思っていたわけです。
でも子どもは責めるつもりなんかなくて単純にお母さんに手紙を書きたいと思って「ちゃんとお風呂に入ったよ」とか書いているわけやから、「ちゃんとお風呂に入れて偉いね」とか、あったことに対して「お母さん、こう思うよ」と書いて渡せばいい。
それが分かったのです。

そんなこと、「子育て本」には書いてないし、学校でも教えてもらえない。でも「私、本当にこれが辛いのよ」と言って、「私はそんなときこうしたよ」と同じ立場の人から教えてもらえた。
他にも出版社で働いているお母さんとか、研究者とか、ハードワークの人がたくさんいました。そういう同じ立場の人たちの中にいたのが良かった。

全員制のあったかい中学校給食を目指してデモ(加藤あいさんのFacebookページより)

● 社会とのつながりこそが大事!子育ても、社会活動も!

加藤
ああいうとき「自分だけが大変な思いをしている」みたいになると救われないのですよね。そうではなくて、みんな頑張っているという点が大事なのです。だから私はそうやって頑張っているみんなの状態が良くなるといいと思います。
その点では女性の政治参画の促進という場合でも、確かに女性議員の数を増やすことは大事です。どう考えても少なすぎますからね。でも女性議員を増やすという視野だけではまったく不十分だと思うのですね。
主権者の人たちとつながってどうしたらもっと多くの女性たちが社会に関われるようになるのかを考えないと。みんなと接点を持ちながら社会の制度や仕組みを変えていくことが大事だと思います。

守田
なるほど。それで27歳で当選していつお子さんを生んだのですか?

加藤
選挙は2003年、出産は2004年でした。

守田
そのときに今は参議院議員で当時は先輩市議だった倉林明子さんの尽力があったのですよね。

加藤
それまで議員の欠席理由に「出産」が入ってなかった。だから倉林さんの奮闘などで会議の欠席事由に「出産」が明記されました。
でもねえ、そのころのこと、あまり詳しく覚えてないのですよ。忙しすぎて。大変過ぎて。先輩の倉林さんとか井坂博文さんとか相当に配慮してくれたと思うのです。でも精一杯すぎて私には見えてなかったです。

守田
よく頑張りましたね。

加藤
ありがとうございます。でも一人目の時は本当にしんどかったですね。委員会の質問とかも、家に帰ったら子どもの面倒みなあかんから準備ができないのです。寝かせてからやろうと思ったら、こっちが焦れば焦るほど寝なかったり。
もう疲れ果ててしまうのですよ。あのころのこと思い出せないですもん。ほぼ、記憶喪失。

守田
すごいねえ。

加藤
周りが相当に配慮してくれたのと、保育所の仲間がいたから過ごせました。仲間は宝です。むしろ孤独に家で子育てしている「専業主婦」の方がしんどいと思いますね。

守田
危ないよね。孤立してね。

加藤
社会との接点と仲間たちないと子どもを育てられないと強く思いますね。だから公立保育園を京都市がどんどん廃止しているけれど絶対に反対です。公立の保育所は公務員が配置されるので、職員体制が安定しているのですよ。
保育所に来ている子どもたちを保育するだけではなくて、アウトリーチといって一人で家で子育てしているお家に訪問したりしているのです。そういう機能をもっと京都市は充実すべきですよ。

自分は確かに大変やったけれど、議員という仕事をしているわけでしょう。子どもから離れて社会と接点を持ってそこには自分の発露もある。保育所に仲間たちもいる。
だからなんとかやれたけれどもずっと家にいてずっと子どもと一人で向き合っているのはちょっと無理だなと思います。だからそういうアウトリーチのような機能をもっと充実することが大事なのです。

続く