明日に向けて(2378)京都の隠れた歴史散歩➁ 若王子山のクリスチャン墓地を訪ねる~新島襄の同志社墓地~にご参加を(9月17日日曜日午前10時半集合)

守田です(20230911 23:30)

● 京都市内に大きなクリスチャン墓地が

「知ってるようで、実は知らない京都を訪ねよう!-守田敏也さんと歩く京都の隠れた歴史散歩」の二回目が行われます。
今回目指すのは京都市東山の若王子山頂上にあるクリスチャン墓地です。中心にあるのは同志社墓地、その左手にイギリス国教会系の聖公会の墓地があります。同志社墓地の裏手には京都ハリストス正教会の墓地があります。

集合は熊野若王子神社入口。哲学の道を銀閣寺側から歩いていくと南のはてにあります。「東天王町」バス亭から徒歩10分です。
ここに10時30分までに集まり、そこからゆっくりと若王子山を登っていきます。標高183メートル。それほど大したことはないですが靴はしっかりしたものがおススメです。

参加費無料ですが、僕のガイド料としてお気持ちで1000円ぐらいのおひねりをいただいています。
当日、雨模様の場合、開催の可否は、午前8時から9時の間に以下にお電話下さい。090-1912-8849 竹内
なお今回もLIVE配信も行う予定です。

以下からチラシが入手できます。
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9928c95c2791f696e85df962dd69739f

● 社会的共通資本研究センタ―フェローのときに通い出した

僕がここを訪れだしたのは、2004年に同志社大学社会的共通資本研究センターにフェローとして参加させていただいてから。そこで「社会的共通資本としての京都」という研究を行い、同志社の創設者、元会津藩士の山本覚馬に学び始めました。
それで維新後の京都の復興にクリスチャンが大きな力を発揮したことを知りました。その中心が同志社ですが、それだけではない。御所を取りまく京都御苑の周りを歩いて見ても分かります。京都御苑の周りにぐるっと教会がひしめているのです。
大きなものとしては、北に同志社教会、東に日本基督教団洛陽教会、西に聖公会の聖アグネス教会、南に京都ハリストス正教会があります。

同志社教会礼拝堂 ネットより

これらは一例で京都YWCAなど教会関連機関がずらずら並んでいる。どうしてなのかというと、幕末の戦乱の大火=「どんど焼け」で御所より南の一円が失われたのですが、その後の復興のためにクリスチャンが活躍したからです。
一方で京都を燃やした維新政府は、近畿に強い地縁を持つ天皇家を取り込むため、京都を捨てて東京に移り、公家たちもついていきました。それで廃墟となった御所の周りにクリスチャンが入り込んだのですが、その先頭に立ったのが山本覚馬でした。
彼もこの過程でキリスト者となりましたが、町衆に働きかけて明治政府よりも早く小学校を建てました。さらに覚馬は京都府議にもなり、初めての会議で議長に選ばれてしまった。なんと近代京都の府議会は初代議長にキリスト者を選んだのです。

同志社女子大学ホームページより

● 維新後の京都の復興に尽力したクリスチャンを偲んで

その山本覚馬や彼が支えて共に同志社を創設した新島襄が、この若王子墓地の中の同志社墓地に眠っています。興味を惹くのは隣に聖公会の墓地があること。新島襄はピューリタンの末裔。それを迫害して英国から追い出した国教会系の墓地が並んでいます。
同志社墓地の裏手にある京都ハリストス正教会も同志社に深い縁があります。群馬県安中出身の若きサムライだった新島襄が、禁制を破って渡米を敢行したわけですが、それを助けたのがニコライ・カサ―トキンだったからです。
ニコライは正教会の大主教、日本正教会を始めた方。(正教会の中にロシア正教会、日本正教会などがある)。日本が開国し始めたころに函館に渡来しましたが、函館を出られず悶々としていた時に飛び込んできたのが新島襄だったのでした。

同志社墓地 門を開けると正面に新島襄の墓碑がある 守田撮影

正面から左手の奥に山本覚馬の墓が 守田撮影

新島はニコライに日本語を教え、共に「古事記」を読み解いています。反対にニコライは英語と世界情勢を新島に教えました。このニコライのサポートと備中松山城の板倉勝清の援助の下、新島はアメリカに旅立ったのです。
その日本正教会が京都に伝来して建てたのが京都ハリストス正教会で、立派な聖堂が建っていますが、他の聖堂が空襲などで焼失したため、日本正教会の現存する聖堂・会堂のうち、ロシア宗務局承認設計図譜に基づく最古の聖堂となっています。
若王子墓地に立つと、そんな風に維新後に街を築き上げたクリスチャンたちの往時の活躍が目に見えてきます。これが京都の魅力の一つなのです。京都=神社仏閣なのではありません。異種の人々のかけあいで生まれたハーモニーが京都を彩っているのです。

同志社墓地と並んでいる聖公会の墓地 守田撮影

● おもろい街京都を知り受け継ごう

京都というと多くの方が「古い日本の伝統が詰まっている」と考えるでしょうが、京都は常にその上に新しいものを加えてきています。その点で京都は「ミーハーな街」なのです。新しいものが大好き。そもそも仏教とて舶来思想です。
大陸から船でやってきて、初めは奈良に浸透しましたが、都が京都になってから、たくさんのお寺が建てられました。そしてそのお寺が時に激しく争い合った。豪族なども入り乱れて敵対しあい、応仁の乱では街が灰燼に帰しました。
そんな戦乱の跡も京都はあちこちにあり、そうであればこそ、互いに思想信条が違うものたちがどうしたら共存していけるのか。そんな知恵も京都にはつまっている。そんな中で諸芸が生まれ、おもてなしの精神が生まれ、文化が咲き誇ってきたのです。

それらが「おもろい街京都」を形作っています。「社会的共通資本としての京都」に学んで僕がつかんだのはそんな京都の魅力でした。それをもっと愛し、慈しみ、発展させたい。そのためにもっとみんなで学びたくて「歴史散歩」を発案したのでした。
京都では来年、市長選が行われ、わが友福山和人さんが再度、挑戦されますが、実は「おもろい街京都」という言葉は、彼が出馬会見の時に打ち出したもの。「そう!これだよ」とビリビリ来ました。
17日、その福山和人さんもお誘いし、京都文連のみなさんと一緒に、若王子墓地を訪れます。京都を愛するみなさん、あるいは興味をお持ちのみなさん。ぜひご参加下さい!

大文字山からの京都市内 東山連山から街を一望できるのも京都の魅力 真ん中より上に見える緑地が京都御苑 守田撮影

#京都のクリスチャン墓地 #若王子墓地 #同志社墓地 #社会的共通資本 #同志社大学社会的共通資本研究センター #山本覚馬 #新島襄 #ニコライカサ―トキン #聖公会 #京都ハリストス正教会


核と原発、戦争と社会的共通資本に関する研究、取材、執筆をカンパでお支え下さい!
振込先 ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
Paypalからもカンパができます。自由に金額設定できます。
https://www.paypal.me/toshikyoto/1000