守田です(20190106 10:30)
中西経団連会長の元日会見に関する分析の続きです。
● 中西氏は政府にエネルギー政策の見直しを迫っている!
中西会見についてより踏み込んだ分析のもとに「政府にエネルギー政策の見直しを迫っている」と捉えて報じているのが東京新聞の昨日(5日)の朝刊です。
リードで以下のように論じています。
「経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が原発政策について「国民が反対するものはつくれない」として国民的議論の必要性を指摘した。
経団連と足並みそろえて原発再稼働を進めてきた安倍政権。「パートナー」のはずの経団連からも見直し論が出てきたことで、コスト高騰で競争力の失われた原発を無理に進めようとする政策の矛盾が鮮明になっている」。
僕もこの分析が正しいと思います。しかしいまのところ最大手の読売・朝日・毎日は沈黙を守ったまま。読売新聞など中西会長の年頭会見については触れながら原発に関しては無視して報じています。
トルコへの原発輸出断念の報を日経新聞がすっぱ抜いたときも大手新聞は沈黙していました。というか原発政策の旗振り役を務めてきた読売新聞はいまも沈黙を続けたままです。
各社とも政府のエネルギー政策の根幹に触れる問題なので慎重になっているのかもですが、しかしそれでなんのマスコミなのか。この点で東京新聞はさすがです。報道機関として信頼できます。その記事をもうすこし見てみましょう。
「本来なら中西氏は原発の推進に回ってもおかしくない立場だ。
・・・それにもかかわらず、中西氏が国民的議論の必要性を指摘するのは、日立の英国への原発輸出計画を通じて、コスト面からの原発への逆風を身をもって感じているからにほかならない」。
「一方で、再生可能エネルギーのコストは急低下しており、日本の原発輸出計画はトルコやベトナムなどでも相次いで行き詰まっている。原発輸出を成長戦略ととらえる安倍政権は英国向け輸出を推進したい考え。
だが、日立には、このままでは経産省の政策に沿って海外の原発会社を買収した結果、大損失を被った東芝の「二の舞い」になりかねないとの危機感もあるとみられる」。
原発政策の矛盾鮮明 経団連会長、コスト高指摘
東京新聞 2019年1月5日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201901/CK2019010502000124.html
● 原発政策は音を立てて崩壊しつつある!だからいまこそ反原発運動を強めよう!
そうです。中西発言には安倍政権批判が含まれているのです。素直に会見の内容を読むとそう思えます。
原発建設を進めるために国民的議論を進めたいのなら「全員が反対するものを無理やり作るということは民主国家ではない」とまでは言わないでしょう。
「8年も製品を造っていない工場に存続のための追加対策を取るという経営者として考えられないことを電力会社はやっている」とも。
確実に言えることはもはや原発メーカーが疲弊しきっていることです。
大事なのはその先。だからいまこそさらに原発反対の声を高めることが大切だと言うことです。この国を大きく原発からの撤退に向かわせる目がいま見えつつあるのだからです。
それはこの間の私たち民衆の努力が紡ぎ出してきたもの。そして私たちは正念場にさしかかりつつあります。
さらに具体的なことを提案します。日立によるイギリスへの原発輸出はほぼ断念の方向で固まっていますが、まだ正式決定されてはいません。
なので確実に輸出を止めさせるための努力の継続が必要です。
この点で東京のFoE Japanが署名を呼びかけているので、まだの方はぜひご協力ください。
第一次集約が1月7日締め切りで8日に提出だそうです。その後、第二次集約もありますが、ぜひ8日に少しでも多くの署名を集めたいです。
以下のページから署名に入ることができます。
「誰のためにもならない日立・英ウィルヴァ原発建設計画を中止してください」
http://www.foejapan.org/energy/export/181012.html
みなさん。核の灯を止めるために頑張りましょう!
連載終わり