守田です(20181219 23:30)

● 「もう限界だよ」!

このところ海外への原発輸出断念の報が続けて流れました。
4日に三菱重工によるトルコ・シノップへの輸出の断念の報、16日に日立製作所によるイギリス・アングルシー島への輸出の報が相次いで出されました。
正確には両者ともにまだ正式決定が出ていませんが僕はもうこの流れは不可避的だと思います。

この件に関するNHKの報道をご紹介します。

日立 中西会長 イギリスの原発建設計画「難しい状況」
NHK 2018年12月17日 19時32分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181217/k10011750391000.html?utm_int=news-business_contents_list-items_037

ここでは次のように報じられています。
「日立の中西会長は17日の経団連の記者会見で、『難しい状況だというのは事実だ。もう限界だよとイギリス政府には言ってある』と述べました」。
「もう限界だよ」というのはまさしく日立の本音でしょう!

● さらに一押しのための署名にご協力を!

ただしさらに一押しも二押しもした方がいい。
その点でFoEJapanがいままさにこの時に、以下の署名を求めているので僕もサインしました。
みなさんもぜひご協力ください。愚かな原発輸出をこれで完全に止めましょう!

▼あと一押し! 署名にご協力を!!
(一次締め切りを1/7に繰り上げました)
http://www.foejapan.org/energy/export/181012.html
http://www.foejapan.org/energy/export/180305.html

● 国内での再稼働が強まる可能性が・・・

さて安倍政権と原子力推進派による原発輸出路線が完全に潰えつつあるいま、今後、政府と原子力推進派が国内の再稼働の動きを強めてくる可能性があります。というかもうそれしか道がない。
懸念されるのは、政府や電力会社、メーカーなどが追い詰められて遮二無二再稼働に走ることにより、事故の可能性がより高まることです。
私たちはいま原子力産業が風前の灯にあるとともに、だからこそ断末魔のように無理な稼働に走る可能性があることをしっかり見据えておかなくてはなりません。

そこで私たちが対抗的に訴えなければならないのは、そもそも世界中のどこにも売れない原発を日本で動かし続けて良いはずがない!という点です。
原発はなぜ売れないのか。いま考えられる安全対策を施すともうそれだけでコスト割れするからです。
では日本の原発はなぜ採算に合うのか。答えは簡単です。いまほど安全対策を施さず十分にペイできる予算で作ったからです。まさにここが問題です!

● 世界に売れない原発を動かし続けて良いはずがない!

原発はすでにして新しく作ろうと思ったらとても採算に合わないしろものなのです。
反対に言えば、かつて作ることができたのは、今よりもずっと安全対策のレベルが低かったからです。
だとしたら「そんなもの動かしてはいけない!」という答えは簡単に出ます。

「いや新規制基準で安全対策を追加したではないか」という反論があるかもしれません。
しかしあらゆるプラントで言えることですが、もともとの設計段階に入っておらずに後付けしたものはそれだけでもう信頼性が低いのです。
例えばベントしかり。福島原発事故の際、後付けのこの装置はなかなか作動しませんでした。1号機と3号機は圧縮空気を送り込む「ウルトラC」で弁が開きましたが、2号機は最後まで弁が開かなかった。ベントなどできなかったのです。

この点で後から多様に付け足した「安全対策」ほどあてになるものはありません。
だからこそ何重にも対策が重ねられているのでもあります。一つ一つが信頼ならないからこそ次から次へと対策が重ねられているのです。それ自身、根本的に安全性を確保できてない証左です!
これらの点をしっかり踏まえて、私たちは「世界のどこにも輸出できない原発を国内で動かして良いはずがない!」という声を上げましょう。いまこそ「すべての原発の運転を止めて廃炉にせよ」という声を高めよう!