守田です(20181204 17:00)

● 勝利宣言!トルコへの原発輸出をくいとめたぞ~~!

みなさま。日本政府と三菱重工がトルコのシノップへの原発輸出を断念しました!やったあ!私たち民衆の大勝利です。ここに高らかに勝利宣言を発します!
この勝利はなんといってもトルコのみなさんの努力によってもたらされたものです。同時に世界民衆の「危険な原発の建設・運転をやめよ」という声の高まりこそがもたらしたものです。

トルコのみなさんに心からの祝福と感謝を述べたいと思います。そして私たちは祝杯をあげましょう!
建設予定地だったシノップの写真をご紹介します。

● 民衆運動の高まりが輸出・建設を阻んだ!

この事実は本日4日午前中に日経新聞が報じ、午後になって東京新聞によって報じられました。今後各社の報道が続くと思います。東京新聞の以下では以下のように書かれています。
「政府と三菱重工業が、共同で進めてきたトルコへの原発輸出を断念する方向で検討に入ったことが四日わかった。関係筋が明らかにした。建設費が五兆円と当初想定の二倍にのぼる見込みとなり、安価な建設を求めるトルコ側との交渉が難航しているためだ。
安倍晋三政権は原発の海外輸出を成長戦略の柱に掲げており、トルコへの輸出計画が頓挫すれば戦略の見直しは避けられなくなる」

断念の最大の理由は「建設費が五兆円と当初想定の二倍にのぼる見込み」となったこと。採算がまったく合わなくなったことにありますが、理由は安全対策のための建設費が高騰したこと。
ではなぜ安全対策が強化されたかといえば、原発の危険性に目覚めた私たち日本民衆をはじめ、世界各地で民衆が起ちあがり、運転や建設の中止を求める声を高めたからです。
原発路線をひた走る各国政府は「安全対策」を強化することで批判をかわそうとしたわけですが、そのために莫大な費用がかかってしまい、それでもう採算が合わなくなってしまったのです。
だからこの勝利は私たち民衆がつかみとったものです!

日経新聞20181204より

● これでトルコと日本の友情が守られた!

このことでトルコと日本の信頼関係が守れたことも強調したいです!
僕はこれまでトルコに4回招かれ、各地で講演させていただきましたが、そのたびに感じたのはトルコの方たちの日本に寄せてくださっている篤い信頼でした。
トルコでは「エルトゥールル号遭難事件」が広く知られています。オスマン帝国の軍艦が1890年に日本に親善訪問した帰途に和歌山沖で海難事故で沈没。近くの漁民たちが命がけで生存者を救助し、日本海軍が彼らを祖国に送り届けたのでした。

この話は映画にもなっています。予告編をご紹介します。
『海難1890』
https://www.youtube.com/watch?v=Iadt_c4pBwI

こうしたことからも、また日本が原爆を落とされながら平和国家として再建してきたことからも、トルコの方たちの日本への信頼感はとても篤いものがあります。
だからトルコで奮闘している人々に招かれた僕の役割は「日本の安倍首相は大嘘つきです。けして信用しないでください」と繰り返すことでした。
そんな中でトルコの方たちが日本の原発を断固拒否し、さまざまな行動を重ねてくれて中止にいたったわけですが、僕はこれでかえってトルコからの日本への信頼が守れたとも思っています。
原発が事故を起こし、トルコの人々を傷つけ、長年に亘る友情も失ってしまう危険性が遠のいたからです。
僕は日本国の利害のために動いているわけではありませんが、僕の方がよほど日本への信頼を守り、日本人総体のためにもなる活動を重ねているとも思います。

はじめてトルコで講演した翌日(2014年3月)の新聞記事。通訳してくれているのはプナールさん

日本からのアピールをいつも丁寧に大きく扱ってくれるトルコのマスコミ

● いろんな方たちが奮闘した!

ちなみにこうした活動に大きく貢献してくださった二人の日本の友を紹介しておきたいです。
1人は丹下紘希さんです。丹下さんは「あなたを心配する手紙」というトルコ語で語るビデオレターを作り、たくさんのトルコの方たちの胸を打ちました。

あなたを心配する手紙 / Dir TANGE KOUKI NOddIN
https://vimeo.com/92443743

トルコ語でもし日本から輸出した原発が事故を起こしたら「謝っても謝りきれない」と訴えた丹下さん

もう1人は僕がトルコに通い出した時にイスタンブールに在住で、僕の講演のたびにサポートをしてくれ、自らもシノップの集会などを取材して伝えてきてくれた森山拓也さんです。
彼がこの9月に行った写真展の記事をご紹介します。

「原発とたたかうトルコの人々」 同大院生、3年かけ取材写真 59点「現地の声、伝えたい」 北区で /京都
https://mainichi.jp/articles/20180912/ddl/k26/040/357000c

毎日新聞の記事より

僕は丹下さんとも森山さんともトルコを通じて知り合いました。トルコが私たちの友情をももたらしてくれました。
これ以外にも今年トルコを訪問した大熊町議の木幡ますみさんや、長年、アジアへの原発輸出を止めるために奮闘されてきたノーニュークスアジアフォーラムの佐藤大介さんなど、日本側から活躍された方はほかにもたくさんおられます。

● プナールさんに心から感謝を伝えたい!

もちろん僕ら日本側の人々が担えたことはほんの一部で、今回の勝利はなんといってもトルコの方たちの努力でつかみとられたことを再度、強調しておきたいです。
たくさんの方の顔が浮かぶのですが、トルコと日本のかけはしとなっての活躍ということでは、なんといってもプナール・デミルジャンさんの活躍に感謝を述べておきたいです。

イスタンブールの日本領事館の前でトルコ・日本核合意の撤回を求めて行動するプナールさん

彼女は僕がはじめてトルコに招かれた2014年3月、通訳がいなくて困り、プロの通訳協会に頼んだ時に「私がボランティアで引き受けます」と彗星のように現れてきてくれたのでした。
しかもその時から原発に反対するアクティヴィストとして行動し、僕がトルコに行くたびに行動を共にしてくれたり、さまざまな運動に参加して奮闘してきてくれました。
国際会議にもたびたび参加し、日本にも数回にわたって来てくださいました。今年9月に訪日してくれたときの動画をご紹介します。

20180925 UPLAN PinarDemircan「トルコの原発をとりまく状況」
https://www.youtube.com/watch?v=qaacGhnc6Zs

こうしたプナールさんの奮闘のもと、トルコと日本の民衆サイドのがっちりした団結が作られ、今回の本当に嬉しい結果に結びつけられたことをみなさんにご報告したいです。

● 残されたイギリス・アングルシー島への原発輸出をとめよう!

原発輸出は安倍政権の「成長戦略の柱」ですが、これまでベトナム・リトアニア・台湾で失敗しました。東芝も子会社の米ウェスチングハウスが経営破綻し、海外での原発建設事業から完全に撤退しました。
トルコへの輸出計画が失敗に終わることで、あとは日立製作所によるイギリス・アングルシー島の計画だけが残りますが、これまた当初のコストを大幅に上回っています。
私たちがいま声を大きくすればこの計画も確実に止められます!そして原発輸出路線を完全に終わらせれば、日本の原子力政策を止める日も確実に近づきます。
だからこそ、今日はトルコでの勝利にみんなで祝杯をあげ、明日からさらに歩みを強めましょう。団結すれば核の灯は必ず止められます!