守田です(20180429 23:30)

4月27日の電撃的な南北首脳会談による和平の促進の流れに対し、欧州の多くの国が水面下で関わっていたこと、このため欧州が朝鮮が「核実験中止」に言及したことに驚かなかったという報道がなされています。

欧州が驚かなかった北朝鮮の核実験中止
欧州総局編集委員 赤川省吾
2018/4/27 5:50 (2018/4/27 8:44更新)日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29868430W8A420C1000000/?n_cid=DSPRM1489

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ここで紹介されているのは朝鮮と国交があり、これまでも数々の「平和外交」を手掛けてきたスウェーデンが朝鮮とアメリカの仲介役を務めたことです。
また「旧共産圏」であったポーランドも朝鮮と国交があることから和平に積極的に関与したのだそうです。
さらにこうした動きにドイツも乗るとともに、なんと「グアムなどがミサイルで攻撃されてもNATOは動くべきではない」と与党・社会民主党幹部がアメリカをけん制していたといいます。
ドイツは仮に朝鮮とアメリカが武力衝突した場合は、アメリカ寄りの立場をとらず、中国やロシアと仲裁に入ることも検討していたと書かれています。

素晴らしい!感動しました。また深い感謝の念が沸いてきました。
こうした平和に向けた努力のおかげで東アジアの安全が保たれているのだからです。もちろんそこには私たちの命や財産も含まれます。
ちなみに記事の中でスウェーデンは「中立国として和平外交をお家芸にする」と紹介されています。なんと素晴らしい「お家芸」なのでしょうか。同時に「憲法9条」を持つ日本政府が、その立場にいないことがとても残念です。

同時に記事では「アジアをよく知るEU外交筋の指摘」が次のように紹介されています。
「北朝鮮を取り巻く5カ国(米中ロ日韓)のうち、最も影響力がないのが日本。交渉の主導権も握れていないのに外交対話から距離を置けば、ますます置き去りにされる」。

その通り。日本はこの和平プロセスから完全に「蚊帳の外」にあるのです。
いや実際には「蚊帳の外」にとどまらず、もっと悪い動きを繰り返してきたのが日本政府でした。むしろ朝鮮半島の危機を政権支持率アップに利用せんと、内外で対立を煽り続けのだからです。

その象徴の一つが昨年秋の解散総選挙でした。安倍政権はこの時、朝鮮半島情勢を念頭に「国難突破」を呼号し、朝鮮への対決姿勢を強化することを掲げました。
しかし本気で米朝が戦争に向かっていると思っていたのかと言うととてもそうは思えない。そもそも本当に国難が目の前にあるのなら、そんなときに解散総選挙をやること事態がまったく間違っていたからです。

にもかかわらず、麻生副総理は選挙戦で「難民が大挙してやってくる」などと語り続け、小野寺防衛相も「もし東京に核爆弾を落とされたら大変だ」などと、朝鮮への恐怖を煽り続けました。
その末に「希望の党」騒動で棚ぼた式の「勝利」が自民党にもたらされたわけですが、その際、麻生副総理は「北朝鮮のおかげで勝てた」と露骨な本音をもらしてしまいました。

まさにこの時に、南北朝鮮、アメリカ、中国、ロシア、そしてヨーロッパの人々が、東アジアで戦争が起こらないように奔走していたのにです。
ひとり日本政府だけが対立を煽り続けていた。しかも政権維持のためだけにです。あまりもひどすぎる。

僕はこの問題は、国有財産を私的に奪取した森友・加計問題よりも、さらにより罪深い行いであると思います。
日本の民衆を、アジアの民衆を、さらには東アジアにいるアメリカの人々を、危険に晒す対立を煽ることで「政権維持」を図ったのだからです。
国有財産の奪取にとどまらず、人々の命を弄んだのです。まさにそれゆえにこそ安倍政権は即刻退場すべきなのです。

私たちは、世界中の人々が、私たちをも含むアジアの人々を守ってくれていることへの心からのお礼として、戦争的危機を弄んできたこの政権の総辞職を実現しましょう!