守田です(20250613 23:00)
● ノーベル平和賞と核兵器禁止条約と憲法9条は深くつながっている!
昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞以来、これをどう受け止めると良いのか、繰り返し講演してきました。
そのような中で、「ノーベル平和賞と核兵器禁止条約の関連を語って欲しい」「憲法9条との関連にも触れて欲しい」というご依頼を頂きました。
主催の「「憲法9条の会」長岡京校区連絡会」の方たちからです。「さよなら原発長岡京市民の会」も協賛して下さいました。
それで行った講演のアーカイブをご紹介します。ぜひご覧下さい。
僕なりにこの3つの深いつながりをきちんとお話しできたと思っています。
● 広島の被爆者の声ー峠三吉さんの『原爆詩集』を紹介
これまで僕はノーベル平和賞が被爆者のどんな声に対して授与されたのかを説くため、2022年の長崎平和式典の田上市長(当時)のスピーチをお借りしてきました。
田上さんこの時、被爆者の渡辺千恵子さんのことを紹介されました。学徒動員中に被爆し、落ちてきた梁で腰をやられて、終生、歩くことができない状態ながら、1956年の長崎大会に出席し「二度と私のような被爆者を作らないで」と訴えられた方です。
今回はこれに加えて広島の声を紹介しました。取り上げたのは峠三吉さん。
峠さんのあまりに有名な『原爆詩集』の序を読み上げさせて頂きました。
ちちをかえせ
ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ
わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ
にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ
何度読んでも、心がかきむしられるような詩です。「かえせ、かえせ、かえせ」という悲痛な叫びを通して、へいわを訴える思いが胸にストレートに迫ってきます。ぜひみんなで受け継いでいきたいです。
なお講演ではこれに続いて渡辺千恵子さんの言葉も読み上げさせて頂いています。

守田講演スライドより
● 峠三吉はあの詩を通じアメリカの原爆使用を食い止めようとした
僕がこの詩の紹介に続いて述べたのは、峠三吉さんがこの詩によって、朝鮮戦争による米軍のよる原爆使用を食い止めようとしたことです。
朝鮮戦争は1950年6月に始まり、当初、朝鮮民主主義人民共和国軍は韓国軍を圧倒。一時は釜山一帯にまで追い詰めました。
これに対し一旦は朝鮮半島から撤退していた米軍が地上軍派遣を決定、マッカーサーの指揮のもと、9月に仁川(インチョン)に電撃的に上陸して反攻を開始。
韓国軍とともに国連軍を名乗って北へ進撃し、朝鮮と中国国境の鴨緑江まで北側を追い詰めました。
これに対して中国が人民義勇軍を派遣。10月に川を渡って反撃に打って出ました。国連軍は南部に後退。やがて北緯38度線を流れるイムジン川付近で戦線が膠着し、休戦協定が結ばれました。
この過程でアメリカは何度も原爆攻撃をほのめかしました。とくにマッカーサーは執拗に原爆攻撃を主張した。なんと彼は原発30~50発を朝鮮半島の付け根部分に「落とす」ことを考えていました。
後年、ニューヨークタイムズのインタビューに答えてこう語っています。(1954年1月に行われ死後に公開)
「まず(北に進出している)海兵隊を南に移動させ、その後ろに、満州の付け根の部分に沿ってコバルト60を使った原爆を30発から50発落とす。
その目的は、半島を日本海から黄海まで横切る、放射能に汚染された広い帯状の地帯を作ることだ。(もしくは)車やトラックや飛行機を使って放射性物質をばらまいてもよい。
コバルト60の放射能は60年から120年は消えないから、そうなれば少なくとも60年は北(中国やソ連)から朝鮮への侵入はない。これこそ切り札だっただろう」
これに対して峠三吉さんは仲間とともに、原爆使用を食い止めるために詩を書き続けました。「ちちをかえせ ははをかえせ としよりをかえせ こどもをかえせ」と突きつけることで、原爆を使わせまいとしたのです。

守田講演スライドより
● 原爆使用反対の声が世界に広がる中、アメリカは使用を断念
峠三吉さんはまた吉川清さんら30人の被爆者とともに「原爆障害者更生会」を1951年9月に結成、これが初の被爆者団体でした。
彼はまた「われらの詩の会」も結成。冊子『われたの詩』を発刊して原爆と朝鮮戦争に反対し続け、それらの詩を世界に向けても発信しました。
これが世界中に伝播するとともに、イギリス・フランス政府からも、米軍の使用に対する報復でヨーロッパが核戦争に巻き込まれるとの懸念から、米軍に原爆使用中止を要望。
けっきょくアメリカは、原爆を使えば世界中から孤立すると悟り、原爆使用を断念。最後まで使用をあきらめないマッカーサーを司令官の地位から解任しました。
広島、長崎に次ぐ原爆での大量虐殺、しかも30発から50発の使用というとんでもない事態は、こうしてあやういところで食い止められたのです。
核兵器の使用を実際に食い止めたこの歴史を私たちはしっかり受け継ぐ必要があります。

守田講演スライドより
続く
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