守田です。(20150804 06:00)
とんでもない情報が飛び込んできました。
自民党の36歳の武藤貴也議員(滋賀4区)がSEALDsの学生たちのまっとうな主張を「だって戦争に行きたくないじゃん、という自分中心、極端な利己的考えだ」とツイッターに書き込み、戦後教育が利己的個人主義を蔓延させたと結んだというのです。
より具体的に事態を知っていただくために、滋賀県にも展開している京都新聞の記事を貼り付けます。学生たちの反論も載せている毎日新聞の記事のアドレスも示しておきます。
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「戦争行きたくないは利己的」 自民・武藤氏ツイート炎上
京都新聞 2015年8月4日 5時30分更新
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20150803000071
安全保障関連法案をめぐる学生らの反対集会について、自民党の武藤貴也衆院議員(滋賀4区)が「戦争に行きたくないという考えは極端な利己的考え」と自身のツイッターに書き込んでいたことが3日、分かった。
自発的に戦争に行く姿勢を求めたとも受け止められる表現で、ネット上で反論が相次ぎ、野党も批判を始めた。
武藤議員は先月30日、法案反対を訴える学生らのSEALDs(シールズ)の主張を、「だって戦争に行きたくないじゃん、という自分中心、極端な利己的考えだ」と書き込み、戦後教育が利己的個人主義をまん延させたと結んだ。
これに対し、ネット上では「自衛隊を戦場に送り込むわけでない、との国会答弁とも矛盾する」などと批判が相次ぎ、民主党の枝野幸男幹事長は同日「自民党の強権的な姿勢が総裁から若手議員まで徹底している」と述べて批判。今後追及する姿勢を示した。
武藤氏は自身のフェイスブック上で、「世界各国が平和を願って努力する現代において、日本だけがそれに関わらない利己的態度をとり続けることは国家の責任放棄だ」としている。
自民党:武藤貴也議員、安保反対学生をツイッターで非難
毎日新聞 2015年08月03日 19時17分(最終更新 08月03日 22時12分)
http://mainichi.jp/select/news/20150804k0000m010048000c.html
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京都新聞の記事の中にもあるように、武藤議員の主張は、安倍首相の戦争法案に対する説明とも明確に食い違っています。
安倍首相は「戦争法案という言い方は誤解だ。これは日本をより戦争に巻き込まれなくするためのものだ」と繰り返しているからです。
もちろん安倍首相の主張は嘘です。嘘であるため他ならぬ自民党の議員がまったくそう考えていない。戦争に国民を動員するための法案であると考え、反対する学生たちを「利己的個人主義」だと罵倒したのです。
このあまりに露骨な戦争賛美発言を許してはならないと考えて、武藤貴也議員のブログを参照してみたら、もっとひどいことが平然と語られていることを知りました。これはひどい。本当にひどい。参照したのは以下のページです。
日本国憲法によって破壊された日本人的価値観
武藤貴也 2015年7月23日
http://ameblo.jp/mutou-takaya/entry-11937106202.html
ポイントを述べます。まず「主権在民、基本的人権、平和主義」という憲法の理念を完全否定しています。
「この三つとも日本精神を破壊するものであり、大きな問題を孕んだ思想だと考えている」「民主主義が具体化された選挙の「投票行動」そのものが「教養」「理性」「配慮」「熟慮」などといったものに全く支えられていない」と明言しています。
民主主義についても「人間に理性を使わせないシステム」と断じています。
さらに基本的人権については、戦前の滅私奉公を美化し、以下のように断言しています。
「「基本的人権の尊重」について。私はこれが日本精神を破壊した「主犯」だと考えているが、この「基本的人権」は、戦前は制限されて当たり前だと考えられていた。」
「従って、国家や地域を守るためには基本的人権は、例え「生存権」であっても制限されるものだというのがいわば「常識」であった。もちろんその根底には「滅私奉公」という「日本精神」があったことは言うまでも無い。
だからこそ第二次世界大戦時に国を守る為に日本国民は命を捧げたのである。」
これはもう完全なる軍国主義日本の賛美です。
そしてそうである以上、はっきりしていることは武藤議員は即刻、国会議員を辞めるべきだということです。なぜならば国会議員には憲法順守義務があるからです。
「憲法第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」
そもそも武藤議員はこんなことすら知らないのではないでしょうか。彼の暴言は国会議員としての完全なる自己否定です。
自由民主党も辞めるべきではないでしょうか。なぜって自民党は自由主義と民主主義の政党を標ぼうしているのですから。このような議員がいることは自民党としても完全な自己否定です。
この問題はSEALDsの学生たちへの暴言の域を完全に超えています。
主権在民、基本的人権、平和主義を愛するすべての人に対して向けられた悪罵です。
武藤議員は「民主主義が具体化された選挙の「投票行動」そのものが「教養」「理性」「配慮」「熟慮」などといったものに全く支えられていない」とまで言い切っており、自分に投票した人々までをも愚弄しきっています。
現行憲法のもとでの選挙制度のもとでの己の当選まで否定しているのですから、繰り返しますが、即刻議員を辞任すべきですし、辞任させるべきです。
とくに滋賀県のみなさん。
この議員の暴言を放置してしまうならば民主主義が窒息してしまいます。
環境や人権、民主主義への深い配慮を示してきた滋賀のみなさんのこれまでの努力に悪罵を投げつけたこの自民党若手議員の暴言を許してはなりません。
なんとしても滋賀の人々の力で、こんな暴言を吐いたら、国会議員はすぐにも辞職しなければならないのだという実績をきちんと作りましょう。
この自民党若手議員の暴言には、安倍政権の本音が如実に反映していることも指摘しておきたいと思います。
小選挙区制のもと、安易に当選できるようになってしまった若手議員たちは、選挙民のことなどまったく考えていません。
だから自ら「民主主義が具体化された選挙の「投票行動」そのものが「教養」「理性」「配慮」「熟慮」などといったものに全く支えられていない」などと言えてしまうのです。教養にも理性にも訴えずに当選できてしまったからです。
これは自民党の根底的な劣化を反映するものです。内側から崩れきっているのです。建前としての「自由主義と民主主義」が保てなくなってしまっているのです。
これまでも折に触れて安倍政権は戦後自民党政権の中で最弱であることを述べてきました。民衆の合意をとることができない政権だからです。だからこそ最も狂暴化しているのでもあります。
それは自民党の、金のバラマキによって常に政治的争点をずらし、実際にはアメリカの戦争に全面的に協力し、大儲けしながら、その非道性を民衆に十分に悟られずにきた保守本流路線が抜本的に行き詰ったことを意味してもいます。
同時に私たちは今こそ大きく覚醒すべき時にいることを強く自覚しましょう。日本はこれまでもけして本当の意味で平和ではなかったのです。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争などの戦争犯罪に常に加担してきたのです。
進めてきたのは歴代の自民党政権です。その意味で安倍政権が戦後最悪なのではありません。各政権が最悪の戦争協力を続けてきたのです。だから沖縄をはじめ日本中に米軍基地があり続けているのです。
その意味では主権在民も、基本的人権も、平和主義も、実はまだ確立などしていません。今こそ、私たちが確立すべき時なのです。そのために歴代自民党政府の戦争協力の本性を全面化させている安倍政権を民衆の力で倒しましょう!
最後にこの点を述べている憲法12条を示しておきます。
「第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」
ともに不断の努力を重ねて、平和と人権を守り発展させましょう!それが戦後70年、被爆70年の今、私たちがなすべきことです!
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