守田です(20150314 10:00)

本日14日と明日15日も全国で脱原発集会、企画が予定されています。
ぜひ身近なところで行われる企画にご参加いただきたいと思いますが、その際、ぜひ知っておいていただきたいのは、高浜原発をめぐって福井地裁が運転禁止処分決定を出す可能性が高まっていることです。
この報はすでに各地の集会で説明されていますが、井戸弁護士より滋賀県で原発反対を掲げる人々のMLに詳報が投稿されました。情報を拡散して欲しいとのことですので、この場にも転載させていただくことにしました。

ポイントはこの「大飯3、4号、高浜3、4号運転禁止仮処分事件」の裁判長を、昨年5月に画期的な大飯原発運転禁止の判決を出した福井地裁樋口裁判長が担っていることです。
樋口裁判長は3月末で退任されるのですが、高浜原発に関しては自身の任期内に決定を下そうと3月11日に第2回審尋で審尋を集結させました。
関西電力側の処分決定引き伸ばし戦術を一蹴してのものです。決定期日は3月26日か27日ではないかと予測されています。(5日前にまでに通知されます)

再び原発再稼働禁止が言い渡される可能性が高いです。実現すれば市民と司法の力によって、原発を止める画期的な事柄となります。
昨年の福井判決の場合、控訴されれば確定が遮断され、直ちに原発の運転を差し止める効果には至りませんが、仮処分決定は直ちに効果が発生し、高浜原発の再稼働が食い止められることになります。
こうなれば関西電力は「地元」の合意を取り付けても、再稼働ができません。

一方でこの情報を耳にして、原発再稼働容認に動いていた高浜町議会議長が、朝日新聞の取材に対し「司法の判断にまったく影響を受けないことはない」と答えたと報じられています。
この点も極めて重要です。高浜に限らず、再稼働をめぐって「地元」との新たな討論を深める余地が広がるからです。
原発立地自治体は日本の歪んだ政策の矛盾を押し付けられてきた地域です。仕事などでがんじがらめにされてもいます。そうした地域の人々と原発のない未来に向けてぜひ討論を深めていきたいです。

私たちがしっかり認識しておくべきことは、司法が原発再稼働に厳しい視点を持つようになったのは、福島原発事故そのものの影響とともに、日本中で巻き起こっている原発反対の声の高まりによるものだということです。
この力のもとにようやく司法の流れも変わりつつあります。私たちの命を守るための切実な声が司法界を揺り動かしつつあるのです。このもとで大飯原発運転禁止命令に続き、高浜原発にも運転禁止が言い渡されようとしています。
このことに踏まえて、「原発再稼働反対」の声をより高く上げましょう!民衆の力による原発ゼロ社会実現の可能性をさらに広げて行きましょう!

以下、弁護士の井戸さんが滋賀のMLに流されたメールを転載します。
末尾に、朝日新聞の報道記事も貼り付けておきます。

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井戸です。
情報提供です。

本日(3月11日)福井地裁で、大飯3、4号、高浜3,4号運転禁止仮処分事件の審尋期日がありました。
担当の樋口裁判長は、3月一杯で福井地裁から転勤します。
私たち申立人側は、樋口裁判長に決定を出してほしいため、本日の期日で審理を終えることを希望していました。
他方、関西電力は、直前になって、基準地震動の問題及び使用済み燃料ピットの安全性の問題について専門家の意見書を出すので、その機会を与えるように求めました。
目的が、審理を引き延ばして樋口裁判長に決定を出させないことにあるのは明らかです。

これに対する樋口裁判長の判断は、次のとおりです。
① 高浜3、4号については、設置変更許可が出ており、保全の必要性が認められる。
既に機は熟しているので、決定をする(本日で審理を終結し、今の裁判体で決定するとの意味)。
決定をする期日は、決まったら、その5日前までに双方に告知する。

② 大飯3、4号については、審理を続行する。次回期日は5月20日

関西電力の代理人は、「我々に専門家の意見書提出の機会を与えないということか」と気色ばみ、3人の裁判官に対し、裁判官忌避の申立てをしました。

市民の側が裁判官忌避を申し立てるのは珍しくありません(大津地裁でもしました)が、大会社が申し立てるのは極めて珍しいと思います。
それだけ関電が追い詰められているということです。
この裁判官忌避の申立ては、訴訟指揮に対する不服ですから、認められる余地はありません。
したがって、今月末には、高浜3、4号機の運転を差し止める仮処分決定が出る可能性が極めて高くなりました。
昨年の福井地裁判決のように、本裁判に対する判決は、控訴されれば確定が遮断されますから、直ちに原発の運転を差し止める効果は発生しません。
しかし、仮処分決定は、直ちに効果が発生します。
関電は、原子力規制委員会からすべての認可をとり、地元自治体の同意を得ても、再稼働できなくなるのです。

市民と司法の力によって、原発の運転を現実に差し止める。
その歴史的な事態が今月末に実現しそうです。
原告団、弁護団では、決定告知の日、多くの人に福井地裁前に集まってほしいと思っています。
そして、多くの市民が、福井地裁の決定に喜び、裁判官に敬意を表し、差止め決定を支持しているいうことを全国に示したいと思います。

そのXデーは、3月26日か27日が可能性が高いのではないかと思っています。
期日の告知があれば、このMLで直ちに流しますので、是非、滋賀県からも、多くの市民が福井地裁に駆けつけてほしいと思います。

とりあえず、滋賀県の原発に反対する市民団体が一番たくさん参加していると思われるこのMLに情報提供しました。
それぞれの方が、つながりのある市民、市民団体にこの情報を流していただけたら幸いです。

〒522-0043
滋賀県彦根市小泉町78-14澤ビル2階
井戸謙一法律事務所
弁護士 井 戸 謙 一
℡0749-21-2460 Fax0749-21-2461

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福井)高浜原発の再稼働差し止め訴訟 地裁が結審
朝日新聞 小川詩織、山田理恵 大久保直樹 2015年3月12日03時00分
http://digital.asahi.com/articles/ASH3C5KB0H3CPGJB00Q.html?_requesturl=articles%2FASH3C5KB0H3CPGJB00Q.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3C5KB0H3CPGJB00Q

関西電力高浜、大飯両原発3、4号機の地元住民らが福井地裁に再稼働差し止めを求めた仮処分の第2回審尋が11日、福井地裁であった。
樋口英明裁判長は、高浜については「緊急性」を認めて審尋を終結させた。住民側弁護団は会見で「仮処分申請が却下される理由が見当たらない」と再稼働阻止に自信と期待を膨らませた。

関電側は「争点が多岐にわたり、専門性が高い。仮処分の判断が多方面に影響を及ぼす事案である」として、慎重な審理を求めてきた。しかし、住民側弁護団によると、樋口裁判長は高浜原発3、4号機について「機は熟した」と述べ、結審を告げたという。

樋口裁判長は昨年5月の福井地裁判決で、大飯3、4号機の運転差し止めを命じる判決を指揮しており、住民側弁護団は、今月中にも高浜3、4号機の再稼働を禁じる仮処分を決定する可能性が高いとみている。

申し立てた住民の一人で坂井市の松田正さん(65)は「大きな山を超えた。記念の日になった」。大阪府高槻市の水戸喜世子さん(79)は「福島の事故は何一つ終わっていない。再稼働はあり得ず、頼るのは司法しかない」と期待を込めた。
元金沢地裁裁判長で北陸電力志賀原発2号機の運転差し止めを命じた井戸謙一弁護士(60)は「一般的には、裁判官は負担が大きい判断はしたがらず、決定が延びることもある。樋口裁判長の職務を全うする責任感に感動した」と話した。

住民側弁護団は、関電側が樋口裁判長ら3人の裁判官の交代を求める「忌避(きひ)」を申し立てたことを「大企業が裁判官の忌避を申し立てるのは異例。追い詰められていることがはっきりした」と指摘。
弁護団共同代表の河合弘之弁護士(70)は「私たちの希望が目の前に近づいている。明るい思いだ」と話した。

一方、大飯3、4号機については審理を継続し、5月20日午後3時から第3回審尋がある。(小川詩織、山田理恵)

■町議会の判断に影響あると認識 高浜町議会議長

福井地裁で高浜原発3、4号機の再稼働差し止め仮処分の審尋が打ち切られ、月内にも再稼働を禁じる仮処分が決定される可能性が出てきたことを受け、高浜町議会の的場輝夫議長は11日、朝日新聞などの取材に対し
「司法の判断にまったく影響を受けないことはない」と話し、再稼働を巡る議会判断に一定の影響が出るとの認識を示した。

的場議長は20日の町議会全員協議会で再稼働の同意について議長の考え方を示し、議会の最終判断をとりまとめる意向を示していた。
しかし、「(司法判断が)20日までに出ていれば議長の判断に織り込みたい。出ていない場合は議長の判断に含めず、議員に諮りたい」と戸惑いを見せた。

高浜町議会は今月、高浜原発3、4号機の速やかな再稼働を求める意見書を可決し、政府に提出している。(大久保直樹)