守田です。(20140706 08:30)

安倍政権の憲法違反の閣議決定の強行に対し、各界からさまざまな批判が巻き起こっていますが、さっそく安倍政権の動揺が始まっています。
さらに抗議の輪を広げるために、各界からの批判の声をまとめておきます。それぞれの記事のアドレスを示し、内容については一部のみご紹介しますので、余裕があればリンク先をご参照ください。。
まず安倍政権の動揺ですが、読売新聞の以下の記事がよく表しています。

***

内閣支持率、5割切る…政府・与党に衝撃
読売新聞 2014年07月04日 07時17分
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140703-OYT1T50197.html

読売新聞社は2~3日、集団的自衛権の行使を限定容認する新たな政府見解の閣議決定を受け、緊急全国世論調査を実施した。
安倍内閣の支持率は48%で、前回調査(5月30日~6月1日)の57%から9ポイント下落し、2012年12月の内閣発足以来、初めて5割を切った。
不支持率は40%(前回31%)。政党支持率は自民党40%、民主党6%、公明党4%などの順だった。

安倍内閣の支持率が初めて5割を切ったことに、政府・与党はショックを受けている。
集団的自衛権行使の限定容認に関する国民への説明が不十分だったとみて、「国民に理解をいただく努力をしていく」(高市自民党政調会長)構えだ。野党は「反転攻勢の機会が訪れた」(民主党)と勢いづいている。
菅官房長官は3日のBS11の番組収録で、報道各社の世論調査について「(集団的自衛権行使に関する)閣議決定をすれば、それなりに支持は下がると思っている。
だが、一番大事なのは、国民の生命と財産、国の安全に責任を持つことだ」と述べ、安全保障政策の転換の必要性を強調した。
自民党の萩生田光一総裁特別補佐は記者団に「ネガティブな報道をされたのが影響した」と語った。

***

何か失笑してしまう記事でもあります。あれだけ正当性を欠いた強引なことを行いながら、批判が集まらないと思っていたのでしょうか。
いや「政府・与党に衝撃」とありますから、実際に思っていたのでしょう。この政権を担う人々が、いかに主観的で対話不能なのかがよくあらわれてもいます。

政府が衝撃を受けた理由は、政府べったりの姿勢でいつも政府が有利になるように世論調査を行ってきた読売新聞の集計でも、支持が5割を切ってしまったからでしょう。
集団的自衛権行使を批判している朝日新聞では、6月の段階で内閣支持率が43%まで下落したという記事も出ていましが、安倍政権は批判者の声には無視を決め込んでしまいます。
ところが「お友達」のはずの読売新聞にこのような結果が掲載されたので「衝撃」を受けたのでしょう。

地方190議会

しかし批判は世論調査とどまりません。6月28日までの集計で、全国で190議会が集団的自衛権に「反対」「慎重になどの声を上げています。この点は東京新聞の以下の記事が詳報しています。

地方190議会批判 集団的自衛権 広がる「反対」「慎重に」
東京新聞 2014年6月29日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014062902000124.html

この記事によると、都道府県レベルでは長野、岐阜両県議会が六月に「慎重審議を求める意見書」を可決。
また福島県南相馬市では、自民党系会派を含む全会一致で「震災と原子力災害で助けられた自衛隊員が海外に出て武力を行使することは容認できない」との訴えが6月19日に発せられたそうです。
記事には「反対」「慎重に」という意見書を可決した議会の一覧も載っています。ぜひご自分の住まう自治体が載っているかどうかチェックしてみてください。

全国の首長からも声が上がりだしています。その中で最も鮮烈な声をあげているのが三重県松坂市長です。NHKの報道を紹介します。

松坂市長

集団的自衛権 松阪市長が反対行動へ
NHK WEBNWES 7月3日 22時37分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140703/k10015729731000.html

記事では市長が閣議決定に対して「抗議をしたい。憲法前文、9条、13条に基づく平和的生存権が侵されているという基軸において、国を提訴していく、または国の違憲状態を直していく行動に結びつけていきたい」
と述べたこと、憲法9条への違反に対して違憲確認を求める訴えを起こすことも検討していることなどが紹介されています。

静岡県知事

静岡県知事もはっきりと安倍政権を批判しました。静岡新聞の報道を紹介します。

<集団的自衛権>川勝知事「国民に信問うべき」
静岡新聞NEWS 2014/7/ 2 08:42
http://www.at-s.com/news/detail/1093603124.html

記事では知事の「世界に例のない平和主義を掲げる憲法9条の理念にもとる決定で、基本的に主権在民を忘れている。
国民的議論が十分に尽くされていないというのが、多くの国民の気持ちだ。ワンイシューとして直ちに(解散総選挙で)国民に信を問うべき」という言葉が紹介されています。

札幌市長

この他、札幌市長も批判を鮮明にし、北海道での5000人集会に参加して声をあげています。同集会の自治労北海道のサイトによる報告を紹介します。

集団的自衛権行使容認反対!戦争はさせない!5500人が結集!=戦争をさせない北海道委員会大集会
自治労 北海道 2014年07月01日(火)
http://www.jichiro-hokkaido.gr.jp/archives/4072

記事の中では上田文雄札幌市長の「安倍政権は当初、憲法96条改正を掲げて取り組んだが、多くの国民の反対にあい、解釈変更方針に転換した。
武力で国際紛争は解決できない。行動を阻止するために立ち上がらなければならない」との発言が紹介されています。

各地の新聞も社説で批判を掲げています。これらを集計したブログ、「ニュース・ワーカー2」を紹介します。

地方新聞社説

ブロック紙、地方紙社説は批判が圧倒~集団的自衛権容認の閣議決定の報道
ニュース・ワーカー2 2014年07月04日
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20140704/1404436847

各紙の見出し一覧が載っているのでご覧下さい。
また琉球新報の一部が紹介されていますが、共感したので転載します。

***

「解釈改憲閣議決定 日本が『悪魔の島』に 国民を危険にさらす暴挙」

ベトナム戦争当時、米軍の爆撃機は沖縄から飛び立ち、沖縄はベトナムの民から「悪魔の島」と呼ばれた。米軍占領下にあり、日本国憲法の適用外だったからだ。
米国の要請によりベトナム戦争に加わった韓国は、ベトナム国民から根深い怨嗟(えんさ)の的となった。当時、日本は憲法の歯止めがあったから参戦せずに済んだが、今後は日本中が「悪魔の島」になる。恨みを買えば東京が、原発が、ミサイルやテロの標的となろう。それで安全が高まると言えるのか。
安倍晋三首相は「イラク戦争や湾岸戦争に参加するようなことはない」と強調するが、日本は戦後ただの一度も米国の武力行使に反対したことはない。徹頭徹尾、対米従属だった国が、今後は突然、圧力をはねのけるようになるとは、まるで説得力を欠いている。
運転手がどこへ行こうとしているかも分からず、口出しもできず、助手席に乗るようなものだ。
他国からすれば無数の米軍基地が集中する沖縄は標的の一番手だろう。米軍基地が集中する危険性は、これで飛躍的に高まった。

***

『ニューヨークタイムズ』

報道関係ということでは、海外の新聞も安倍政権の憲法違反の姿勢を激しく批判しています。
少し前(5月8日)ですがニューヨークタイムズに鮮烈な記事が出ました。翻訳されているものを提示したいので”Peace Philosophy Centre”の記事を紹介します。

ニューヨーク・タイムズ社説、安倍首相の解釈改憲への動きを批判
The New York Times Editorial Criticizes Abe’s Move to Reinterpret the Pacifist Constitution
Peace Philosophy Centre Friday, May 09, 2014
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2014/05/new-york-times-editorial-criticizes.html

ニューヨークタイムズは、安倍政権の憲法無視の姿勢を批判し、次のように述べています。
「[安倍氏を]批判する人たちが指摘するように、憲法の主要な機能は政府の権力を抑制するものであるということを安倍氏は知るべきである。政府の思い付きで変えられるようなものではない。
さもなければ、そもそも憲法などを持つ理由さえなくなってしまう。」

『フォーリン・ポリシー』など

日本に対する海外の反応を紹介するサイト、NewSphereでは、米外交専門誌『フォーリン・ポリシー』の論説などを紹介しています。

解釈改憲は“クーデター”…安倍首相を米誌が批判 国民投票で改憲問うべきと提言
NewSphere 2014年6月27日
http://newsphere.jp/politics/20140627-2/

記事によると、同誌は安倍政権の解釈改憲を「憲法に反した手法」であり「憲法のクーデター」と指摘し、安倍首相を「不正を働く」人物だと規定しているそうです。
この他、『ウォール・ストリート・ジャーナル』や、ウェブ誌『ザ・ディプロマット』での論評も紹介されています。

スイス主要メディア

スイスの主要メディアでの安倍政権批判を掲載しているサイトの記事も紹介しておきます。

スイス主要メディア、日本の集団的自衛権の閣議決定を批判
swissinfo.ch 20140704 11:00
http://origin.swissinfo.ch/jpn/%e3%82%b9%e3%82%a4%e3%82%b9%e4%b8%bb%e8%a6%81%e3%83%a1%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%a2-%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e9%9b%86%e5%9b%a3%e7%9a%84%e8%87%aa%e8%a1%9b%e6%a8%a9%e3%81%ae%e9%96%a3%e8%ad%b0%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%82%92%e6%89%b9%e5%88%a4/40486374?rss=true

同サイトはまず「スイスのメディアは全体として、安倍晋三首相が閣議決定するに至ったプロセスが民主的ではない点を批判している」点を指摘しています。
その上で、保守派の一流紙NZZが「国民の反対をかわすために、安倍氏は正式な手続きを経て憲法改正することなしに『法的に姑息な手段に出た』と論じた」としています。
また日刊紙のターゲス・アンツァイガー紙で「安倍氏は日本の麻痺した経済を活発化させることが優先事項だと述べているが、それができるかどうかは貿易相手国の中国や韓国との関係によるところが大きい。
憲法9条の解釈を変更すれば、両国を侮辱することになる」と指摘されていることが紹介されています。
安倍政権への批判はもっとさまざまなところから上がっています。
次回は宗教界からの声を特集します。

続く