守田です。(20140524 10:00)

『美味しんぼ』応援記事第5弾です!

表題の記者会見が5月21日行われました。主催は「ふくしま集団疎開裁判の会」です。OurPlanetTVが22日に報じてくれました。

福島のお母さんたちが勇気をもって、自分のお子さんに起こった鼻血体験を話して下さっています。また問題は鼻血だけではないこと、さまざまな健康被害が起こっていると思われることも語られています。
僕自身、これまでたくさん耳にして来たことですが、それでも視聴していて強く胸を打たれました。できるだけ多くの人に伝えて、福島の人々、いや被曝を被ったすべての人々を助けることにさらなる努力を傾けなければならないと思います。

集団自衛権行使に向けた会見で、安倍首相は、「国民の命を守るのが自分の役目だ」と、ありもしないような想定を掲げて語っていましたが、ならばどうしてこの今、現にある健康被害に立ち向かおうとしないのか。
それどころかなぜ、被害実態を隠そうとばかりするのか。そこには、本当は民衆の命を守る気などまったくないこの方の本音がはっきりとあらわれています。

この首相、この政府をこのままにしていては、福島の人々をはじめ、放射線被曝を被ったすべての人々が深刻な危険に晒され続けます。
被害は甚大です。鼻血現象は氷山の一角にすぎません。何よりこれだけいろいろなことが起こっていながら何らの調査もされていないこと事態が脅威です。
すぐにも開始されなければならないのは、福島にとどまらず、広範な地域での徹底した健康調査と対応です。ものすごく膨大な規模の住民の命と健康が危機に晒されているのです。

予算は幾らでもあります。まず東京オリンピックにかける費用をすべて当てればいい。
それでも足りないのであれば、アメリカ軍需産業にいいように買わされてきた、自衛隊の膨大な装備・費用を削ってあてればいい。現に今、進行している住民の被害に立ち向かわずして何の「国防」でしょうか。

こうしたことをつかみ取るためにも、ぜひこの勇気ある発言に耳を傾け、自らのものとし、多くの方に伝えて欲しいと思います。
また身の回りで「低線量被曝で鼻血が出ることはあり得ない」と断言している「科学者」に伝えて欲しいです。
これらの人々は、誰一人、疫学的調査をしたこともなく、ただ高線量被曝で造血機能が損傷し、血小板が作れなくなるなどのメカニズムしか知らないだけで、低線量被曝に対して「鼻血はあり得ない」と断言し、現実に鼻血に遭遇した人々を痛く傷つけています。
事故の被害をないものにしたい政府や東電を利することばかりを、「科学」の名のもとに語っている人々を、強く諫めなくてはいけません。

それらを考えて、会見を文字起こししました。ぜひご活用下さい。
長いので2回に分けて掲載します。
お時間のある方はぜひOurPlanetTVのサイトから動画をご覧下さい。

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「鼻血は事実」〜福島の母親「美味しんぼ」言論抑圧に抗議!
20140522 OurPlanetTV
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1785

井戸謙一弁護士
今回の『美味しんぼ』攻撃のポイントは二つあります。一つは鼻血の話がデマだと、あるいはデマであるかのような表現で攻撃しているということです。
二つ目は鼻血が被曝とは関係がないということを明言し、因果関係があるとの考え自身を攻撃していることです。

鼻血の話はデマではありません。井戸川元町長の話も真実です。それ以外にもたくさん鼻血を出された方がおられたということも真実です。
今回の政府、福島県、双葉町による『美味しんぼ』に対する攻撃は、故郷を追われ、職業をなくし、地域コミュニティを奪われ、家族がバラバラにされ、健康不安を抱え、
先の見えない暮らしに疲弊している福島の人たちをさら抑圧し、将来に対する不安も、現実に起こったことすら口にできない、そういう状況に追い込もうとするものです。
私たちはこれに対して断固抗議したいと思います。

そして市民のみなさまにはこんな異常な社会の出現を許していいのかと問いかけたいと思います。
これは福島だけの問題ではありません。復興の妨げになるという理由だけで放射能に対する不安を口にできない、この国は戦争に対する妨げになるということで戦争に対する不安を口にできなかった。70年前のこの国の姿とどう違うのでしょうか。
これは私たちがこの国を、これからどういう国にしていくのかという、私たち一人一人に突きつけられた問題なのだと思います。
今日は福島から勇気を奮っていただいて、お母さんたちに来ていただきました。鼻血をはじめとする健康不良が現実に起こったこと、今回の『美味しんぼ』騒動によってどれだけ傷つけられたかということについてお話してもらいます。
郡山市で暮らす母親

私は学習塾の講師をしております。そのため子どもたち、とくに中学生の話を聞く機会が多くありました。今までにない鼻血の話を聞きました。
2011年震災後、すぐに学校が再開され、学校に通うようになると学校での状況を聞くようになりました。子どもたちの話によると学校の教室では誰かが必ずといっていいほど、鼻血を出していました。
子どもたちは毎日必ず誰かが鼻血を出すという異常事態になれてしまい、誰もが驚かなくなっているようでした。

私の生徒も授業中、何回も鼻血を出す子がいました。その中で私の知っているだけで3人は耳鼻科でレーザー治療をしました。子どもたちによると何度も鼻血が出て日常生活に支障が出るので、レーザーで焼いてもらったんだと話していました。
また保養に子どもたちを連れて行って、また郡山に帰ってきた時も、すぐに荷物をあけたタイミングで10人中4人も鼻血を出していました。私は塾の講師を25年ぐらい続けておりますが、今までにこのような経験はありませんでした。
放射線の影響で鼻血が出ているのかどうかは分かりません。しかし、「もしかして放射線の影響ではないか」と考えてしまいます。もうそれ自体が被害なではないかと思います。
いくら学識者や有識者に、放射線と鼻血は関係ないと言われても、実際に今までと違った事象が出ていれば心配になるのは当たり前のことで、これを「まったく科学的根拠がない」と言われて、切り捨てられていることにとても怒りを感じます。
福島市で暮らす母親

私は爆発当時、小学5年生の息子と小学1年生の娘、そして私に、爆発直後に身体に発疹が出ました。原因は不明で暫くして治まりました。
5月ごろ大量の鼻血で息子が何度も倒れました。喘息がほとんどよくなっていたのですけれど、今は強い薬を毎日飲まないとダメなぐらい、症状が悪化しました。白血球もかなり減少しました。なので保養に連れ出しました。
行ったら、薬も塗らずに発疹が消えたり、鼻血が止まったり、喘息の薬も気づけば飲んでなかったのですね。それぐらい違ったのだと思います。
小学校5年生の息子が、当時、眼に見えない放射能が怖いと私に訴えてきたのですよ。それは自分の身体にすごく色んなことが起こりすぎて、恐怖を抱いたのだと思います。

『美味しんぼ』についてですけど、実際に私たちが経験したことを書かれていたので、それを「風評」というのはおかしいことだと思います。「風評」を逆に作り上げているのは、原発由来にしたくない人たちだと私は思います。
ただちに影響がない=影響があるかもしれない。影響があるかもしれないなら、それなりの対応をなぜ取らなかったのか?なぜここまで『美味しんぼ』を非難するのか。私たちの口封じだとしか思えません。
郡山市で暮らす母親

私は地震のときに小学2年生の息子がおりまして、郡山市ですけれども、地震の時に水が止まってしまって、原発事故の避難措置とかも市民の方には伝わってこなかったのですね。
水が止まって、子どもを連れて水をもらいにも行ってしまいましたし、ガソリンがなかったのでバスで移動したりもしまして、おそらくたくさん被曝をしてしまったと私は思っています。初期被曝の影響はおそらくあったのではないかと思っています。
事故の後は、小学校は入学式とか始業式が一週間遅れて始まったのですけれども、最初はマスクをして長袖長ズボンで暫く過ごしていまして、うちの息子は1学期に一週間近く鼻血が出ました。
鼻血は子どもなので何度か出たことがありましたけれども、今まではちょっとティッシュを詰めれば止まる程度だったのが、朝起きると枕が赤くなったりとか、何度もティッシュを代えないと止まらないという量が一学期にありましが、それは一週間程で治まりました。

事故のときに8歳だった息子と半年間、母子避難をしまして、私の入院を機に、郡山に戻ってきたのですけれども、その後に咳が止まらなかったりとか、湿疹が出てしまったりとか、いろいろと体調を崩してまして、病院にいくといま、子どもが多いのですね。
病院に3年以上、たびたび行ってきましたけれども、どこの病院も、原発事故のお話をしてくださるお医者さんはほとんどいない。

私の子どもは学校の甲状腺の集団検査で、「A2」をいただきまして、書面だけで「再検査なし」ということでいただいていたのですけれども、この間の春休みに保養にいきまして、戻ってきたその日にまた鼻血が出ました。
春休みで、心配が度重なっていたので、甲状腺検査を受けてくれる病院をやっと探しまして、連れて行きました。
「A2」ということを2年前に頂いていたのですけれども、自分が連れて行った検査をやってくれる病院で、やはり「A2」だけれども、先生がよくこれで「A2」だったなと言われました。
のう胞がたくさんあったのですが、のう胞自身はがんになるわけではないのですけど、刺激を受けたからいっぱいのう胞があるわけで、のう胞がある子はあってもいっぱいあるのは異常で、異常があるのだからその周りの細胞ががんになるかもしれない。
それで「半年に一回、検査をしていきましょう」といわれました。

鼻血だけでなく、たくさん不安がありまして、今回、『美味しんぼ』の件で、「ああ、あったあった」と。私の息子もありましたし、ただ鼻血だけではないと思いますし、そこをいいきっかけにしてくださったなと思います。
とくに私は、否定される方、行政だったりですが、ちゃんと調査をしてくださいと強く思います。本当に検査が2年に1回と言うのは、とても親として切なくてですね。子どもを守れないというのは本当に辛いです。
抗議をするのであれば、細やかな検査をして、一部の子ではなく、全市民の声を拾ってもいいのではないかと思います。

続く