守田です。(20140103 10:00)

みなさま。
明けましておめでとうございます。
民主主義と放射線防護にとって正念場の年が明けました。
私たちがこれからの1年をどう生きるか、何をどこまで実現するのかで、この後の長い年月の方向性が決まる、そんな1年です。

この大事な年のはじめにみなさんに送りたいのは次の言葉です。
Power to the people!!
民衆に力を! 
人民に権力を!でも良い。私たちに力を!・・・です。

この言葉は紡ぎだしてくれたのはジョン・レノンです。
日本語に訳された歌詞のついた動画を紹介します。
http://www.youtube.com/watch?v=Wos-dDxpJlQ

ジョン・レノンはこの中で、次のように述べています。
Say we want a revolution
We better get on right away
(守田訳)
革命をしたいって言うなら
今すぐやったほうがいいぜ!

明らかに彼は、革命について語っているのですが、革命の本義を民衆が力をつけることにおいている。いいなあ、そうだよなあと僕は思うのです。

民衆に力のある状態。それが民主主義の本義です。
デモクラシーの語源は、ギリシャ語のデモスクラチア。デモス(民衆)にクラチア(力)のある状態です。その発揚を目指す運動を、ラディカル・デモクラシーといいます。
だから私たちは私たちのクラチアを発揮していく必要がある。
ジョン・レノンが言うように、革命がしたいならいますぐ行ったほうがいい!

私たちはどのようにして私たちの力を強めるのか。
もちろん戦争に向かう安倍政権のさまざまなひどい政策と全面的に対決することによってです。民衆の力で、この悪い政権を倒すことを通じてです。
とくに今、大事なのは、民衆の直接行動です。

もちろん選挙も大事です。それぞれの地方選挙もがんばる必要がある。
しかしこれから3年間、国政選挙はない可能性があります。
選挙でしか、政府の横暴は止められないのでしょうか。そんなことはありません。
選挙は間接民主主義、それに対して私たちには直接民主主義の発揚としてのさまざまな行動を起こす権利があります。それが人権です。

事実、日本中の原発をいまだ止めている力は、全国各地のデモに象徴される直接行動によるものです。選挙を媒介とはしていません。だから自民党が選挙で圧勝してなお、一基の原発の再稼働もできていないのです。私たちがどんどん私たちの力を強める中で創り出されてきた状態です。何よりもこのことに熱く注目しましょう。自信を持ちましょう。

Power to the people right on!
そう、たった今、どんどんつけている私たちの力を、さらに大きくしていく必要がある。
ちなみにラディカル・デモクラシーは特定の政体を求めるものではありません。どのような政体のもとでも、国家や官僚、政治家たちにではなく、民衆にもっとも強い力が宿っている状態を目指し続ける運動です。永遠に受け継がれていく運動です。

安倍政権が秘密保護法に走った背景の一つにあるのは、根本的には民衆の力の高まりへの恐れです。とくに重要なフィールドは放射線被曝問題です。
現に進む原発事故に対して、安倍政権は何らの有効な対応策を持っていない。ただ「原発はコントロールされている」「放射能はブロックされている」「今も未来も健康被害はない」と大嘘をついて現実をみないようにしているだけです。

事実はどうか。原発は今なお瀕死の状態です。健康被害は爆発的に進行中です。
安倍政権は、国家を揺るがしつつあるこの事実と向かい合う英知も勇気も持っていない。なんと弱い政権でしょうか。国を守る気概も知恵もない。国と民を愛する心がないのです。この国が亡国の道にあることをみすえられない。ただ嘘で事実をないものとすることしかできないのです。もちろんそれでも不安なので、どんどん凶暴化しているのです。
真に民衆に愛され、自信を持った政権なら、重要な案件の拙速で強引な決定などしはしません。説得力がないから、強行採決が続いているのです。不安でたまらないから、ただデモを行うだけで、「テロだ」と叫びだす閣僚がでてしまうのです。このことを私たちはしっかりと見据えましょう。

一方で、多くの民衆が原発事故のもたらしたものに気がつき、すでに積極的な行動をたくさん重ねてきています。大事なのはもはやその動きが「政党」の枠を超えて広がりつつあることです。

僕はその先頭を走ってきたのが、原発事故に際して、政治家や科学者たち、マスコミの「安全宣言」をまったく信じずに、福島を、東北を、関東を飛び出して避難を決行した人々だと思います。それが本当に全国を揺るがしました。

避難・移住は今や最大の抵抗の一つです。避難を決行した人々は、自分と家族の命を守るだけでなく、私たちの未来を守ってくれています。多くの人々がその熱い思いに共感した。それが全国の脱原発行動の大きなエネルギーに転化しました。
避難=被曝防護という抵抗は、移住という形だけをとってはいません。多くの人々が、そこまではできずとも、自宅の中に避難したり、食べ物に最大の注意を払うなど、放射線被曝と必死に立ち向かっています。それを助ける形の保養キャンプも各地で精力的に行われている。僕はそれもまた大きな変革のエネルギーを生み出している源の一つだと思います。

民衆を、長い間、お金儲けを通じた操作の対象としてしかみてこなかった自民党はもちろんこの動きにとまどうばかりです。安倍政権が「実現」できたのは、通貨の乱発によるバブルの形成を通じた、一時的な経済回復の演出にすぎません。いつはじけるともしれない、いやいつかは必ずはじけるあまりに危うい政策でしか「人気」をとれないのです。
しかもそれはまだ覚醒していない民衆の「人気」です。政治のことはすべて政党に任せ、自分は身の回りのことをがんばっていればいいと考えてきた、ついこの間までの私たちの大半を占めていた意識におもねった「人気」なのです。

一方で野党の多くも、民衆の覚醒に十分についてきているとは言えません。そのため原発問題が、エネルギー問題としてのみ論じられてしまっています。選挙の争点に、人々の避難の権利の獲得や、放射線防護の徹底化が掲げられていないことにそれがあらわれています。

瀕死の状態にある福島原発をかかえた私たちの国が、放射能に汚染された東京でオリンピックを開こうとすることに対して、国会議員で反対を掲げたのが、覚醒しつつある民衆の代表として議席をとった山本太郎議員一人であったことにもこのことが象徴されています。野党のみなさん、ぜひ覚醒して欲しい。覚醒を続ける民衆に学び、大いなる脱皮をとげて欲しいと切に思います。

このような状態の中で、私たちがなすべきことは、ありとあらゆる手段を通じて、私たちの力を育てることです。何より、あらゆるところに仲間を増やしましょう。
そのためにデモ、講演会、学習会、討論会を重ねましょう。さらなる避難の実行と支援、保養キャンプの開催も重要です。

とくに大事なのは内部被曝のメカニズムと危険性をしっかりと把握することです。広島・長崎原爆以来、もっとも強く隠されてきたものがこれだからです。現在の被曝にあまりに甘い社会の在り方のロジックをなしているのも、内部被曝の極端な過小評価です。だからこの「秘密」を暴くことに、原子力が象徴する暴力の世紀をひっくり返すもっとも重要なエッセンスがあります。そのためにチェルノブイリの現実にももっと学ぶ必要があります。科学を民衆の手に取り戻しましょう。歴史を学び、隠されてきたものを白日のもとにさらしましょう。

みなさん。
私たちの力をさらに逞しく育てるのがこの1年間の課題です。民衆の力の高まりの中で、安倍政権を倒しましょう。民主主義の源である私たちの人権をいかんなく発揮しましょう。私たちが自信を強めれば必ず圧政をひっくり返すことはできます。
2014年を私たちの国の新たな方向を切り開く大転換の年にしましょう!