守田です(20220118 17:00 0203 20:30改訂)

京都府知事選が近づいてきています。4月10日投開票です。
残念ながらまだ市民側からの候補が決まっていませんが、どんな府政を目指すのかの洗い出しを進めています。
その中で原発問題について大事な点を考えてみました。

● 原発は地震の直撃にとても持たない

原発の危険性は多々あります。どれも一番危険な理由ですが、分かりやすいものとしてあるのは、原発の耐震性がとても弱いことです。
この点を繰り返し説いているのは、2014年5月に大飯原発3,4号機の運転停止を命じる判決を書かれた、元福井地裁裁判長の樋口英明さんです。

大飯原発の建設時の基準地震動(揺れに耐えられる地震の数値)は405ガルでした。福島原発事故時には700ガル、2018年3月時点で856ガル、ただし設計当初の倍に本当にあげられているかどうかかなり怪しいです。
これに対して、この間、観測された最大の地震は、2008年岩手宮城内陸地震で4022ガル、東日本大震災は2933ガル、2004年の新潟県中越地震は2515ガルでした。2000年以降、1000ガルを越える地震は17回も起こっています。

高浜、美浜原発も基準地震動に大きな違いはありません。つまりどの原発も、日本各地で起こっている地震に直撃されたらひとたまりもないのです。ちなみにハウスメーカ-の三井ホームは5115ガルまで耐えられる家を作っていま
ともあれこんな危険なものを、近くで動かすのは論外。京都府はもっと関西電力に厳しく向き合い、危険で無謀な稼働を止めるべきです。

● 電力消費地の責任にかけて若狭の人々を守るべきだ

もう一つ、京都府として大事な点は、京都府が大阪に次ぐ、関西電力から生み出された電力の消費地である点です。
原発の運転で最も危険な目にあっているのは若狭の人々ですが、実は若狭の人々は、関西電力の原発から1ワットの電力すら受け取っていません。福井県は北陸電力の管内なのです。
【訂正】関西電力は福井県内の三方郡美浜町以西、つまり若狭地域を管内としており、若狭の原発の電気は若狭地域にも供給されています。ある方のご指摘で誤りに気が付きました。調査不足による恥ずかしい間違いを犯してしまいました。申し訳ありません。お詫びして訂正します。この点を踏まえて続きの文章も少し訂正しますー2月3日

危険性を立地地域に押し付け、もっぱらある程度離れた大都市で電力をたくさん消費しているあり方は、日本の原発に関連する構造的な矛盾、差別問題と言えます。
福島原発は、東北電力の管内にあり、福島の人々に1ワットの電力も供給していませんでした。
新潟県に立地する柏崎刈羽原発も同じ。東電のものでありながら、東北電力の管内にあり、新潟の人々に1ワットの電力も供給していません。

にもかかわらず、原発の大小の事故リスクは直近の方たちによりたくさん押し付けられているのです。小浜市明通寺の中嶌哲演さんは、これを「国内植民地問題です」とおっしゃられました。その通りです。
京都府は若狭の人々を守るために声を上げるべきです。若狭の人々のために心を砕く京都府へとこの町を変えたいです。

原発が立地された内浦湾から望む高浜原発 原発のことは常に直近に住む人々の立場から考えたい

● 舞鶴市、綾部市は原発直近、京都市もとても近い

もちろん危険性は若狭にばかりあるのではありません。舞鶴市は高浜原発の直近です。綾部市もほとんどが高浜からの半径30キロ以内に入ります。
京都市だって市役所まで大飯原発からも高浜原発からも、たった60キロぐらいしかありません。

一度、過酷事故が起これば、京都府内の多くの町が壊滅的な被害を受けてしまいます。この危険性をすぐにも除去しなければ。
もちろん世界にあるどこのどの町だって、放射能汚染から守らなければならないのは同じことで、ことさら京都のことを強調してはならないかもしれませんが、しかし京都にはさまざまな日本の歴史が詰まった場所でもあります。

この町を守り、未来の人に安全なままに渡していくことで、さまざまな伝統を守り、つなげていくことも、京都府にとって大事な務めだと思うのです。
だから原発に近い府民のためにも、ご先祖や未来世代の人々のためにも、目の前にある巨大な危険性の除去に向けて京都府が奮闘しなければです。

関電の原発からの距離 京都新聞より

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昨年12月19日に行った「核と原発」に関する守田の講演を公開中です。ぜひご覧下さい。この連続講演にも触れています。

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