守田です(20191029 14:30)

  • 台風19号、21号と低気圧、15号の被害

台風19号による死者・行方不明者数、まだ増えています。
10月29日午後10時31分発表のNHKニュースによると死者は全国で88人。
うちわけは福島20人、宮城19人、神奈川14人、栃木・群馬・長野4人ずつ、埼玉・静岡3人ずつ、岩手・茨城2人ずつ、東京・千葉・兵庫1人ずつでした。

71河川140カ所が決壊。国の管理河川では7河川12カ所、県が管理する河川では67河川128カ所でした。越水など氾濫が発生した川は16都県の延べ281河川に及びました。
家の被害では79490棟が水につかったり全半壊しました。床上まで浸水したのは17都県で3万3579棟、床下が水に浸かったのは21都県で3万6691棟です。
全壊は半壊の被害を受けた住宅は、16都県で4044棟、一部損壊が27の都道府県で5307棟でした。土砂災害は20都県で661件でした。

その後低気圧と台風21号によっても被害が出ました。
死者は千葉9人、福島1人、行方不明もそれぞれ1人ずつでした。千葉県など5県で27河川が氾濫、土砂災害も4県16カ所で発生しました。二つの災害を合わせると死者は100人近くになっています。
千葉県はその前の暴風をもたらした台風15号でも大きな被害が出て、住宅や倉庫などへの被害はおよそ4万9000棟におよんでいます。3つの台風での被害は甚大です。

千葉県市原市ゴルフ場ネット支柱倒壊現場から 守田撮影

  • 日本の防災体制の底が抜けた!

これらの被害から言えることは、気候変動の影響により、想定外の風が吹いたり雨が降ったりして、これまでの防災対策では太刀打ちできない事態が相次いだこと、その中で日本の防災体制の弱点が明らかになったことです。
何よりも大きなことは、これまでダムと堤防で洪水をおさえこもうとしてきた河川行政が大きく破たんしたことです。 今後、壊れた堤防を直すことだけでも大変ですが、仮に今回、破堤したところをすべて直してたら、その周りのダメージを受けたところが切れやすくなります。
それらも補修しても、今回はそこに逃げた水がより下流に向かい、大都市圏が危機になります。

決壊地点だけを補強しても他が危ない・・・ 千曲川決壊現場補修工事 守田撮影

いや今回の降雨の特徴は多くの河川の流域で「計画降雨」を越えてしまったことにあります。この国が堤防を作る際の基準が突破されてしまったわけで、同じような大洪水がさらに日本中で起こりえるのです。
しかも19号のすぐあとに低気圧と21号が襲ってきたように、危機はすぐまたやってくるかもしれません。とてもではないけれど、ダムや堤防の補修や強化で対応できません。そもそも時間的余裕すらない。
だとするならば国をあげて川が決壊した場合の新たな対策を立てて、矢継ぎ早に実行していくべきなのです。

多くの川が「計画降雨」を越えてしまった・・・。計画降雨と実際の降雨の対比グラフ 安齊理沙氏によるもの

第一に決壊前にもっと速やかに人々を避難させられる体制を作り上げること。第二にそのことと相まって避難所のあり方を根底から見直していくこと。ホテル・旅館をフル活用した新たな避難体制を練ること。 第三に町をさまざまな形で洪水に強くしていくこと。病院や公共施設・あるいは高層マンションの電気設備を3階以上に移すなど、水没に対応できるあらゆる措置を重ねることが必要です。 第四に洪水を受けた人々の生活再建援助を大幅に増額しなくてはいけない。国の河川行政が突破されたことを受けて、国が人々を守る義務を果たさなくてはなりません。大幅に予算をあてるべきです。

  • F35の購入を止め、東京オリンピックを返上して、被災者救済と災害対策の最優先を!

いま私たちは「国難」と言えるほどの災害の前に立っています。東京をはじめとする大都市圏が危機の前に立っています。
例えば利根川は首都圏各地よりもかなり高いところを流れている。堤防のかさ上げを繰り返し、川の流量もものすごい。だからいつなんどき東京が壊滅してしまうかもわからないのです。
その上、3つの台風で膨大な家・建物・堤防がすでに甚大は被害を受けており、これらを修復し、河川対策の練り直しも進めるために、国をあげた取組が必要です。

そのために私たちが声を大にしなければならないのはもはやF35購入をストップさせることです。いまこの国に一番必要なのは災害対策。F35など何の役にも立たない。そんなものに今この時に1兆円、いやそれ以上になる予算を使ってはなりません。

F35は台風一つも撃ち落とせない 災害対策に全く役立たない。 写真は産経新聞より

そもそも「国防」の一つとも言える河川行政が破たんしているのです。国が人々を守れていないのです。だとするながら現に生じている被害、すぐにも予想される災害対策に真っ先に予算を振り向けるのは当然のことです。
さらにもはやオリンピックを行う余裕などあるわけがない。15号で約5万戸の家が壊れているのです。19号で約8万戸が水に浸かってしまったのです。これらの人々を助けずに「スポーツの祭典」を優先して良いはずがありません。

劣悪な避難生活をしている人々から救おう!
千曲川の堤防決壊で家が浸水した大勢の人が避難している体育館=長野市豊野町の豊野西小学校
 毎日新聞より

しかもこの大洪水の中で福島原発事故で発生した汚染土をつめた多数のフレコンバックも流出してしまいました。あるいは山々に降った放射性物質の多くも流れ出したことでしょう。
いま東日本の各地でそれらが残土となり、乾いて飛散を始めていてとても危険です。そういう状態にある人々を救うことが何よりも先にしなければならないことです。
その点で世界に対して膨大な被災者がいること、河川行政が破たんし東京や諸都市を守れる状態ではないことが判明したこと、福島原発事故も収束しておらず放射性物質の流出も招いたこと、これらを明らかにしオリンピックを返上すべきなのです。

みなさん。この国は大きな転換点にいたっています。
命を守る方向に大きく舵を切り直すべきときです。
ともに頑張りましょう!