守田です。(20120630 08:00)

東京のホテルからです。
昨夜、首相官邸前になんと20万人の人々が集まり、大飯原発再稼動反対の非常に大きな声があがりました!一部の報道では、野田首相が国会答弁で毎週デモが起こっていて声が聞こえていると語っているシーンも紹介されています。首相をはじめ政府関係者に非常に大きなインパクトが加えられています。

まずはいくつかの報道を紹介します。写真や映像で昨夜のデモに、今からでも参加してみましょう!

官邸前に人の波(毎日新聞)
http://mainichi.jp/graph/2012/06/30/20120630k0000m040057000c/012.html
大飯再稼動反対、官邸前埋め尽くす(TBS NEWSi)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5068612.html
ネットで拡大、大飯原発再稼動反対デモ広がる(TBS NEWSi)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5068128.html

誰もが思っているとことだと思いますが、これはとても画期的なことです。とくに僕のようにもう何十年も民衆運動に加わり、数え切れないほどのデモに参加してきたものから言うと、「今回のようなすごいデモはみたことがない、これまでのどのデモよりもすごい!」と思えてきます。

なぜなら今回のデモは、いわゆる革新政党や、政治グループ、あるいは「市民運動」というカテゴリーでくくられてきたグループの「組織化」によるものではなく、民衆が自ら己を鼓舞し、連絡しあい、そうして集い、実現したデモだからです。「組織動員」もいっさいなく、主にはツイッターによる拡散によって、つまり民衆が、自ら声をかけあうことだけで集って行われた大デモだからです。

デモスクラチア!民主主義の語源であるこの言葉がまさに実現されていることを感じます。デモス(民衆)に支配力(クラチア)がある状態のことです。選挙のシステムだとか、多数決の原理だとか、本来、民主主義のねっこにあるのはそうした制度的仕組みのことではなく、民衆に力がある状態のことです。どのような政体であろうとも、為政者が、民衆の声を無視できない状態が、デモスクラチアの状態であり、私たちは今、それを実現させている。

私たちが今、なさねばならないこと、なすべきこと、なすととてもいいことは一にも二にも、この私たちの力を育てることです。もっと大きなものにすることです。デモスのクラチアを大きく発展させることに、私たちの未来の可能性、この国を、あるいは地球を、少しでもきれいにして、未来世代に渡していける大きな展望が拓けてきます。

こうした私たちの力は、全国各地で繰り広げられている無数の学習会や討論会、署名活動や行政への申し入れ、電話かけ、小さな街頭行動等々、ありとあらゆる手段による活動の積み重ねの中で形成されてきていることです。僕のこのブログ、それを読んでくださっているみなさん、そしてそれぞれの方がさらに行っている発信も、きっとその一部を形成していることでしょう。だから例えば僕は、昨夜はデモの現場にいけませんでしたが、この大デモ実現の小さいけれども確かな一要因であれたように思えます。みなさんがそうです。だからこれは私たちの力なのです。

自信を持ちましょう!明日、大飯原発3号機は再稼動のスイッチが入れられてしまうかもしれない。しかしそもそも1年ちょっと前までは何十基もこんなに危険な原発が動いていながら私たちはほんの小さな声しかあげてこれなかったのです。それが今、こんなに大きな声になっている。だからここで立ち止まることがなければ、政府がいまは再稼動を強行しても、必ずとめることができます。

大事なのはせっかくの力を弱めてしまわないこと、熱気を冷めさしてしまわないことです。諦めないことです。目覚めた民衆の力、自分たちの力を何度でも確認することです。そのために、これまでよりもさらに一歩、熱を高めて、学習を行い、討論会を行い、署名を行い、街頭行動を行い、役所に電話をし、政府に抗議を送り、そうして考えつくことを何でも重ねていきましょう。
・・・さっきから興奮しておなじことを繰り返してしまっていますが、とにかくこの画期的な成果をさらに発展させましょう。みんなの力で咲いたこの紫陽花をみんなで育てましょう!

・・・ちなみに僕のこの小さな発信である「明日に向けて」は、今回で500回を重ねました。実は「明日に向けて」と題する前に「地震情報」と題したものを昨年の3月11日から発信していて、それが46回になるので、全体では今日で連載546回目になるのですが、なにはともあれ、この500回目に、首相官邸前20万人デモについての記事を書けることはとても感慨深いです。

すべての出発点は悲しい大災害と、大事故です。深刻な放射能漏れが私たちの出発点です。しかしどれほどの悲劇の中からも私たち人間は、次の可能性をさぐって、これまでの歴史をつないできました。悲劇の中で人間の勇気と優しさを発揮し、そうすることで、愛情をはぐくんできました。今も私たちは、そうした人間がつづってきたドラマの一ページの上に生きているのだと思います。

そうであれば私たちも、後世の人々が、何か感動してくれて、生きる勇気を持ってくれるような行動を残したいものです。いや、後世の人々などといわず、いまはまだ小さな子どもたちが大人になったときに、人間とは苦難に立ち向かい、道を切り開けるものなのだという確信を持って欲しい。そうして私たちの力を大きく越えたデモスのクラチアを持って欲しい。それでこそすべての原発はとまり核兵器が廃棄される日が近づくからです。

その未来に向けて、私たちはさらに前に歩んでいきましょう!紫陽花=デモスのクラチアをみんなで育てましょう!

昨夜、ドイツのお二人との僕にとっては最後のセッションを終え、それもまた感動的だったのですが、今朝は先んじてデモについての感想を書きました。今日はこれから新幹線に飛び乗り、京都に戻って、二つの企画に参加します。飯舘村の長谷川健一さんを囲む集会と、映画『被ばくを生き抜く』上映集会です。その場でも、紫陽花革命=デモスクラチアについてお話し、昨夜の成果をちょっとでも前に進めることに貢献します。いまはもっと前へ!少しでも!一緒に!