守田です(20180711 23:30)
豪雨の犠牲者がまだまだ増えています。
NHKの19時41分の報道によれば死者は全体で175人、行方不明はいぜん87人だそうです。
以下、図表を作りましたのでご確認ください。
今回の豪雨災害の教訓の捉え返しを進めていますが、その第二は、政府がまさかと思えるぐらいに無策であったことです。
この豪雨に対する政府の非常災害対策本部の第1回会合が開かれたのはなんと7月8日午前9時でした!唖然としました。
すでに7月5日の段階で今回の豪雨が「記録的」なものになることが気象庁によって発表されていました。
その後に「大雨特別警報」が過去にないような形で続々と各県に打ち出されました。いやそれどころか各地で次々と災害が発生し、犠牲者も出ていました。しかし政府は動かなかったのでした。
それだけではありません。なんと7月5日に安倍首相をはじめ岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長、小野寺五典防衛相、自民党国会議員数十人が集まって「自民赤坂亭」という宴会を開いていたのです。
しかもその写真を片山さつき議員が嬉しそうにツイッターにアップしていました。
宴会に寿司。記録的豪雨が西日本を襲う中、安倍首相や被害の大きい地域選出の議員たちの行動が物議
ハーバービジネスオンライン 20180708
あまりのひどさにさすがに参加議員から謝罪が出始めていますが、その中で政府の無策を象徴する発言が飛び出しています。
というのは9日午後の記者会見で竹下亘総務会長が次のように述べたと言うのです。
「どのような非難も受ける。正直言って、これだけすごい災害になるという予想は私自身はしていなかった」
自民・竹下亘総務会長「どんな非難も受ける。これだけの災害になるとは予想せず…」
産経ニュース 2018.7.9 16:36更新
https://www.sankei.com/politics/news/180709/plt1807090010-n1.html
これはなんともびっくりであるとともに、安倍政権中枢の意識のあり方を非常によく表しているものだと思います。
なぜびっくりなのかと言えば、5日の午後2時に気象庁が「西日本・東日本の大雨について」と題する記者会見を行い、「非常に激しい雨が数日間断続的に続き、記録的な大雨になる恐れがある」と厳重注意を呼びかけていたからです。
しかも気象庁はこの段階では、西日本だけでなく列島全体での警戒が必要であると述べていました。
「中国大陸から西日本、東日本、東北地方へかけては梅雨前線が伸びており、ここに太平洋高気圧から温かく湿った空気が流れ込んで前線が活発化し、広範囲に雨を降らせている」と全国での警戒を呼びかけていたのです。
(詳しくは「明日に向けて(1545)記録的な豪雨が予想されます。洪水・土砂災害などへの警戒を!」を参照。7月5日22時の配信)
実際には豪雨は西日本でおさまりましたが、当初は東日本でも被害が起こる可能性がありました。気象庁はこれを「異例」とすら言われた形の記者会見で訴えたのです。
ところがその日に大人数で酒盛り。そして「これだけすごい災害になるという予想は私自身はしていなかった」と自民党の総務会長という言葉。ここには何が現れているのでしょうか。
端的に言えるのは、安倍政権が首相を先頭に常に自分たちに都合悪いことに蓋をし、ひどい嘘と開き直りを連発し、証言の偽証や文章改ざんを繰り返す中で、危機を危機として認識する能力もまったく失ってしまっているのだということです。
しかも自らに都合悪いものに「事態は正常なのだ」というバイアス(偏見)をかけてしまい、危機を認識しようとしない「正常性バイアス」に政権中枢がかかってしまっています。
こうした体質は、安倍首相がたくさんの嘘と居直りを繰り返してきたこと、にもかかわらず与党内部で一度もそれを正せなかったことで強化されてきているものです。
しかし同時にそれは、原発の危険性を無視し、再稼働を強行してきたことでも一層強まってきているものです。そしてそれと災害への危機感のマヒが連動していることが今回はっきりしました。
例えば今回のような豪雨と原発事故が重なったら、とてもではないけれども対応も避難もできません。それを考えれば安全な再稼働などありえないのは誰の目にも明らかなのです。
ところが安倍政権はこうした事態を「考えないこと」にしてきているのです。手前勝手な嘘うそを繰り返す人は自分にも嘘をつく!「甚大な災害など起こらない」と自分にも嘘をつき、自分たちに都合のいいことだけを考えて行動してきたのです。
だからこの間、繰り返し自然の猛威が襲ってきて、対策不足から何度もたくさんの死者が出ているのに、災害対策を強化しようとはしてきませんでした。
「これだけすごい災害になるという予想は私自身はしていなかった」という発言が出てくるのもそのため。真剣に災害対策を積み重ねていたら絶対に出てくるはずがない。
しかもこれは総務会長に限ったことではなく安倍首相もまったく同じでしょう。だってそうでなければ政権の危機にも直結しうる事態を前に、わざわざ国会議員数十人を集めた宴会など開かなかったでしょうから。
この点で「これだけの災害になるとは予想せず・・・」と思わず語ってしまったことは、災害になんら能動的に備えようとしてこなかった政府の姿勢の如実な表れであることを私たちはおさえなければなりません。
まさかと思えるぐらいに災害に無策なのが安倍政権なのです。
このあまりにもひどい政府を一刻も早く代えなければなりませんが、ある意味ではそれよりも私たちは、自らが下からの災害対策を積み上げて、命を守りぬく力を高めていく必要があります。
南海トラフ地震は必ずやってきます!しかも明日かもしれない。このことを肝に銘じ、みんなで災害対策を下から積み上げていきましょう!
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