守田です。(20150327 23:00)

少し前のことになってしまいましたが、ロシアのプーチン大統領が3月15日に、クリミア危機をめぐって核兵器の使用を考えていたと発言しました。まったく許しがたいことです。
僕が参加している「京都被爆2世3世の会」はすぐに抗議声明を作成し、19日付で在日ロシア大使館に送信しました。
抗議するのはあまりに当たり前です。プーチン大統領の発言は、核のない世の中を目指して奮闘してきたすべての世界の人々の思いを踏みにじろうとするようなものだからです。冷戦時代の野蛮差の中に、世界を連れ戻そうとするものだからです。

ぜひとも世界にこのことを発信したくて、その後に英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語に抗議文を翻訳しました(多くの方の協力を得ています)。もっとたくさんの言語への翻訳を準備中です。
またこれを契機に、「京都被爆2世3世の会」のFacebookページも立ち上げました。もっとヒンバクシャの声を、現代世界にひろく伝えなければと考えてのことです。以下をご覧下さい。
https://www.facebook.com/pages/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E8%A2%AB%E7%88%862%E4%B8%963%E4%B8%96%E3%81%AE%E4%BC%9A/1623283584568176?ref=hl

以下、日本語の声明を貼り付け、参考のために英語訳を貼り付けます。そののちに朝日新聞の報道記事を貼り付けます。
この声明に共感していただけたら、ぜひFacebookページもご覧下さり、それぞれの言語圏のお知り合いの方に流してください。世界に核兵器反対の声を響きわたらせたいです!
またより多くの言語への翻訳を進めたいので、「この言語なら協力できる」という方はご一報ください。現在、ロシア語、韓国・朝鮮語について進めています。ポーランド語、アラビア語について依頼を出しています。

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2015年3月19日

ロシア連邦大統領
ウラジミール・プーチン 殿

京都原水爆被災者懇談会
京都「被爆2世・3世の会」

プーチン大統領の核兵器使用の言動に
満身の怒りを込めて抗議します!

3月15日、プーチン大統領は、1年前のクリミヤ半島併合の際、核兵器使用の検討をしていたことを公言されました。
私たちは核兵器使用が実際に検討されていた事実と、そのことを何の躊躇もためらいもなく公言された態度に強い衝撃を受けました。
70年前の8月、広島・長崎の被爆者は、底知れぬ恐怖と、地獄の苦しみと、深い悲しみを体験し、心底からの怒りを発しました。
被爆者を三度作り出してはならないと、市民による核兵器の禁止と廃絶を求める運動は生まれ、今や世界中の人々が共通して願う大きなうねりとなっています。
プーチン大統領の言動はこの核兵器廃絶を願う世界の世論と運動へのあからさまな挑戦です。
何の罪もない、防御もない大量の市民を一瞬にして虐殺する核兵器使用に罪の意識はないのでしょうか。核兵器使用が何世代にも渡って人類を傷つける残酷さに思いを致すことはないのでしょうか。
私たちは、今現在も核兵器使用の可能性が具体的に存在していた事実に言いようのない危機感を持ちます。そのことを公言してはばからない前時代的態度に強い憤りを覚えます。
私たちはプーチン大統領の言動に満身の怒りを込めて抗議します。核兵器の使用などについて考えるのではなく、全世界の人々の願いに応え、核兵器廃絶に向けた道に進むよう強く求めます。

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March 19, 2015
Dear President Vladimir Putin,

Kyoto Society of Atomic and Hydrogen Bomb Victims
Kyoto Association of 2nd & 3rd Generation Hibakusha (Atomic Bomb Survivors)

We Adamantly Protest Against President Putin’s Speech and Actions
Concerning the Use of Nuclear Weapons

On March 15, President Putin made a public announcement stating that one year ago, during the Russian annexation of Crimea, he was considering using nuclear weapons. We were deeply shocked, not only by the fact that the use of

nuclear weapons were actually considered, but by the nonchalant and unhesitating manner with which he announced such a possibility.
70 years ago in August, the hibakusha (victims of the atom bomb) in Hiroshima and Nagasaki endured unimaginable horror, infernal suffering, and deep sorrow, for which they have publically expressed their anger, welling up from the

bottom of their hearts. Determined never to allow such an experience to be repeated a third time, the citizen’s movement seeking to ban and eliminate nuclear weapons was born, making way for what has become a widely shared desire

felt around the world today. President Putin’s speech and behavior is a blatant challenge toward such a movement and people hoping for the abolishment of nuclear weapons.
Is there no sense of sin in using nuclear weapons that can slaughter in an instant a large population of defenseless innocent people? Is there not even the slightest concern about the cruelty of harming humanity for generations

through the use of nuclear weapons?
We have an ineffable sense of crisis, learning that there was a specific situation in which the use of a nuclear weapon was actually considered. We are enraged by the anachronistic attitude by which such possibilities are so

shamelessly expressed. We adamantly protest against President Putin’s speech and actions. We strongly urge the president to stop considering the use of nuclear weapons, but instead answer the pleas of the world’s population, and

take the path to abolish the weapons once and for all.

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プーチン氏、核兵器準備も検討 クリミア併合の過程で
朝日新聞 モスクワ=駒木明義 2015年3月16日11時14分
http://digital.asahi.com/articles/ASH3J1QTZH3JUHBI001.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3J1QTZH3JUHBI001

ロシアのプーチン大統領は15日夜に放映されたテレビ番組で、昨年3月にウクライナからクリミア半島を併合する過程で、欧米からの妨害を念頭に、核兵器使用に向けた準備を進めることを検討していたことを明らかにした。
ロシア国営テレビのドキュメンタリー番組「クリミア、祖国への道」のインタビューの中で発言した。

プーチン氏は、クリミア情勢がロシアにとって思わしくない方向に向かったときにロシア軍の核戦力を臨戦態勢に置く可能性があったかを聞かれて「我々はそうする用意ができていた」と答えた。
その上でプーチン氏は「世界的な紛争を引き起こしたい者がいるとは考えていなかった」と付け加え、実際に臨戦態勢をとる必要はないと予測していたことも強調した。核兵器を具体的にどう使うことを想定していたかは説明しなかった。

ロシアによるクリミア併合宣言から18日で1年というタイミングでプーチン氏があえて核兵器に言及したのは、クリミアはすでにロシアの核兵器で守られる領土の一部となっており、手放すことはあり得ないとウクライナや欧米を牽制(けんせい)する狙

いからとみられる。

ロシア外務省で核問題を担当する局長が11日に、クリミア半島にロシア軍が核兵器を配備する権利があると述べたのも、プーチン氏と軌を一にした発言だ。
テレビ番組「クリミア、祖国への道」は、住民の「ロシアに戻りたい」という自由な意思表示をロシアが助けたという、政府の公式見解を強調する内容となっている。プーチン氏のインタビューがいつ収録されたかは不明。(モスクワ=駒木明義)