守田です。(20110326 11:10)

今、原子炉はどのような状態におかれているか、ニュースから考察します。
24日に、3号機で復旧作業中の3人の作業員の方が、非常に高い値の放射線を
浴びました。

これは3号機のタービン建屋内に溜まっていた水に、高い濃度の放射性物質が
含まれていたためと報道されています。具体的には、「1立方センチ当たり
380万ベクレル(放射能の単位)の放射能」とされています。

意図的かどうかは分かりませんが、このニュースの出し方は分かりにくい
です。そこで水道水と比較してみると、1キロ当たり、100ベクレルが
乳児の規制値です。これに対してこの汚染情報は、1立方センチ当たりに
なっています。1キログラムは1リットル=10立法センチメートルなので、
この値は1000倍すると分かりやすくなります。

そうするとどうなるか、380万に1000をかけるので、38億ベクレルになります。
つまり1キログラムあたり、38億ベクレルの放射性物質を含んだ水が、炉内に
溜まっているということです。

問題なのはこれがどこから出て来ているかで、これだけ高濃度のものが
出てくるのは、原子炉内部からしかありえない。つまり原子炉の密閉機能が
破られていることを意味します。しかも1号機、2号機でも同様の水が
溜まっています。

これまで原子炉格納容器に破損があると思われるのは2号機だけでしたが、
1号機、2号機、3号機ともに、非常に高い値の放射性物質が、炉内から
どんどん出て来ていることが分かります。しかも原子炉や格納容器、および
配管の、どの部分から漏れが発生しているのかもつかめていない状況です。

このため、依然、原子炉が崩壊する危険性は去っていないし、今後さらに
放射性物質の露出が続くことも明らかです。そのため周辺地域への
放射能汚染がさらに継続します。

特に注意をしていただきたいのは、このような状態では、半減期を考える
ことはあまり意味がないということです。ヨウ素の半減期は8日で、16日目には
放射線を出す力が4分の1になりますが、今の場合は、あとからあとから、
新たに放射性物質が漏れ出しているので、半減を待つ計算は成り立たない
からです。

また、こうなってくると「高濃度」という言葉はもはや死語だと思います。
水の汚染で言えば、万の単位のベクレルだってかなりの高濃度です。
それに対して、今回は38億ベクレルなのですから・・・。

いずれにせよ、これだけの放射能漏れが続いていて、復旧に向けた
作業は非常に困難です。

ちなみに本来、新聞の記事でも、数値に関してはもっと分かりやすく書く
べきです。1立方センチメートルあたりという発表の仕方そのものが情報操作です。
ウソではありませんが、意図的に分かりにくくさせる数値の出し方で、東電や
保安院が繰り返してきたテクニックです。今となっても、そんなことに知恵を
回していることが残念ですし、新聞がそれをそのまま書いてしまうことも残念です。

さて非常に心配されるのが、被曝された方たちの容態です。
被曝線量は2から6シーベルトというとんでもない値です。全身に浴びたら
致死量になります。

主に漬かった足に集中的な被曝が起こったと解説されています。
水がたまっており、そこからは放射線は飛びにくいからでしょう。ただ他の
ニュースでは、その地域は、毎時400ミリシーベルトぐらいの放射線が
出ていたとも報道されているので、この方たちは、全身にも強い放射線を
浴びていると思います。

被曝された方たちのダメージが、少しでも軽微であることを祈るばかりです。

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放射性物質、原子炉燃料破損し漏出か 3号機に被曝汚水

原子炉建屋とタービン建屋

東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)3号機のタービン建屋内で起きた
作業員の被曝(ひばく)で、経済産業省原子力安全・保安院は25日、
原子炉の燃料が破損して放射性物質が漏れ出た可能性が高いとの見方を示した。

1、2号機でも同じように放射線量の高い水がたまっているのが見つかった。
東電は地下のケーブル敷設作業を中止した。電源復旧作業がさらに遅れる可能性が出てきた。

東電や保安院によると、被曝した3人の作業員は、
3号機のタービン建屋でケーブルを敷設している最中に、足元にあった水につかったとみられる。
水からは通常の原子炉内の冷却水より約1万倍強い放射能が検出された。

保安院はこの水が、使用済み核燃料の貯蔵プールより、
原子炉内から漏れ出した可能性の方が高いとみている。
水にはセシウム137など燃料の破損を疑わせる放射性物質が含まれていた。

炉内は周囲より高圧を保っていることから、
原子炉圧力容器に亀裂などの大きな損傷があるわけではなく、
壊れた配管などから蒸気や水が出て流れ着いたのではないかという。
原子炉のある建屋はタービン建屋の隣にある。
作業員らがいた地下1階は直接通じていないものの、1階は扉を通じて行き来できる。

水たまりは1、2号機でも見つかった。
1号機のタービン建屋地下の水たまりで24日採取した水からは、
3号機とほぼ同じレベルにあたる
1立方センチ当たり380万ベクレル(放射能の単位)の放射能を検出した。

東電は25日、原子炉を冷やすための消防ポンプによる注水作業について、
1号機と3号機を海水から真水に切り替えた。
塩分によって炉の周りにある配管や機器が傷んだり、詰まったりするのを防ぐためだ。
2号機についても準備が整い次第切り替えるという。

電源関係では、1、3号機に続き、2号機の中央制御室の照明復旧に向けた作業が進められた。

(2011年3月26日3時0分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY201103250550.html

被曝作業員の放射線量は2~6シーベルト やけど治療も

 福島第一原発で被曝(ひばく)した作業員2人が、
汚染した水につかっていた足に浴びた放射線量は、
約2~6シーベルトと推計されることがわかった。
2人を検査した千葉市の放射線医学総合研究所(放医研)が25日に発表した。
10日ほどして足にやけどの症状が現れ、治療が必要になる可能性があるという。

 労働安全衛生法などで、作業員らが緊急作業時に皮膚に受けていいとされる放射線の限度量
(1シーベルト)の2~6倍に当たる。
今回の原発事故で1シーベルト以上の高線量の被曝は初めて。

 国際放射線防護委員会(ICRP)によると、
今回のように皮膚の限られた部分に3シーベルト被曝した場合、一時的な脱毛が起こり、
6シーベルトでは赤い斑点ができる。
単純に比べられないが、全身の被曝量が3~5シーベルトだと半数の人が亡くなるという。

 放医研によると、2人とも現状では全身の状態に問題はない。
白血球の数の変化や皮膚の状態を観察する。
吸い込んだ放射性物質による内部被曝もあったが、治療は必要ないとみられるという。

 2人は24日、原発の復旧作業中に汚染された水が靴の中に入り、くるぶしから下に被曝した。

(2011年3月25日23時11分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY201103250508.html