守田です(20210221 23:30)

● 主だった変化は報じられてないもののそもそもざっくりとしかわからない

2月19日に東京電力が衝撃的な発表を行いました。福島第一原発1号機と3号機の水位が減っていると言うのです。
13日の震度6強(サイト付近では震度6弱)の地震で格納容器の損傷が拡大したと思われるとのこと。さらに拡大が続けば極めて深刻な状況になるのでどうなることかとウォッチを続けていますが、後続の発表も報道も出て来ない。
それでいろいろと調べてみて、事態がかなりざっくりとしか報じられていないことが分かりました。


福島第一原発の水位低下を報じるTBS(20日)

まず後続の報告では東京電力ホールディングスのホームページに「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」というコーナーがあり、水位について次のように報告されています。(21日午前11時現在)

1号機:現状の水位は、水位計L3(T.P.+6,264mm)と温度計T2(T.P.+5,964mm)の設置位置の間にある。(原子炉格納容器底部はT.P.+4,744mmである)
3号機:現状の水位は、水位計L3(T.P.+10,064mm)と水位計L2(T.P.+9,264mm)の設置位置の間にある。(原子炉格納容器底部はT.P.+4,044mmである)

極めて分かりにくいですが、水位はどこかというと1号機なら水位計L3と温度計T2の間ですからその間の300ミリにあるとされているわけです。なおそれから原子炉格納容器底部の数値を引いた値が実際の水位になります。
3号機の場合はこの間が800ミリ=80センチとなっている。その80センチもの幅のどこかが水位だということで、その低下が続いているのか止まっているのかどうかもここからは分かりません。
ともあれ30センチの間のどこか、80センチの間のどこか・・・としかここからは分からない。

では19日以降の変化は確認できるのかというと19日の発表後に出された20日の日報でも同じことが載せられている。つまりやはり水位計と温度計の間にあるとされていて変化があったかどうか確認できないのです。
損傷が拡大しているのか、とりあえずは止まっているのか、肝心なことが霧の中です。

● 情報開示が少なすぎるー東電を撤退させて廃炉公社に作業を任せるべきだ

こんな状態で東電はきちんと水位を把握できているのでしょうか?
実は19日の会見では別のデータも出されていました。水位が減ると当然にも水の体積が減るので格納容器に与える圧力が下がります。
圧力の変化は水位よりもリジットに把握されているので、この圧力からの水位の推定値(詳しくはS/C圧力から水頭圧換算で計算した評価値)では14日から15日かけてはじまった水位低下の進行具合がグラフで表されています。


東電19日発表の資料より

この続きが出されれば少なくとも水位が下がり続けているのかどうかはより推測しやすいのでこれを出すべきですが、大雑把な報告しかなされていない。事態の深刻さに比して情報開示が不十分であり、残念なことにマスコミの追及も少ない。
このため水位がどうなっているのか分からないし、東電が分かっているのかどうかも分からない。あらためてこれが東電の起こした原発事故なのだと痛感しています。
放射線値が高すぎで必要な多くのことがリジットにつかめないことと東電の情報開示不足、ないし隠ぺいがいつも折り重なっている。

そもそもこれまでたくさんのウソや隠ぺいを行ってきた東電ですから、ひょっとして地震による汚染水漏れの拡大をいいことに、溜まっているものを海に放出しているのではないかとの疑念も生じてしまいます。
いやそもそもまさにいま柏崎刈羽原発でもウソ、不正、隠ぺいを繰り返している東電に、これ以上、事故収束および廃炉作業を任していてはいけないのです。真っ当でうそをつかず、情報をきちんと開示してくれる人々に代えないと。
そのためには東電とは利害を共有しない廃炉公社を作り作業を任せるべきです。この声を大きくしていきましょう。

#福島第一 #水位低下 #格納容器損傷 #東電 #廃炉公社を #震度6強

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