守田です(20210115 19:00)

● 今宵、大飯原発4号機が再び動きだそうとしています

関西電力が本日15日夜にも大飯原発4号機を再稼働しようとしています。17日に送電を開始し、来月中旬に営業運転を再開するとされています。
トラブル続きの加圧水型原発である大飯4号機の再稼働は大変、危険であり強く抗議したいと思います。
また大飯原発から最低でも250キロ圏内のみなさんは、万が一の事態への備えを開始していただきたいです。

関電はこれまで、高浜3、4号機、大飯3、4号機の4原発を新規制基準のもとで再稼働させましたが、昨年11月3日に大飯4号機が定期点検入りして以降、原発ゼロ状態が続いてきました。
こうなってしまったのはトラブルが続いたのと、特定重大事故等対処施設(特重施設)の建設を怠ってきたからです。
具体的には高浜3号機が昨年1月から5月の予定で定期検査に入ったものの、蒸気発生器細管に損傷がみつかって動かせなくなり、そのまま特重大施設設置期限の8月2日を迎えて動かせなくなりました。

高浜4号機の場合は順番が逆。特重施設を作らないまま設置期限の10月7日を迎えて動かせなくなり、定期点検に入りましたが、12月に3号機と同様の蒸気発生器の配管損傷が見つかりました。
大飯3号機は7月20日から定期点検に入りましたが、8月31日に一次冷却系統の蒸気発生器周辺で分岐した配管に傷が見つかりました。関電はそのまま再稼働しようとしましたが、規制委員会がストップをかけて動かせなくなりました。
このため大飯4号機も同じ配管の調査などを余儀なくされ、当初の昨年12月中旬の再稼働の予定が今日まで伸びてしまっていたのです。


再稼働に向かう大飯原発4号機について報じるMBS NEWS

● 関電の原発はトラブル続き。裁判も無視。特重施設も未完成。むちゃくちゃです

関電は大飯4号機には配管損傷が見つからなかったからと再稼働を強行しようとしていますが、問題が山積しています。
まず何よりも重要なのは、再稼働した4つの原子炉のうち3つで一次冷却系統の配管で損傷が見つかったこと、しかも定検の度に見つかっていることから明らかなように、加圧水型原発はまったくの欠陥炉だということです。
しかも一次冷却系統は原子炉の中核部です。ここでの配管破断はメルトダウンに直結してしまう危険性をはらんでいます。約320度で約157気圧もの冷却材が回っているのですぐに大事故に発展しうるのです。大飯4号機再稼働は危険です。

二つ目に大飯3、4号機は昨年12月4日の大阪地裁判決で、規制委員会が発した再稼働に向けた設置許可の取り消しが命令されていることです。
理由はこの原発の耐震強度を決める際に、関西電力が過去にこの地域で起こった地震の震度の平均値を用い、それを規制委員会が許可しているがおかしいというもの。当然にも平均の周りにばらつきがあるのに考慮されていない。
この裁判の効力は関電と国が控訴したことによって停止中ですが、しかし「規制委の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」という地裁判決を無視する関電と規制委員会の姿勢は大問題です。

さらに冷却系統が度々故障を起こし、地震の想定も大甘な上に、大飯原発が特重施設を今なお作られていない点も問題です。これはこの施設の期限のまるで詐欺のような延長の繰り返し構造によるものです。
そもそもこの施設は、「福島原発事故の教訓を踏まえたもの」とされつつ2013年に規制委員会が求めたもの。ところが最初から5年の猶予が与えられました。それでも2018年までにどの電力会社もこれを作りませんでした。
すると規制委は原発停止を命じる代わりに期限を再延長しました。しかも申請をしてから5年としたため一番遅くに申請した大飯3,4号機の期限が2022年8月21日となり、それまで特重施設なして運転して良いと言うのです。滅茶苦茶です。


加圧水型原発の構造 蒸気発生器、冷却材ポンプ、一次冷却材配管などがたびたび壊れる 福井原子力環境監視センターHPより

● 危険な原発を止めよう。災害対策もしっかり進めよう

このように大飯4号機は危険を承知で、しかも判決を無視し、特重施設も作らぬままに再稼働しようとしています。暴挙です。ものすごい危険性が再び生まれてしまいます。
これに対して大阪地裁判決を勝ち取った裁判闘争でも奮闘してくださったみなさんが、14日に大阪高裁に向けて、控訴審判決が出るまで設置許可の効力停止を求める申し立てを行ったくださいました。
ニュースを貼り付けます。まだ動画も観れますのでぜひご覧下さい。大阪地裁の裁判に続いての力強い行動に心からのリスペクトと感謝を捧げたいです。


「安全性審査過程に過誤がある」設置許可取り消し判決の大飯原発4号機が15日起動へ
ABCニュース 1月14日19:41配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e3f97d00269c5b803a1917dd57659fc217790ac

訴えたみなさんは「地震はいつ起こるか予測できず、あすにも被害を受ける可能性がある」と主張されていますが、まさにその通り。明日にも被害を受ける可能性があるのです。
とくに2020年はそれまでの年に比べて、震度5以上の地震がとても少なかったのでかえって不安です。その分、日本列島とその周りにエネルギーが溜まっている可能性が高いからです。
いつかは必ずやってくる東南海トラフ地震などが近々起こる可能性だってあります。

みなさん。いま動いている原発はどれもがトラブル続きです。問題ありありの新規制基準すらがまともに守られていません。
危険な原発を止めよ!の声を高めるとともに、重大事故発生に備えた原子力災害対策を地域で、個人で重ねていきましょう!

#大飯原発 #原発再稼働反対 #関西電力 #高浜原発 #蒸気発生器 #特定重大事故等対処施設 #加圧水型原発

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