守田です(20201206 23:30)

連載「原発から命を守るために」7回目です。今回は大阪地裁判決の意義について考察します。

● 設置許可取り消しの持つ意味

12月4日、大阪地裁が大飯原発3号機4号機の設置許可を取り消す判決を出しました。これはどういう意味を持つでしょうか?
判決の理由は電力会社が地震に対して甘い想定をしている点を、規制委員会がきちんと審査していないというもの。
「規制委の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」と厳しく指摘されましたが、規制委員会は同じ基準で全国の原発を審査してるので、大飯がだめなら他も全部ダメです。

この点は極めて重要です。この国は世界の中でも有数の地震大国。
その国で地震に対してとても甘い想定をしている。こんなことありでしょうか。実はこのことは少しきちんと精査すればすぐにも分かることです。
だからこそ判決で「看過しがたい」という言葉が使われたのでしょう。


判決について報じるMBSニュース 12月4日

● 平均のみに依拠しばらつきを無視

より詳しく判決内容をみると、電力会社が想定した起こる可能性のある地震は、これまであった地震の揺れを平均したもの。
実際は当然にも平均の周りに大小にばらついているわけですから、電力会社が出した線より大きい地震が過去に来ているわけです。
だから当然上乗せを求めるべきなのに規制委がしなかった。ここが「看過し難い過誤、欠落」と指摘されたわけです。

なぜこんな単純な上乗せを規制委員会はしなかったのか。答えは明白で、上乗せしただけで補強では耐震基準を満たせず、原発を動かせずに原子力政策が終わるからです。
これを避けるためにとても甘く見積もったわけですが、これだけでもはや日本の原発政策は完全にアウトです。
この点を各地の原発を止める裁判に反映させつつ、「設置許可の取り消しをふまえ、もはや一つも原発を動かす」との声を全国から高めましょう。


同様の裁判を進めている玄海原発訴訟原告団長石丸初美さんの力強い言葉 12月5日サガテレビ

#大飯原発 #設置許可取り消し #地震と原発 #地震が平均で起こるわけがない #原発再稼働反対

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