守田です。(20110414 09:30)

日本政府による福島第一原発事故評価のレベル7への引き上げに対して
海外、とくにロシアやフランスから、過剰評価だという声が上がっています。
この事実を価値判断抜きに報じているマスコミが多いの中で、毎日新聞は
その背景に、「国際的な原発推進路線の「後退」への危機感の強さが
読み取れる」として、的確な記事を掲載しています。

またより具体的に、ロシア国営企業が進めつつあるトルコやブルガリアでの
原発建設に、事故を受けた批判の声が高まりつつありことが、4月3日配信の
記事で、指摘されています。

2本とも世界の流れを的確につかんでいると思われます。どうかお読みください。
なお、2本目の記事の中にドイツのことが書いてありますが、ドイツではフクシマの
事故を受けて、古い原発7基を暫定的に運転中止にしています。迅速な
態度だと思います。

対して日本政府は、「想定外」を連発しながら、浜岡原発など、今回のような
地震などまったく想定しないで建設し、運転してきた危険な原発のうちの
ただの一つも自発的に止めようとしていません。
その後の余震ですら電源喪失が起こったり、想定を超えた揺れがおこったり
している(女川原発で)にもかかわらずです。

政府の政策転換を早急に迫っていくことが問われていると思います。

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<福島第1原発>レベル7で国際的な推進路線に冷や水も
毎日新聞 4月13日(水)20時43分配信

 【ウィーン樋口直樹】福島第1原発事故の国際評価尺度(INES)が史上最悪
の旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に引き上げられたことを受け、
国際原子力機関(IAEA)は、チェルノブイリとの違いを強調するなど警戒感を
あらわにした。ロシアやフランスなど原発大国からは日本の「過剰評価だ」と
指摘する声も相次いだ。背景には、国際的な原発推進路線の「後退」への
危機感の強さが読み取れる。

 「原子力の平和利用」の旗振り役であるIAEAは、福島原発事故を「大きな
挑戦」(天野之弥事務局長)と受け止めている。

 天野氏はウィーンで開催中の原子力安全条約検討会合の冒頭、福島原発
事故にもかかわらず「原子力への関心の背後にある基本的な要因は変わら
ない」と指摘。国際的なエネルギー需要の拡大や気候変動、不安定な化石
燃料価格への対策として原子力の有用性を訴えた。

 一方、IAEAには「原子力安全策の確保、向上」という重要な使命も課されて
いる。このため、天野氏は「原子力の安全性に関する世界の懸念を深刻に
とらえなければならない」とも強調、加盟国などに、国際的な安全基準の
順守や透明性の確保を訴えている。

 原発推進と安全確保の両立を図るIAEAだけに、福島原発事故への評価
には慎重にならざるを得ない。

 フローリー事務次長は12日の記者会見で、日本の「レベル7」への引き
上げには理解を示しつつ「福島原発事故とチェルノブイリ事故はまったく
違う」と何度も力説。レベル引き上げに伴う過剰な警戒をいさめる格好になった。

 IAEAによると、新たに原発計画を検討している加盟国は昨年末時点で
60カ国以上。既に原発計画を実施している29カ国のほぼすべてが、計画
継続を予定していたという。

 86年のチェルノブイリ事故から25年。「原子力ルネサンス」の到来が
叫ばれていただけに、原発先進国の日本で起きた福島原発事故の評価は、
今後の国際的な原発政策の流れにも大きな影響を及ぼすことになる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110413-00000131-mai-int
東日本大震災:原発に揺さぶられる国々 アメリカ/トルコ/ブルガリア/ドイツ
毎日新聞 2011年4月3日 東京朝刊

 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の事故は、各国の原発政策
にも影響し、内政や外交を揺るがしている。

 ◆アメリカ
 ◇安全性に高まる疑念
 原発推進政策を掲げる米国では、「我が国の原発は安全」と強調する政府
に疑念の声が高まり始めた。先月29日の上院委員会で「原発の予備電源を
強化すべきだ」などの意見が出たほか、ABCテレビ(電子版)は07~11年の
過去4年間に56件の安全基準違反があったと報じている。

 この日の上院エネルギー天然資源委員会で、非営利組織「憂慮する科学者
同盟」の核技術者が証言。米国内の原発104基のうち93基が4時間と
短時間の予備電池しか備えていないことを指摘し、「(東京電力福島第1原発
事故からの)教訓を踏まえ、停電に対処する時間を確保するため十分な
容量の予備電池が必要だ」と訴えた。

 福島第1原発では、津波で予備電源が作動せず原子炉が過熱、爆発事故
につながった。

 原発への規制が守られずにいた事例も新たに判明し、ABCテレビによると、
アラバマ州の原発では09年6月、緊急時用ディーゼル発電機が長期間、
運転不能の状態になっていた。地震時の安全装置が18年間水漏れし
続けていたり、核燃料と備品を紛失したり、契約職員が防護区域内で大麻を
使用していたずさんな原発もあった。

 原子力規制委員会は「違反を発見すれば継続して監視している」として
いるが、ABCテレビは「配水管の腐食や冷却トラブルなどが繰り返し
起きている」と指摘した。【ロサンゼルス吉富裕倫】

 ◆トルコ
 ◇隣国が再考求め、外交問題に発展
 福島第1原発の事故後も地震国のトルコは自国初の原発立地計画を予定
通り進めると表明。しかし、欧州連合(EU、27カ国)加盟国で隣国のギリシャと
キプロスが「再考」を強く求め、外交戦に発展している。EU加盟を目指すトルコ
にとり、新たな障害となりかねない事態だ。

 トルコは初の原発を地中海沿岸のメルシンに計画。ロシア国営企業が近く
建設を始める。2カ所目は黒海沿岸シノップに予定し、東京電力・東芝の
企業連合と交渉中だ。

 ギリシャのパプリアス大統領は先月18日、「地震多発地帯に原発を建てる
トルコの意図は正気とは思えない」と発言し、EUの介入を求める意向を
明らかにした。

 一方、トルコのユルドゥズ・エネルギー天然資源相は、アテネとメルシン間の
距離などを根拠に安全性を強調したが、欧州の一員を自負してきたトルコに
とっては皮肉な発言となった。

 キプロスのパスハリーデス商工相も21日、「深刻な懸念」をEUに伝えた。
ギリシャの諸島とキプロスは海をはさみ、メルシンからそれぞれ約600キロと
約200キロ。EU首脳会議は25日、EU共通の原発安全基準を設定すること
などで合意し、トルコの対応に注目が集まっている。【エルサレム花岡洋二】

 ◆ブルガリア
 ◇防護服着用し、反対デモ行進
 ブルガリアの首都ソフィアで先月30日、北部ベレネで計画されている原発
建設に反対する市民約300人が、防護服を着用した姿でデモ行進した。
AFP通信が伝えた。参加者は「原発をやめろ」などと書かれたプラカードを
掲げ、建設中止を訴えた。

 ブルガリア政府は08年、ロシアの原発建設会社アトムストロイエクスポルトと
契約を結び、ドナウ川沿いのベレネにブルガリアで2番目となる原発設置を
決めた。しかし建設費用を巡るロシア側との対立や、出資企業だった
ドイツRWE社の撤退などで建設事業が中断。そこに東日本大震災が起きた。

 ブルガリアのトライコフ・エネルギー相は福島第1原発の事故後も、ロシア側と
建設に向けた協議を続ける意向を示している。【篠田航一】

 ◆ドイツ
 ◇停止命令に電力企業が提訴
 大震災後にメルケル政権が原発7基を3カ月間暫定停止したことに対し、
一部の電力企業が1日、暫定停止は違法だとして国を相手取った訴訟を
起こした。反原発機運が高まるドイツでは、地元メディアが勝訴の可能性を
報じており、メルケル政権は国民世論だけでなく、電力業界をも巻き込んだ
新たな政策見直しを迫られている。

 提訴したのは、国内で原発を運営する4電力企業の一つ、RWE社。
メルケル首相の暫定停止命令は、新たな原発の危険性が明らかになった
場合、政府は原発の運転停止命令を出す権限を持つというもの。訴状で
RWE社は「ドイツの原発は十分な安全性を満たしている」と命令の根拠が
不当だとしている。

 一方で野党や一部与党は、暫定停止でなく、無期限停止にすべきだと
政権への圧力を強めている。

 3月27日のバーデン・ビュルテンベルク州選挙では緑の党が躍進し、
同党出身の州首相が初めて誕生する見通しになったが、メルケル首相は
翌28日、一部原発の無期限停止を求めた野党の要求を拒否。だが、
同様の要求は与党からも噴出した。

 メルケル政権は、6月中旬の停止期限切れに向け、昨年秋に法制化した
原発利用延長を続行するか、一部の原発を完全停止するかの激しい攻防に
さらされるのは間違いない。【ベルリン小谷守彦】
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2011/04/03/20110403ddm007030145000c.html