守田です。(20110329 18:00)

みなさま。今日も、「ゆっくりとしたチェルノブイリ事故」が進行中です。
放射能(放射性物質)がどんどん漏れ出していますが、数値がどんどん
大きくなって、だんだん世の中の感覚がマヒしだしているように思えます。
少なくとも政府や現場の記者たちは、かなり前からマヒしてしまって
いるように思えてなりません。

記事について解説します。
一つは、原子炉のタービン建屋の地下に、大量の放射性物質によって
汚染された水がたまっているというニュースです。それがタービン建屋の
外の「たて坑」と「坑道」に膨大にたまっていて、今にも海に漏れ出し
そうになっています。想像を絶する量です。

他のニュースでは、海に漏れないための対処を始めたとありましたが、
まずは土嚢を積んでいるといいます。またポンプで他の貯水槽に送る
こともしているそうです。

この汚染水の一部から、1000ミリシーベルトの放射線が出ている。
1シーベルトです。また単位が上がってしまった。しかも毎時です。

これまで繰り返し述べてきたように、私たち一般人が浴びて良い
放射線の許容量は1年間に1ミリシーベルトです。
それに対して、今、毎時1シーベルトの放射線が出ている。
1年間になおしたら8760シーベルト、ミリになおしたら、8,760,000
ミリシーベルトです。つまり一般人の許容値の876万倍の強さの
放射線です。

さらに原発から40キロ、45キロと離れた地域でも驚くべき値が出ています。
記事には、

「北西約40キロの福島県飯舘村で26日に採取した雑草1キロ
グラム当たりから、過去最高値の放射性セシウム287万ベクレルを検出
したと発表した。北西約45キロの川俣町でも過去最高値のセシウム57万
1000ベクレルを検出」

とあります。ここでも何百万という値が出てしまっている。
ちなみに、ものによって規制値はまったく違ってくるので、単純比較は
できないのですが、水道水に対するヨウ素汚染について、乳児に対する
規制値が、1キログラムあたり、100ベクレルであることを思い出して下さい。

さらに毒性の極めて高いプルトニウムまでもが検出され始めました。
さすがに枝野官房長官も「大変、深刻な事態」と述べましたが、どれほど
多くの人が、「大変、深刻」と受け止めることができたでしょうか。

数値感覚がマヒしつつあります。
これもまた、ゆっくりとすすむチェルノブイリ事故の特徴だと思えます。
そしてこのマヒが、私たちから、放射線被ばくから身を守る力を削ぎつつ
あります。このマヒは極めて危険です。

こうした中で、一昨日、東電や保安院が誤った数値報告を行いました。
タービン建屋に溜まった水の中から、ヨウ素134が1CCあたり29億ベクレル
検出されたという内容でした。僕はこれを新聞記事で読み、目が飛び出そうに
なりましたが、少しして、本当だろうかと疑わしくなりました。

この値だと、1リットル29兆ベクレルになってしまう。そうなるとあそこにざっと
見積もっても数トンの水が溜まっているはずだから、10万兆ベクレルぐらいに
なってしまう。つまりヨウ素134だけで10万テラベクトルになる。

しかしチェルノブイリ事故の際に放出された放射能の総量ですら180万
テラベクトルと言われていて、その5%以上の放射能にあたるヨウ素が、
あの水に溜まっていると言えるのだろうか?当然他の元素もあるはずで、
これはもの凄い値を示していることになる。

いやまてまて、そもそも自分の計算はあっているだろうか。テラと億を
間違えてはいないか・・・、繰り上げを間違えていないか・・・と、キツネに
つままれたようになり、しばし検算を繰り返しているうちに、発表の訂正が
報じられたことを知りました。

当然と言おうかなんと言おうか、新聞社各社は東電を責めました。枝野
官房長官も「あってはならないこと」と指摘しました。
しかし、そもそも1CC29億ベクレルもの水があそこにあるのだとしたら、
それが、もの凄く大変なことだということ、とんでもないことになっている
ということに記者たちは思いいたらなかったのだろうか。

だからまた疑ってしかるべきことでもあったことを、記者たちもまた、
まったく理解しえなかったのではないでしょうか。だからそのまま、
記事にしたのではないでしょうか。

また枝野官房長官も「あってはならないこと」と指摘しましたが、そもそも
このような、専門家でさえも混乱して発表を間違えるような、もの凄い桁の
放射性物質が次々と漏えいしていること、この現実の方が「あってはならない
こと」であり、その現実が、どれほどの危険をもたらしているのかという点こそ
がハイライトされ、指摘されねばならないのでしょうか。

ところが数値を間違えた東電の側がたたかれている。そのような場合では
ないのに・・・。

放射能に対するマヒが始まっています。
東電、保安院、政府と、マスコミから、マヒが始まっているように僕には思えます。

こうした中で、私たちに大切なのは、私たちまでも、数値にマヒしてしまわない
ことです。

何度も繰り返しますが、私たち一般人が、年間に浴びても良いとされている
放射線の値は、年間1ミリシーンベルトです。これはこの国の法律で
定められていることです。

1ミリシーベルトの放射線を浴びると、長年経ったのちにガンになる
確率が、10万分の5生じます。50ミリシーベルトを浴びると、すぐにもガンに
なる可能性、遺伝に悪い影響を及ぼす可能性が生じます。それがこれまで
共通認識にされてきたことがらです。

そしてそこからするならば、現場でどれほどとんでもない量の放射能が
漏れ出しているか、はっきりと理解するこができるはずです。
1時間当たり1000ミリシーベルトの放射線が出ている。年間になおしたら
876万ミリシーベルトです。そんなものが今、現実に私たちの暮しの近くで
出続けているのです。

みなさん。放射線被ばくへの身構えを、きちんと取り続けましょう。
身構えの第一は、正しい知識です。

それがマヒしてしまえば、避けるものも避けられなくなる。ある意味では、
マヒした方が今は楽ですらありますが、しかし長い目で見たとき、大きな
不幸に捕われてしまいます。
それこそ、励まし合って、正常な感覚、したがって正しい恐れを持ち続ける
ことが大事です。

放射能を正しく怖れましょう!
まさに今、それが問われています。

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2号機建屋外に高濃度汚染水 地下坑道通じ漏出

建屋外への汚染水流出の様子

 東日本大震災で被害を受けた福島第一原発で、東京電力は28日、2号機の
タービン建屋から外へつながる坑道とたて坑にたまった水から、毎時1千ミリ
シーベルト以上の放射線が測定されたことを明らかにした。汚染水は容量
ほぼいっぱいとみられるが、排水作業は難航している。燃料を冷やすために
注水は止められず、水の漏出は続き、汚染水は増え続けるとみられる。
このまま行けば、大量の放射能を海など外の環境に投棄せざるを得なくなる。

 原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は28日の会見で、
「正直、大変な驚き。憂慮している」と話した。土壌や海水の汚染を引き起こす
可能性もあるというが、「どのような形で処理できるか知識を持ち合わせて
いない。原子力安全・保安院で指導していただきたい」と話した。

 東電によると、1~3号機でタービン建屋から外につながるたて坑と坑道に
水がたまっているのを見つけた。2号機の場合、たて坑は深さ15.9メートル、
坑道は長さ76メートル、容積は6千立方メートル。水の表面の放射線量は
毎時1千ミリシーベルトを超えた。その場に15分いるだけで作業員の
被曝(ひばく)限度量の上限を超えてしまう値だ。

 2号機では、タービン建屋内でも、同程度の汚染水が見つかっており、
東電は、建屋と坑道の間で水が行き来しているとみている。

 タービン建屋内は放射能を厳格に管理する放射線管理区域だが、坑道は
区域外。坑道には冷却用の海水をくみ上げて熱交換器に送る配管などが
通っている。汚染水はたて坑の出口から1メートルのところまで上がって
きており、ほぼ容量いっぱいとみられる。

 その一方で、東電は原子炉への注水作業を続けている。燃料を冷やすため、
注水を止めるわけにはいかない。だが注水を続ければ、坑道への水の
漏出が続くことになる。

 東電は対策として、タービン建屋からの水抜きを考えている。つながって
いる可能性が高いところを抜けば、坑道やたて坑の方の水位も下がるかも
しれないという。

 具体策として、あふれた水を復水器に戻そうとしている。だが、2号機では
復水器が満杯。3号機も容量に問題があり、排水作業は難航している。

 原子力安全委員会は28日夜の記者会見で、坑道の水がすでに海に
漏れている可能性もあるとの見方を示した。原発の沖合の海水を調べる
地点を増やして監視を強めるという。東電によると、たて坑の出口から
海までは約55メートル。海に漏れた跡は確認できないというが、坑道には
継ぎ目があり、防水加工は完全ではないという。

 2号機以外では、1、3号機の線量は、1号機の坑道の水表面で毎時
0.4ミリシーベルト、3号機は空間の線量で毎時0.8ミリシーベルトだった。
タービン建屋内の汚染の傾向を反映した数値になっており、いずれも
坑道と建屋内の水はつながっていると見られる。

 だが、東電の武藤栄副社長は26日の会見で、タービン建屋の地下で
汚染水が見つかったことについて、「(放射線管理区域から)外に出ていく
経路というのは設計上造っていない」と説明していた。

 また、汚染水が放射線管理区域外で見つかったのは27日午後だったが、
東電の武藤副社長は28日夜の会見で「情報は28日午後に聞いた」と述べ、
異常に気づいてから1日経って報告を受けたことを明らかにした。

2011年3月29日1時10分 朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY201103280589.html

福島第1原発 2地点で放射性物質急増 福島・飯舘村など

拡大写真

福島第1原子力発電所周辺の累積線量結果
 文部科学省は28日、福島第1原子力発電所から北西約40キロの福島県
飯舘村で26日に採取した雑草1キログラム当たりから、過去最高値の放射性
セシウム287万ベクレルを検出したと発表した。北西約45キロの川俣町でも
過去最高値のセシウム57万1000ベクレルを検出。これまで減少傾向だった
放射性物質が2地点で急増した。文科省は「採取場所が全く同じではなく一概に
評価できないが、高いレベルの放射性物質が残留していることは確かで、
農作物への影響を注視する必要がある」と説明した。

【写真特集】自衛隊による福島第1原発の空撮映像

 飯舘村の雑草のこれまでのセシウム最高値は20日採取分の265万ベクレル。
セシウムの半減期は約30年で、採取地点付近では拡散しないで残留している
可能性が高い。一方、放射性ヨウ素は20日採取分の254万ベクレルから
103万ベクレルに減少。半減期が8日のためとみられる。

 川俣町で26日採取された雑草のセシウムは25日採取の49万7000ベクレル
を上回ったが、放射性ヨウ素は66万3000ベクレルから48万8000ベクレルに
下がった。これも半減期の差が影響しているとみられる。

 27日に採取した水道水1キログラムでは、茨城、栃木、埼玉、東京など
10都県で放射性ヨウ素0.34~37ベクレル、栃木、東京など6都県で
放射性セシウム0.25~5.2ベクレルが検出された。

 28日午前9時までの24時間で採取した1平方メートル当たりの定時
降下物(雨など)は茨城県で放射性ヨウ素74ベクレル、放射性セシウム
21ベクレルを検出。他に9都県でヨウ素6.3~59ベクレル、6都県で
セシウム5.5~36ベクレルを検出した。

 都道府県に設置するモニタリングポスト(自動観測局、MP)は28日
午後5時時点で茨城県0.229マイクロシーベルトなど7都県で1時間当たりの
大気中放射線量の通常値を超えた。いずれも数値は低下傾向。

 一方、原発から20~60キロ離れた福島県内の41カ所の屋外で28日
午前6時~午後4時にモニタリングカーで調査したところ、1時間当たりの
大気中放射線量は0.3~77.6マイクロシーベルトだった。【篠原成行】

(毎日新聞 3月28日(月)22時7分配信)
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110329k0000m040079000c.html

福島第1原発:「一定程度溶融裏付け」プルトニウムで長官

枝野幸男官房長官
 枝野幸男官房長官は29日午前の記者会見で、福島第1原発の敷地内の
土壌からプルトニウムが検出されたことについて「核燃料に由来すると
思われる濃度比率のものが報告されているので、燃料棒から出ている
可能性が高いのはほぼ間違いない。燃料棒が一定程度溶融したと思われる
ことを裏付けるものだ」と述べ、核燃料や格納容器が損傷している可能性が
あるとの認識を示した。

 枝野氏は「大変深刻な事態だが、それによる周辺部への影響をいかに
阻止し、収束させるかに全力を挙げている」と述べた。【影山哲也】

(毎日新聞 2011年3月29日 11時28分 更新:3月29日 11時43分)
http://mainichi.jp/select/today/news/20110329k0000e010046000c.html