守田です。(20110328 12:50)

原発の現状です。3号機から水蒸気が激しく噴出しているそうです。
まず読売新聞の記事を紹介します。

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3号機、水蒸気が激しく噴出…陸自ヘリ撮影

 防衛省は27日、陸上自衛隊のヘリが同日午前に東京電力福島第一原子
力発電所を上空から撮影したビデオ映像を公開した。

 3号機では、これまで水蒸気が上がっていた使用済み核燃料貯蔵プール
だけでなく建屋内の別の場所からも水蒸気が激しく噴き出していた。原子炉
工学に詳しい専門家は「原子炉格納容器の遮蔽物付近から噴出している
ように見えるが、一時貯蔵プールの蒸気が狭い空間に潜り込み、噴き出て
いる可能性が高い」とした。

(2011年3月28日07時11分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110328-OYT1T00128.htm?from=main4

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記事には専門家による「一時貯蔵プールの蒸気が狭い空間に潜り込み、
噴き出ている可能性が高い」とありますが、これもあくまでも推論です。

むしろはっきりしているのは、何が起こっているかよく分からないという
ことです。モニタリングできていないのです。外から見て、何だろうと
考えているのが現状です。

これが、「ゆっくりとしたチェルノブイリ」の実態です。

3号機については、東電と保安院から原子炉が損傷している可能性が
あると発表されています。京大原子炉実験所の小出裕章さんは、
原子炉からタービン建屋に蒸気をおくる「主蒸気分離弁が壊れている」
可能性を示唆しています。事故のときに閉じるべき弁です。

いずれにせよ、冷却水を循環させる段階まで回復させるためには
非常な困難があり、時間もかかることだけは確かなようです。
そもそも何が壊れているのかも把握できていない。しかも現場が、
作業するにはあまりに困難な放射線量にさらされていることは確かです。

事態がどう進むのか。予想をするのは難しいです。言えることは、最善の道を
たどったとして数カ月以上かかって安定する。1年以上かかるという見通しもある。
その間、放射能漏れが続くということです。

しかし最悪の道をたどった場合は、すぐにも原子炉が崩壊し、中の
放射性物質がすべて外に出てしまう可能性がある。しかも1つが制御不能に
なると、作業ができなくなり、破局的事故が複合化してしまいます。

この可能性の幅の中での対処を考えるのは大変、難しいですが、一つ、
おさえておくとよいのは、最悪の場合でも、だんだんに放射能汚染が
拡大する現在の状況でも、放射性物質が日本列島をどのように流れ
うるかの情報です。

この点で参考になるものをご紹介します。
フランス放射線防護原子力安全研究所によるシミュレーションです。
この組織は、原発大国フランスの中で、原子力政策を推進している立場に
あるもので、予算はほとんど政府から出ています。

事故後の数日間に、チェルノブイリ事故で放出された放射性物質の1割に
あたる放射性物質が、外部に放出されたと試算しています。
原発の最も強い推進者の側からみても、このように試算されていることには
重みがあると思います。

以下、次のものをご覧ください。

「2011 年3 月12 日より福島第一原子炉から放出された
放射能雲大気中拡散シミュレーション」
http://www.irsn.fr/EN/news/Documents/irsn-simulation-dispersion-jp.pdf

フランス放射線防護原子力安全研究所IRSN
http://www.irsn.fr/EN/news/Pages/201103_seism-in-japan.aspx

財団法人高度情報科学技術研究機構によるIRSNの説明も貼り付けて
おきます。

 放射線防護原子力安全研究所IRSNは、原子力安全・放射線防護総局
DGSNRの支援組織である。商工業公社(Public Establishment)の性格を
もっており、その主な業務は、(1)原子力利用に関する研究計画の遂行、
(2)放射線防護の訓練教育、(3)原子力利用に関する放射線モニタリング、
(4)原子力情報の公開、(5)原子力と放射線利用に関する技術支援、
(6)非常時の支援、(7)技術相談、研究開発および計測などの契約業務
等である。
 2007年度の収入は299百万ユーロ、支出266百万ユーロ。政府の資金は、
補助金、運転費等を含め245百万ユーロである。人員は、原子力の安全、
放射線防護、核物質管理、医学、農学、獣医学等の分野の専門家、
技術者、研究者等で約1,700人である。