守田です(20211101 18:30)

● 総選挙の結果をみるー争点が明確にできなかったのでは?

総選挙が終わりました。残念ながら野党共闘は大きな成果を出すことができませんでした。この結果をどう見れば良いでしょうか。

まず獲得議席数は、自民261(-15)、立民96(-14)、維新41(+31)、公明32(+3)、国民11(+3)、共産10(-2)、無所属10(-2)、れいわ3(+2)、社民1、N裁党0(-1)、諸派0(-1)でした。
自民は15席減らしたものの、「絶対的安定多数」と言われる261議席を獲得しました。これに対して立民、共産、ともに議席を減らしました。れいわ、社民、国民を合わせても121議席。政権交代にはるかに及ばない手痛い敗北でした。

これをどう見るのか。正直なところ、またごめんなさいでもありますが、僕には以外には思えませんでした。理由は「あまりに争点を鮮明にできていない」「明確な与党批判ができていない」と思っていたからです。
「コロナ失政」を強調しても、感染者数がかなり減り、酒類提供まで解禁の中での選挙では争点になりにくかった。また「気候危機」対策が掲げられましたが、これまた自民党自身も必要性は認めているものなので、争点とは見られませんでした。

もっと残念なのは、原発ゼロがトーンダウンされてしまったことです。これまでみんなであんなに頑張って活動してきたのに。与党は原発を「動かす」と言っているし、総裁選でも一つの論点になったのですから、明確な争点だったのですが。
さらに岸田首相自ら「新自由主義の弊害」を認め、「新しい資本主義」を言い出したにもかかわらず、新自由主義を根本から問う主張があまりに少なかったことも残念でした。問題が「分配」を厚くするかどうかに矮小化されていました。

このためにせっかくの努力の積み重ねで、各地で市民と野党の共闘が成り立ち、候補者一本化もたくさん実現したのに、議席獲得に結びつけられなかった。
大変残念ですが、でも足りなかった点をきちんとおさえ、学べば新たなる道もはっきり見えてくるのではないでしょうか。そうすれば野党共闘をここまで作り上げた意義も継承できます。

衆院選の争点があいまいだったのではと報じる日経新聞 20211101

● 再度、原発ゼロの声を上げていこう!

選挙の敗北から学んで前に進むために必要なのは、再度、社会的争点を明確にすること、そのため、原発ゼロに向けた逞しい歩みを強めることです。
巨大な事故の可能性があっても、なお原発を動かそうとするのは、与党が一部の人の金儲けしか考えてないから。被害は庶民ばかりが受ける。問題は水俣病と同じで、経済学的に言えば「実質的所得分配の不平等」なのです。

こうした不公平な社会、未来に禍根を残すあり方を正すためにも「危険な原発を止めよ。原発を容認する社会のあり方を変えよう」と言う声を強めることこそ大事です。
また実際にこの間、いくつもの原発を停めて来たのだから、ここが一番、民衆の力が発揮されている場でもあるのです。さまざまな共闘の基礎もここにある。だからこれを強めれば良い。

とくに3日後、11月4日に、広島地裁で伊方原発運転差止仮処分申立に対する決定が出されるので、全国から注目を集める必要があります。僕も急きょ、4日に広島地裁に取材に飛ぶことにしました。
決定がどうなるか予断を許しませんが、しかしこういう攻防そのものが、電力会社にとっての巨大な経営リスクになっているのです。なんとか差止判決を勝ち得たいですが、ともあれ現場に行ってきます。経費がかかるのでぜひカンパで支えて下さい!

11月4日決定文交付を告げるチラシ 当日13時30分からライブ配信もなされる ご覧になりたい方はQRコードから

● 新自由主義、そして資本主義との対決を

さらに大事なのは、自民党の総裁自身が「新自由主義」の弊害を認めているわけで、ここからより本質的な新自由主義批判、さらには資本主義批判を強めることです。
新自由主義は、すべてを市場に任せると主張しつつ、社会保障などを限りなく削っていくものです。また社会の共有の財産=社会的共通資本を「民営化」の名のもとに私営化、私物化していくものです。「分配」だけが問題なのではありません。

そのために邪魔な労働組合を潰すなど、「市場経済」とは無縁な強権発動を伴うのも特徴です。このもとで多くの労働者が権利を奪われ、非正規雇用などを強制されているわけで、この構造そのものの批判へと進まなくてはなりません。
さらに新自由主義批判だけでなく、こうした矛盾が、新古典派経済学を地盤とした現代資本主義そのものの根本矛盾としてあることを突き出していく必要があります。

その点で新自由主義の前に施行されていたケインズ主義的なバラ撒き政策が、朝鮮戦争やベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン・イラク戦争など、軍事スペンディングのもとでなされてきたことの捉え返しも必要です。
まさに戦争と軍需産業こそが、現代資本主義の基軸に居座っているのです。このあり方を変えることが目指されなくてはいけない。少なくともこうした見識を深め、広げなくてはいけません。

この間、その点を考えて「やさしい経済の話」というシリーズ動画をリリースしたのでぜひ参考にされてください。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLCRMFXzlR91ce3cE_MjlKo5YAcawU6TN8

以上、原発ゼロ運動を強めること、新自由主義=資本主義批判を強めることで、再度、民衆運動の高揚を作りだしていきましょう。
選挙の敗北を越えて、逞しく前進しましょう。

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原発の危険性の暴露、新自由主義の批判的研究のためのカンパを訴えます。とくに今回は11月4日に急きょ、広島に向かいます。ぜひこの取材を支えてください。以下からお願いします。
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