守田です(20210328 21:30)

● 規制委員会は東電の不正をまるまる見過ごしきた。規制庁にいたっては不正入室問題を握りつぶした

前回、柏崎刈羽原発をめぐる東電の不正の連続について取り上げ、東電に原発を動かす資格はない、福島原発事故の収束-廃炉作業からも撤退させるべきだと書きましたが、同じことが原子力規制委員会にも言えます。
なぜならこれほどひどい東電、不正につぐ不正を繰り返しているこの会社に、昨秋、規制委員会が柏崎刈羽原発の再稼働の許可を与えてしまったからです。
重大な不正、違反を何一つ見抜けませんでした。それだけでもう規制当局として失格です。


問題の発覚が続いていても東電の運転資格を取り消そうとしない規制委員会に疑問を投げかけた東京新聞 2021年3月24日

それどころか規制委員会の事務局にあたる規制庁は、昨年9月20日に不正入室問題が起こった際、翌日21日に東電からの報告を受けたものの、規制委員会に報告せずにこの重大情報を握りつぶしてしまったのでした。
この状態のもとに、規制委員会は9月23日に審査を終了し、10月30日に柏崎刈羽6,7号機再稼働に必要な管理手順をまとめた「保安規定」の変更を認可。事実上再稼働のゴーサインを出してしまったのです。
不正入室問題を規制委員会更田委員長が把握したのは、本年1月19日のこと。発生から4か月も把握できていなかったのです。規制庁にすぐに報告されたにもかかわらず。今回、この重大問題がスル―されている。全くおかしいです。


不正入室問題のあった直後に知らずに審査を終了し再稼働許可に向かっていた規制委員会 ANN NEWS 20200923

● 規制委員会は大甘であるがゆえに電力会社になめられてきた

今回、規制委員会は自分たちの根本問題を棚上げにして、東京電力に「厳しい」態度を取り、東電バッシングの先端にいて「なめてるのか!」と怒りをあらわにしています。
しかし待ってほしい。電力会社に対してしっかりとした規制を行ってこれなかった規制委の責任はどこにいったのでしょうか。この責任感のなさこそが、電力会社に「なめられる」事態を生んできたのではないでしょうか。


憤慨気味に「なめていたのか」と語る更田規制委員会委員長 ANN NEWS 20210317

例えば西日本に多い加圧水型原発への規制で、「テロ対策」と言われている「特定重大事故等対処施設」について、規制委は何度も設置期限を延ばしてきました。
2013年7月の「新規制基準」で設置を求めたものの、最初から5年の猶予を与えてしまい、それでも電力会社が着手せず2018年に期限切れを迎えることが明らかになるや、2016年1月に「本体施設工事認可後5年」に伸ばしてしまいました。
電力会社はそれでも期限までに作りませんでした。それで2020年3月16日に川内原発が期限切れで停止して以降、原発停止が相次ぎ、ようやく工事が本格化しましたが、この時、九電が約束した「免震重要棟」を作らないと言い出しました。
揺れでも建物が倒壊しない耐震性ではなく、揺れそのものを吸収する免震性をもった設備が反故にされたものですが、こうなってさえ、規制委は原発再稼働を認めてしまいました。これでは「なめられて」当然です。


繰り返し延長された設置期限

● そもそも新規制基準は矛盾だらけ

そもそも新規制基準が矛盾だらけなのです。新規制基準は重大事故が起きうることを前提にそれへの対応を求めたもので、抜本的にこの点がおかしい。
大嘘を見過ごしてもいます。たくさんのカルデラに囲まれた川内原発で、火山からの火砕流が来たらどうするのかが問題になったときに、九電は「大規模な噴火は10年前ぐらいには分かるのでそうしたら核燃料を原子炉から降ろす」と述べたのです。
なぜ10年ぐらいと言ったのかというと、運転後の使用済み核燃料は、放射線量も熱量も高くて5年は燃料プールから降ろせないからですが、これに対して火山噴火予知連が「噴火は直前でも把握できないことがある」と強い抗議を行っています。


規制委員会の火山リスク認識の誤りを指摘する藤井敏嗣火山噴火予知連絡会会長 東洋経済オンライン20140810

さらに規制委員会は昨年12月4日に大阪地裁に設置許可取り消しを命ぜられました。地震の評価において過去に起こったものの「平均値」が使用されていたからで、「看過しがたい過誤、欠落がある」と指摘されました。しかし判決を無視したまま。
3月18日にも規制委員会が再稼働の認可を与えた東海第二原発に対して、水戸地裁が再稼働を認めない判決を出しました。「避難計画やそれを実行する体制が整えられていない」からです。
この点で言えば規制委員会は「避難の問題は管轄外」と逃げを打っているわけですが、それで避難などできないのに「重大事故」を起こしうる原発の稼働を認めているわけです。著しくモラルが欠けていると言わざるを得ません。


水戸地裁で避難計画ができてないことを理由に東海第二の再稼働を認めない判決が NHK NEWS7 20210318

● 規制委員会から規制権限をとりあげるべきだ

ものすごく問題が重なると、さすがに電力会社に対して「厳しい」対応を口にするものの、実際には大甘で東電の不正を一つも見抜けぬばかりか、事務局の規制庁が事態の隠ぺいに加担していた規制委員会。
特定重大事故等対処施設ができないことに対し、何度も期限をのばし、免震重要棟の約束の反故なども受け入れてきた規制委員会。
その上、誰でも分かるような大ウソ(大きな噴火は10年前ぐらいに分かる)をまるのみしたり、避難計画などまったくできていないことを知りながら再稼働を認可した規制委員会。

しかもただの一度もそうした自分たちのあり方を反省したこともないこの組織に、原発の再稼働の認可を与え続けて良いはずがありません。
規制委員会から規制権限を取り上げ、新たな規制当局を立ち上げるべきです。しかもこれもまた廃炉公社と同じように、広く人材を集め公社化されたもの、透明性が確保されたものにすべきです。
そうでなければこの社会と未来を守れない。「規制委員会から規制権限をとりあげよ!」との声を上げていきましょう。

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