守田です(20190116 23:30)
● 「再稼働推進」発言は言語道断!
経団連中西会長が1月15日の記者会見で、原発の「再稼働をどんどんやるべきだと思う」と発言したことが波紋を広げています。
日立製作所会長でもある同氏は1月1日の会見で「国民が反対するものはつくれない」と正反対の発言をしていたからです。
しかも今回は原発の「新設や増設も認めるべき」だが「自治体が再稼働にイエスと言わない。これで動かせない」「公開で討論しないといけない」などとより踏み込んで発言しています。
まずもってこんな発言は言語道断です!
日立は安全対策費が高くなりすぎて採算にあわないことを理由にイギリスへの原発輸出からの撤退を表明したばかり。他国に安全対策費が高くて売れないのなら、かつて採算に合う形で作っていた国内の原発を動かしていいはずがありません。
しかも日立は大事故を起こした福島第一原発の4号機を設計した会社です。燃料プールが干上がることによる東日本壊滅という恐ろしい危機をこの国にもたらした原因企業の一つです。
にもかかわらず理不尽な免責条項によって責任を免れましたが大きな道義的責任を負っています。その日立の会長でもある中西氏のこの発言は何重の意味でも許しがたいです。
● テレ朝は「原発の議論をすると選挙に落ちると分析」と報道
ただこの発言がどのような含意をもったものであったのかについては報道の仕方でかなりニュアンスが違って来ます。
例えばテレ朝ニュースはこのように報道しています。文字起こしも加えます。
「皆、原発話は選挙落ちると・・・」再稼働で経団連会長(19/01/15)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000145307.html
「「原発の議論をすると選挙に落ちる」と分析しました。
経団連・中西宏明会長:「福島以降、原子力の真正面からの議論が不足しているのではないか。皆さん、それを言い出すと選挙に落ちると」
福島第一原発の事故以降、再稼働している原発は9基です。経団連の中西会長は「再稼働はどんどんやるべきだが、自治体がイエスと言わないので動かせない」と述べ、政府に公開の議論を求める考えを示しました。
そのうえで、政治家が議論を避ける理由を「原発の議論をすると選挙に落ちるから」と指摘しました。」
この記事では、原発に国民の反対が強いことに対し、原発推進派の政治家が選挙で原発のことを掲げようとしないことへの不満を表明したことがメインとなっています。
● 日刊ゲンダイは「安倍官邸から怒られたのでは?」という推測を掲載
中西会長発言はどうして反転したのか。以下は日刊ゲンダイに載せられた「財界関係者」の分析です。
「安倍官邸から怒られたのではないか、という見方が流れています。・・・それで慌てて官邸に聞こえるように“原発推進”を叫んだのではないか、とみられています」。
経団連会長が転換 「原発どんどん再稼働」に飛び交う憶測
日刊ゲンダイ 2019/01/16 14:50
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/245556
ちなみに日刊ゲンダイは1月1日の中西発言に対しては、旧政府官僚の古賀茂明氏の以下のような発言を掲載していました。
「経団連会長の発言は『公費投入や法制度による手厚い支援がなければ撤退せざるを得ない。続けて欲しければ、国民を説得しろ』と、政府に対して脅しをかけているように感じます。」
経団連会長が“撤退”発言? それでも脱原発が進まない理由
日刊ゲンダイ 2019/01/06 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/244900
さて本当のところはどうなのでしょうか?
続く