守田です。(20110324 12:15)

今僕は、放射能汚染の広がる現場で役に立つ内容をまとめようとしています。
危機の中でどうするか、知恵をしぼり、何か勇気がわくようにできないかを
考えています。

しかしその間にもシリアスな情報が入ってきます。無視できないのでお伝えします。
こうした情報ばかりでは辛いと思われている方への転送をどうするか、どうか
それぞれでご判断ください。

今回はまず記事から紹介します。

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1号機の炉心、一時400度に…燃料棒露出続く

 原子炉内の温度が、一時400度まで上昇した福島第一原発1号機に関して、
東電は23日未明から仮設ポンプで、海水の注水量を増加、冷却作業を進め、
午後6時現在で温度を306度まで下げた。

 しかし、燃料棒は水面から露出したまま高温になったとみられ、
圧力も上昇し、炉内の状態は不安定なままだ。
専門家も炉心の一部が溶けた可能性があるなどとし、十分な警戒が必要としている。

 元原子力安全委員の住田健二・大阪大名誉教授(原子力工学)は、
「同じように原子炉内に注水し続けている2号機の温度(約100度)と
大きな温度差があるのが気になる」と指摘。
「炉心の一部が溶け、炉内が高温になったと考えられる。
圧力容器を溶かすほどではないが、炉内が落ち着いていない。
温度は今後、急上 昇する危険性がある。細心の注意が必要だ。
最も重要なのは、炉の近くで中性子線の有無を確認し、
核分裂反応が連続して起きる臨界がわずかでも起きているのかどうかを知ることだ」と話す。

 「異常な高温状態だ」と話すのは杉山亘・近畿大原子力研究所講師(原子力安全学)。
約70気圧になる通常運転中でも水温は280度程度にとどまるとし、
「冷たい水を高温の原子炉内に入れると、(原子炉につながる)給水配管が急な冷却で、
破損するおそれもある」という。

 宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)は
「原子炉の上部と下部で同じ約400度を示したのは、燃料の上部が冠水していないというより、
水がほとんど入っていないのではないか。
圧力容器を壊すような数値ではないが、深刻な状況が続いていると言える」としている。

(2011年3月24日09時23分 読売新聞)

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以下、解説です。すでに1号機の原子炉が400度になったことは、お知らせずみ
なのですが、この記事には重要な内容が含まれています。

まず先にも述べたことなのですが、この原子炉の設計基準における耐久
温度は302度であることです。原子炉内は通常70気圧がかかっていて、それで
水の沸点が高くなるようにしています。よりたくさんの温度を水が奪えるように
です。これらから、水の沸点の280度を上回る302度までもつように設計されて
いるのです。

ところが、これが400度になってしまった。非常に危険です。「圧力容器を
壊すような数値ではない」とのコメントがありますが、後藤政志さんや田中
三彦さんは、設計基準とは、そこまでは何があっても保障するというもので
あって、その倍の強度を作っているわけではないと語っています。

さらに懸念されるのは、この圧力容器の熱が、その周りの原子炉格納容器に
当然にも伝わることです。その場合、この格納容器は、すでに設計基準の
4.3気圧を大きく超えて8気圧になる事態を経て来ており、そのときにもかなりの
ダメージがあったと思われる点です。

また中の燃料棒も相当に溶けていると思われますが、どうなっているか
把握されていません。また他の記事で、この1号機からも水蒸気が上がり
はじめ、その原因が特定されていないことも報じられています。少し前の
NHKのニュースによると、現在、4つの原発共に白煙をあげているそうです。

さてここで注目すべきは、住田健二大阪大学名誉教授の発言です。
この方は、JCO事故のときに、現場にいって、臨界事故の終息を指揮された
方です。政府が隠していたデータに関してもいちはやく公開を要求して
いましたが、今回は、「今後、炉内で温度が急上昇する可能性がある」と
指摘しています。つまり非常に危機的な状態に1号機があるということです。

また住田教授は、臨界の可能性を指摘しています。JCOで「まさかこんな
ところで」という経験をされているため、不安でたまらないのだと思います。
そのために炉の近くでの、中性子線の計測を求めています。

ここまで書いてきて、また新しい情報をキャッチしました。

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黒煙止まり電源復旧作業再開 1号機は容器内圧力高まる(1/2ページ)

 東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)では24日朝、
前日に3号機から黒い煙が出た影響で中断していた電源復旧作業を再開した。
東電が24日午前5時ごろに確認したところ黒い煙は出ておらず、
午前7時51分には前日に出た退避命令が解除された。

 1~6号機のすべてが22日までに外部電源に接続されている。
24日午前11時半には、1号機の中央制御室の照明が点灯した。

 今後、地震発生当時に運転中だった1~3号機の原子炉の冷却システムが復旧できるか
が焦点になる。

 22日夜に原発の状態を監視する中央制御室の照明が最も早く復活した3号機では、
原子炉に真水の冷却水を送り込む「補給水系」のポンプの試運転に向けた準備を進める。
24日中に動作試験にこぎ着けたい考えだ。

 1、2号機では、中央制御室での電源復旧作業を進める。
順調にいけば24日中に1号機中央制御室の照明が点灯できる可能性がある。
23日夕方に外部電源による海水注入ポンプが停止した5号機も復旧を目指している。

 15日に格納容器につながる圧力抑制室で爆発があったと見られる2号機では、
18日に原子炉建屋の隣にあるタービン建屋で、
1時間当たり500ミリシーベルトというこれまでで最も高い放射線量を検出した。
強い放射線が、復旧作業を困難にしている。

炉心の冷却については、1号機で23日未明、
原子炉内の温度が設計上の最高温度302度を超え、一時的に約400度になった。
このため、炉心を冷やす海水注入量を
1時間当たり2立方メートルから18立方メートルに増やした。
24日午前1時現在、温度は243度まで下がり、
状況は「良くなっている」(東電)とし ている。

 ただ、この1号機の圧力容器を覆う原子炉格納容器内の圧力は、
22日午前11時時点で約1.7気圧だったのが、
23日午後6時には3.6気圧まで上昇したため、
24日午前2時半に海水の注入量を1時間あたり約10立方メートルに減らして様子をみている。
23日夜に記者会見した国の原子力安全委員会の班目(ま だらめ)春樹委員長は
「個人的には1号機の圧力が高まっているのを懸念している。
(蒸気を逃がす弁操作である)ベントをしないといけないかもしれない」と話していた。

(2011年3月24日11時50分 朝日新聞)

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何かぎょっとする記事です。ここにあるように温度はなんとか設計基準値を
下回る243度まで落とせましたが、今度は圧力が3.6気圧にあがってきてしまった。
冷却のために注水を多くしたため、今度は水蒸気がたまってしまったのです。
つまり冷やすと圧力が高くなり、冷やすのを控えると温度が高くなってしまう。
圧力と温度と、原子炉と原子炉格納容器が、ジレンマとも言えるような対処の
中で、交互にダメージを受け続けているということです。

この結果、再びベントが行われる可能性があります。それ以外にない選択
で、再び水蒸気とともに放射能が排出されますが、ともあれ1号炉の危機は
そのシリアスさが強まっていると思われます。

ともあれウォッチを続けます。