守田です。(20110322 22:15)

3月20日に原子力資料情報室、後藤政志さんからの現状に対する説明が
なされました。この内容を、書き取ったので紹介します。ただし、誰かに
紹介する時は、あくまでも、守田が聞き取った内容と注意書きをしてください。

まず要約を書きます。ここでは後藤さんが話した内容に、多少の説明的な
言葉を足します。そのあとにはなされた内容をそのまま書きます。

3号機からなされようとしたベントの意味するもの

20日に3号機圧力容器の圧力があがってきたという報告があった。
破損を防ぐために、蒸気を抜こうと言うのです。その場合、格納容器
下部のプールの水を介して蒸気を出せば、放射能が水によって
落とされるが、それができない場合、そのまま出てしまう。
今回は、水を介せないので、発表では今までの10倍の濃度の物が出る
可能性があると言われた。

これはなぜ行われようとしたのか。原子炉内の冷却がうまくいかず、温度が
上がってきたからだ。再び燃料棒がむき出しになり、蒸気が発生して
原子炉の圧力が高まり、圧力逃がし弁などから格納容器内に蒸気が
うつってきた。そしてそのままの状態では、格納容器ももたなくなるため、
選択の余地のないもののとして、ベントが計画された。

ところが何らかの要因で、その後に圧力が安定して下がり始めたために
ベントは見送られた。(同じようなことは21日に繰り返されました)

こうしたことはいつまで続くのか。燃料棒がある程度、冷えて、とりだしても
問題がないところまでいくまでだが、これには数カ月では足りない、1年とか
2年とか年単位の時間が必要だそうだ。

そのためこのように危険な状態になったとか、小康状態になったとか、
その間にベントをしたとかいう状態が、1年ぐらい続く可能性がある。

臨界を起こした可能性のある4号機プール

さらに4号機燃料プールで煙があがったがこれはなぜか。
プールにはある一定の隙間をあけて、燃料棒が縦に入っているが、
これは臨界を起こさないための措置だ。
(臨界とは核分裂反応の連鎖が続けて起こっている状態のこと)

ところがそれらが地震や爆発の影響で、斜めに傾き、接近した
ことが考えられ、そのとき、水があるので臨界に達してしまった。
(核分裂は、中性子がウランにあたって起こるが、空気中では
中性子はスピードが速すぎてなかなかウランにぶつからない。
ところが水があると、水の中の水素分子と中性子が衝突して
スピードがかなり遅くなり、ウランに当たりやすくなる。このため
水のことを冷却材とともに、減速材とも呼ぶ)

それで熱が急上昇して蒸気が出たが、このころに強い中性子線が
観測されている。中性子線は、核分裂がおこらないと出ないので、
このとき臨界がおこったことが推測される。しかし臨界はすぐに
終息した。臨界が続く条件がそろわなかったためだ。

このように燃料棒は、固まってしまうと臨界を起こしやすい。では
炉心の中ではどうかというと、ある専門家より、臨界は極めて起こりにくい
と指摘された。溶けて固まって下に落ちただけでは、水がないため
連鎖反応が起こりにくいからだ。しかしまったく可能性がないわけではない。

では温度が上がって、燃料が溶けてしまったらどうなるのか。可能性と
しては、臨界して核爆発を起こすよりも、原子炉や格納容器を溶かして
外に出てしまうことがありうる。

その場合、原子炉の下のコンクリートと、溶けた燃料が接触すると、
激しく水素ガスや炭酸ガスが発生し、その圧力で、原子炉格納容器が
破裂してしまう可能性もある。

温度による原子炉格納容器の破損の可能性

また原子炉格納容器の破損については、温度の高まりの中で、金属では
ないものを使っている弱い部分が先に壊れてしまう可能性がある。
フランジという上の部分を止めているボルト部分や、電線を通して、樹脂で
充填してある部分で、ここが熱でダメになり、ここから内部の蒸気が
漏れだすと、そこから破断にいたる可能性がある。

にもかかわらず、現在原子炉格納容器は圧力情報は出ているが、温度は
分かっていない可能性がある。そのため圧力上昇ではなく、温度上昇に
よっても、格納容器が壊れてしまう可能性もある。

要約は以上です。
ここからも、原子炉の破裂という非常に厳しい可能性は、去ったわけでは
まったくないことが分かります。

以下、お話をそのまま載せます。

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後藤政志さんのお話(3月20日)
http://www.ustream.tv/recorded/13447172
3号機の圧力容器の圧力があがってきたと聞いた。
今まで、使用済み燃料プールの冷却の問題がこれまで焦点になってきた。
しかし今日、事態が変わった。

発表によると、格納容器の圧力があがってきた。破損を防ぐために
蒸気を抜こうとしている。格納容器ベントは、水を介して出すと、多少、
放射能がおちる。これを介さないと、格納容器の中の放射能が
そのまま外に出る。

発表によると、もし水を介さないでベントすると、今までより10倍の濃度の
放射能が出ると発表されている。しかしながらそのあと、圧力が小康
状態になったので、取り合えず見合わせると発表された。

そもそも格納容器の圧力があがるとは何か。

格納容器は原子炉以外には熱源がない。
燃料が原子力圧力容器の中の燃料が露出して、熱が出ている。
それを冷却しているが、十分でないとだんだん温度が高くなる。

圧力容器の温度がどんどん高くなると、圧力が高くなって、逃がし安全ベン
から格納容器に蒸気がくる。または直接、熱が格納容器に伝わる。

いずれにせよ原子炉の熱が格納容器に伝わる。いずれにせよ、原子炉の
冷却が十分でないと、格納容器の圧力があがってくることになる。

そのままほおっておくと、格納容器が圧力に耐えられなくて、壊れてしまう。
そのため放射性ガスを含んだ蒸気を外に出さざるを得ないという事態になる。

しかも以前よりどんどん放射能が強くなっている。
今回、とりあえず格納容器ベントをやめたが、またヒートアップしてくると、
格納容器ベントをやらねばならない状況になる。

こういう事態はいつまで続くのか。
この問題は冷却機能に関わる。どのように水が入っているか、循環できる
ようになるのか。詳しい状況が分からないので、言いにくい。

しかしながら、燃料棒は、ある程度運転したあとにとりだすが、どれぐらい
冷やすと問題がないかというと、少なくとも数カ月ではすまない、年単位の
可能性がある。

スリーマイル島の事故では、事故後に2年、かかっている。

どこまで冷えれば安全かというのは非常に難しいが、最終的にそのまま
外にとりだしても大丈夫だというまでには、年数単位の時間がかかる。

したがって、この問題がなくなるまでには非常に長い時間、1年とは
言わないけれども、非常に長い時間がかかることを理解して欲しい。

100万キロワット級の原子炉を運転するのに必要なウランは約21トンと
言われている。それに相当する石油の量は、30万トンタンカー5隻分である。

つまり非常に一部のウランであったとしても、もの凄い多い量の石油に
あたることを思い出してくれれば、熱量の大きさが分かると思う。

そのため圧力が上がりそうになったとか、小康状態になったとか、そういう
ことがこれからもずっと続く。

それはひとえに原子炉の中の水の量と、状態による。

今日はもう一つ話をしたい。
使用済み燃料プールでの問題だ。
4号炉で蒸気が出て、使用済み燃料プールで、ヒートアップが起こって
いることが問題になった。それで冷却しようとしたが、そもそも
なぜ熱が出たのか。

私もよく分からなかった。しかしある専門家の意見によると、ここで
4号炉は、もしかすると、燃料ラックに問題が起こった。燃料は
臨界をふせぐために距離を話して、おいてある。

そのため、燃料棒集合体が、少しずつ、距離をおいている。
ところが地震や爆発のために、斜めに倒れて距離が近づいて臨界に
なったとする。そうすると周囲に水があるので臨界になる。

そうなると非常に高温になって蒸気が出る。そうなったと推測する。
それで蒸気が出たが、そのころに強い中性子線を検出したという情報が
あった。

それはどこかで核反応がおこったということだ。

その中性子線と蒸気を合わせて考えると、4号機の燃料プールで、
部分的臨界が起こったと推測する。
ただその臨界の条件は、ウランの量と距離などによるので、いったん臨界に
なってすぐに臨界ではなくなるということもある。

したがって、臨界になったり、臨界でなくなったり、その繰り返しかもしれない。
それが4号炉における使用済み燃料プールでの蒸気の発生の可能性
である。

いくつかの質問の中に再臨界についてのものがあった。
原子炉の中で炉心が溶融して落ちると、場合によっては、再臨界が起こると
私はかつて説明した。

それに対してある専門家から、可能性としては凄く低いと言われた。

なぜかというと、溶融物が固まりとなって落ちたのでは臨界しない。
中に水が入る必要がある。

そうすると適当な量があって、ある形状になって、水も適当な量がある。
つまり臨界になる条件は厳しいので、なかなかそうはならないのではないかと
ある専門家は説明している。

私もそう思うが、再臨界は起こらないと言う事ではなくて、起こりにくい、
だから滅多に起こらないだろうということだ。

ただどうしても付け加えなければいけないのは、事故はレアケースの
かたまりであり、まったく起こらないとはその専門家もいっていない。
絶対ないとは言わなかった。

そのためしメルトダウンした場合に、再臨界よりも、蒸気爆発になる方が
可能性がある。

圧力容器の下には、制御棒などがあり、そこを通してメルトすると、溶融物
が下に落ちて、格納容器の床に落ちる。

そこにはコンクリートがあり、それと溶融物は反応する。コアコンクリート
反応という。非常に大量の水素と、炭酸ガスがでる。酸素がなければ
爆発はしないが、圧力が急激にあがって、格納容器が破損する
可能性がある。

プラントの中は圧力情報はあるが、温度情報はない。
温度が分からない。

ものが壊れるには圧力と温度の両方が関係する。
格納容器は138度の温度で設計されている。この中の温度が高くなり200度
などになると、ボルトで留めたところなどから漏れる可能性が出てくる。

金属でできているところは温度には強いが、電気配線の貫通部は、樹脂材料が
充填されていて、熱に弱い。
トップヘッドのフランジもガスケット=ゴムが入っている。
そこはシリコンゴムが間に入って、抑え込んでシールしている。
その材料が200度から300度で破損する。

ベントして圧力を逃がすといっているが、温度によっても破損する可能性が高い。
これも破損モードとしては確率が高い。

以上