明日に向けて(1629)トルコへの原発輸出断念を発表しないのは安倍首相のメンツを守るため?

守田です(20181206 17:30)

● 原発輸出断念は安倍・エルドアン会談で確認された!

トルコへの原発輸出断念に関する記事の続きです。
本日6日にようやく大手の朝日新聞がこのことを記事しました。日経のスクープに2日遅れましたが、重要なポイントが示されています。
ひとつにこの話が出てきたのが、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われた主要・地域(G20)首脳会議に出席するために同地を訪れた安倍首相がトルコのエルドアン大統領と1日に会談の場であることです。
両国首脳はこの場で「原発計画について話し合い、実現が難しくなっているとの認識を共有した」というのです。

さらに記事では以下のことが指摘されています。
「ただ、あからさまに交渉決裂の形になれば首脳2人のメンツをつぶしかねない。そこで政府は来年1月、世耕弘成経済産業相をトルコに派遣し、原発の代わりに最新鋭の石炭火力発電所をつくる計画を示す方向だ。
「『断念』という言葉まで使うかは分からないが、石炭火力の話を持って行くということは、そういう意味だ」(政府関係者)」

要するにもう原発計画は無理だとの認識に到達したのだけれど、交渉決裂になれば二人のメンツがつぶれるので、判断をぼかし、石炭火力の話にすげ替えようとしているというわけです。
しかしそんなことをしても安倍首相の進めてきた原発輸出路線が完全な破たんの寸前にあることは明らかです。
朝日新聞はこのことを意識して、主要な原発輸出計画がみなとん挫し、残るイギリスの計画も難航していることを示した図を掲載しています。記事と図を示しておきます。

断念・頓挫…行き詰まる原発輸出政策 トルコは「失望」
内藤尚志、太田成美 桜井林太郎 イスタンブール=其山史晃
2018年12月6日10時20分
https://digital.asahi.com/articles/ASLD5538WLD5ULFA01N.html

日本政府・企業の主な原発輸出計画 朝日新聞2018年12月6日記事より

● 原発を先頭で推進してきた読売新聞は政府の発表待ち・・・政府広報紙になってしまった!

一方でもっとも原発を推進してきた読売新聞は依然沈黙を守ったままです。その理由について読売新聞内部に詳しい方から驚くべき情報を得ました。
なんと今回の件、読売新聞は「政府発表を待ってから論評すると社内決定した」というのです。理由は定かではありません。しかしそれでは政府の広報にしかならないことは明らかです。
報道には「発表報道」と「調査報道」があります。政府の広報などを載せるのは「発表報道」で、取材する側が主体性と継続性をもち、真実を突き止めていこうとするのが「調査報道」です。
そもそも政府の広報を待っていたのでは、政府にとって都合の悪い事実など、明らかにできるはずもない。

実際、今回の朝日新聞の報道では、政府が計画の大失敗に直面している安倍首相とエルドアン大統領の「メンツを守る」ために、公的に認めぬまま、なし崩し的に「石炭火力」に差し替えようとしていることを指摘しています。
これに対して読売新聞の沈黙は、この後に及んでもメンツを守って逃げ切ろうとする安倍首相とエルドアン大統領を助けることにしかなりません。これに対して内部でも「報道機関としてあまりに情けない」という声があがっているそうです。

ただし読売新聞の沈黙は、安倍首相だけでなく自分たちのメンツもまた丸つぶれになってしまっているからであることも指摘しておきたいと思います。
なぜなら読売新聞こそ、正力松太郎氏のもとで中曽根康弘議員と組み、アメリカCIAとすら一体となって日本に原発を導入してきた張本人だからです。原爆に怒る日本の人々を「原子力の平和利用」の名のもとに洗脳したのがこの新聞だったからです。
その点を考える時、読売新聞の沈黙は、むしろ原子力政策が抜本的に行き詰っていることを表す顕著な事態でもあるといえるでしょう。

読売新聞が載せた「原子力講演と映画の会」の広告 1949年6月10日朝刊掲載
CIEとは、Civil Information and Education Sectionの略で、GHQの民間情報教育局。

● 原子力政策の破たんは明らか!原子力からの完全撤退を求める声を強めよう!

それにしても朝日新聞が掲載した表からも安倍政権の原発輸出路線が総破産を迎えていることは明らかです。
原発輸出は国内での新規建設がまったく見込めない中で、原発建設の技術を生き延びさせるためにも目指されてきたことでした。
その原発輸出路線が完全に破たんしてしまったのですから、原子力政策の延命策の大きな環が断ちきられたも同然です。だから読売新聞も沈黙しているのです。

私たちは日本政府が原発輸出の断念を発表しないことで守ろうとしているのは安倍首相のメンツだけではないことをおさえなくてはなりません。
いよいよ国策としての原子力政策の命運がつきようとしているのです。だからこれほどのトップニュースが、読売新聞だけでなくNHKでもいまだ報道されていなことにも注目する必要があります。
それだけ政府が、原発路線の大破綻に人々の注目を集めたくないのです。

私たちは今こそ「原子力政策の破たんは明らかだ!完全撤退せよ!」という声を上げていきましょう。
トルコの人々が美しいシノップを守り切ったように、私たちも頑張れば必ずこのことを実現できます!
頑張りましょう!

トルコ・シノップの「原発はいらない」と書かれたフラッグを持つ著者
2015年5月の「原発いらないコドモデモ」より(京都市三条河原)