明日に向けて(1512)朝鮮半島―東アジアの平和の促進のために南北首脳会談のリアリティをしっかりとつかもう

守田です(20180430 23:30)

4月27日の南北首脳会談後、さまざまな分析、憶測が飛び交っています。
和平を歓迎する論調もありますが、安倍首相の応援紙である産経新聞など「朝鮮を信じるな、圧力をかけ続けろ」と繰り返しています。

アジアから戦争の火種が無くなり、日本の植民地支配後に分断を経験してきた朝鮮の人々が和解を達成しつつあることへの共感が何もないことに、悲しくすらなってきます。もっと穏やかで、優しく、温かな感情が持てないのでしょうか。そんな思いにもかられながら次々と記事を読んでいましたが、ようやく「これは!」と思わせてくれる記事があったのでご紹介します!

南北首脳会談「対話全文」から見えた金正恩の野望と対日方針
20180429 近藤大介『週刊現代』特別編集委員
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55504

タイトルに「金正恩の野望と対日方針」とあるので南北対話をくさすものなのかなと思いましたが、読んでみてうなってしまいました。
書いてあるのは南北両首脳が行った対話の詳細な記録と分析です。
しかも筆者は朝鮮・韓国語をよく理解していて、敬語がどう使われているかに表れた両者の態度からも本音を読み取ろうとしている。
この日の会談のリアリティをわがものとするために読むことをお勧めします。

たとえばこんな発言がなされたそうなのですが誰の言葉だと思われるでしょうか。

「この席で、誰が北側の人間で、誰が南側の人間かなんて、まったく見分けがつかない。まさに感動的な場であり、われわれは分け隔てのできない一つの存在なのだという事実を、再認識した瞬間だ。
嬉しくて、胸がときめいている。本当に夢のように嬉しいです」。
「今日われわれは、悪夢のような北南間の凍りついた長い日々に、おさらばすると宣言します。そして暖かい春の始まりを、全世界にお知らせしました。本日4月27日は、新たな出発点なのです。
崇高な使命感を忘れずに、共に手をしっかりと繋いで、たゆまず努力し、たゆまず歩んで行きましょう。そうすれば必ず、よい方案を作ることができるでしょう。私は今日、そのような気持ちを、再び持つようになりました」。

答えは金正恩委員長の晩餐会での発言です。

では「金正恩の野望」を筆者がどう捉えているのかというと、米朝首脳会談で「朝鮮半島の問題に、一気にケリをつけようとしているように見える」というのです。つまり「野望」とは、一気に対米和平も達成し、朝鮮半島に平和をもたらすことなのです。
さらにその先にある「対日方針」として「南北が共同して対日政策に踏み込み、日朝国交正常化のもとでの植民地支配の賠償を共同歩調で求めてくるのでは」と分析しています。

僕はここまで正確な記録を読んでなかったし、敬語の使い方もよく分からないので、筆者と分析力そのものの違いを感じうなりもしたのですが、それでもこの分析はそう的を外してないのではと思いました。

なぜって南北の対立に終止符が打たれ、米朝・日朝の国交正常化がなされるならば、当然にも出てくるのは日本による朝鮮植民地支配への謝罪と賠償だからです。日本政府は「拉致問題」だけにしか言及していませんが、そもそも朝鮮側が拉致を認めた小泉元首相の訪問のときの宣言でも、この点が明記されていました。

日朝平壌宣言
2002年9月17日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html

「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした」。

僕も今後事態はそこに進むと思うし、かつまた日本からの誠実な謝罪と援助が実現され両国の完全な和解が促進されると良いと思います。
その中でこそ拉致問題の解決の展望も生まれるでしょう。

こうした明るい未来を切り開くためにも南北首脳会談のリアリティをしっかりとつかんでおきましょう!