明日に向けて(1486)玄海原発3号機の水蒸気漏れから考える―なぜ原発は再稼働のたびに故障事故を起こすのか・・・下

守田です(20180402 01:00)

前回の続きです。伊方原発3号機が2016年7月に再稼働を前にして一次冷却水ポンプのトラブルを起こしたことまでを書きましたが、実はこのとき僕は何度、四国電力の説明を読んでも合理的に理解することができませんでした。
それで詳しく背景を調べてみて、実はこの一次冷却水ポンプが各地の同じ型の原発でそれまでも繰り返し故障を起こしてきたことをつかみました。そのうちの一回は伊方原発3号機そのものでのことでした。
ここからこのポンプが原発の大きな弱点と認識されてきたことが分かりました。このためこの伊方原発の再稼働に向けても、四国電力はこのポンプを最新型に代えていたのでした。にもかかわらずまたも同じように水漏れが起こった。

そこから僕は「そもそもこの部品は未確立なのではないか」と考え、ここまで推論を深めた上で、元東芝の原子炉設計者の小倉志郎さんに「これは根本的に欠陥部品なのではないか」とお尋ねしました。
小倉さんから返ってきたのは想像したように「その通りだ!」とのお答でした。以下、小倉さんのお答の核心部分を抜き書きします。

「私がBWRの原子炉再循環ポンプをはじめ各種のポンプでのシール部漏洩を起こした場合に良く見たのは「シール面=こすれ合う面=に微細な異物が侵入した」という理由です。しかし、分解してみてもそんな微細な遺物が見つかったためしがないのです。
今回の伊方の場合もそうですが、本当は漏洩の原因は不明なのです。しかし、「原因不明」と公表してしまえば、「対策の妥当性」を説明できなくなります。そこで、苦し紛れの誰も確認できない理由を挙げざるを得ないのです。」

そうなのです。実はこの加圧水型原子炉の一次冷却水ポンプ、そしてまた沸騰水型原子炉の再循環ポンプは原発の深刻なアキレス腱の一つなのです。未確立なのです。
だから伊方原発3号機でも再稼働を前にして、新品に代えるなど、慎重にことをすすめてきたのにこうした故障が起きてしまったのでした。
にもかかわらず伊方原発3号機は8月にスケジュール遅れで再稼働を強行されてしまいましたが、その後、昨年秋に定期点検で停止中に、広島高裁の仮処分決定によって運転再開が禁止されました。もう二度と動かさないことが肝心です。

そして玄海原発3号機がトラブル
このようにこの間、川内原発1、2号機、高浜原発3、4号機、伊方原発3号機号機と再稼働を強行した前後に、川内1号機で2度のトラブル、高浜4号機で2度のトラブル(2回目はシャットダウン)、伊方3号機で1度のトラブルと問題が連続しているのです。
その後、残念ながら大津判決がひっくり返されて高浜3、4号機が再度稼働され、そしてこの3月末に大飯3号機と玄海3号機の再稼働が強行されましたが、そうしたら再び玄海3号機での今回のトラブルです。
ざっくりいって5割ぐらいの確率で再稼働前後の故障事故が続いている。あまりに故障事故が多いです。

なぜでしょうか。一つにはそもそも原発が技術的に未確立なものであるからです。ここが一番大事なポイントです。未確立であるというのは部品が確立してない面もあれば、装置が巨大すぎて事前に完全な点検が行えない面もあります。
とくに深刻なのは冷却水関係でのトラブルが相次いでいることです。原子炉は一次冷却水を喪失したらたちまちメルトダウンに向かってしまうことを、福島原発事故が私たちに惨い形で突きつけましたが、その冷却水系統が実は安全確保ができていないのです。

これに加えて各原発が長く稼働してなかったため、さび、腐食などが多く発生していて、さらに管理、点検が難しくなっていることです。これは装置の中を大量の水を循環させているが故の宿命です。
鉄は水に弱い。ましてや海岸のそばにあり、海水を冷却水として自らの内側に引き込んでいる原発はより一層、腐食が進みやすい構造にあり、実際は再稼働を前にその全部を点検など仕切れないのです。
このためそもそもこれまで世界で4年以上停めていた原発の再稼働は例が少なく、そのほとんどで故障事故が発生しています。原発は停めていれば停めているだけ危険性が増しますが、日本の多くの原発がもはや4年などはるかに上回って停まっています。

この上に高浜原発4号機シャットダウンが示したのは、原子炉そのものだけでなく、運転する側、点検する側の能力もまた、停止が長かったために著しくダウンしていることでした。
これらの要因が重なって、多くの人々の批判にさらされているがゆえに慎重を極めているはずなのに、再稼働に向けて点検が行き届かずに、再稼働をするとその前後で度々トラブルが繰り返されてしまうのです。

私たちがここからつかんでおかなければならないのは、現在稼働中の原発すべてが、十分な安全点検などできていないで動いているのは確実ですから、今後、どのような事故が起きるか分からないということです。
美浜原発で1991年に起こった蒸気発生器の中の一次冷却水パイプ破断事故では、メルトダウン寸前の危機が起こってしまいました。
この時、同原発は地震などの自然災害をトリガーに壊れたわけではありませんでした。ただ通常に運転しているだけでも原発は壊れてしまうときがあるのです。

結論です。
私たちがとるべき道は二つです。原発を停めるあらゆる運動を強化すること、また原子力災害対策を進めることです。
反対の運動の軸にあるのは、全国で繰り返されている原発反対のためのデモやスタンディング、座り込みなどの行動です。
先週、京都の金曜行動は301回目を数えました。今後、全国各地で300回が記録されるでしょうが、この行動こそ、この間、多くの原発の停止や廃炉を作りだしてきた原動力です。さらに頑張りましょう。
二つ目にこの間の稼働と停止を振り返っても裁判がとても有効なことは明白!すでに私たちは大飯を停める判決をひとたび勝ち取ったし、稼働中の高浜もひとたび停めました。伊方もいま動けない状態にしています。さらに力を入れていきましょう。

そして三つ目に大きいのが原発反対の自治体首長を登場させることです!
この点でいま、京都は府知事選で燃えています!京都府は関西電力の大株主ですから京都府知事の意向はとても強いのです。このため京都で多くの仲間が、原発反対を鮮明に掲げている福山和人さんを応援しています。
そもそもこの方は大飯原発差し止め訴訟の弁護団も務めてきた方!また公約で安定ヨウ素剤の事前配布も掲げています。その点では「運動」と「裁判」と「選挙」の交差した位置にあります。ぜひ応援してください。

原子力災害対策を広めるべきなのは、原発は稼働している限り、自然災害などなくとも明日にも大事故を起こすかもしれないからです。また停まっていても燃料プールに核燃料が眠っている限り危険があり続けます。
だから事故に備えなくてはいけないし、備えながらより多くの方と、原発の恐ろしさを討論することができます。
稼働反対の運動と原子力災害対策。これを一緒に進めましょう。

そのためにも全国のみなさん。京都府知事選を応援してください。まずは福山さんの人となりをよく示している以下の動画をみてあちこちに拡散してください。
2018府知事選/2・21府民大集会 福山和人さんの訴え(動画)
https://www.facebook.com/kobayashi.higashiyama/videos/1873117812763631/

京都から原発を停める声があがれば波及力は計り知れません。そのことが全国のみなさんの安全にも大きく寄与します。
みなさんの応援を心から求めます!