東北地方太平洋沖地震について( 1 )福島原発が危機に

みなさま

守田です。

今、私たちの国は大変な災害に見舞われています。
私たちの国の豊かさや平和が足許から崩れつつあります。

まだ被害の全貌は明らかになっていませんが、福島県から岩手県にかけての海岸線で、壊滅的な被害が出ていることが報告されています。昨夜には、宮城県仙台市荒浜若林区荒浜だけで、200人から300人が溺れて亡くなっていることが確認されました。
村落ごと、津波に流されてしまった村落も大変多いようです。非常にたくさんの人々が行方不明になっています。
気仙沼市でものすごい大火災がおこり、千葉県市原市のコスモ石油の精製施設や、住友金属鹿島製鉄所など、多くのプラントでも火事がおこったようです。

これらの中で、最も深刻であり、徹底した注目が必要なのが福島第一原発の冷却水の低下問題です。
すでに昨夜午後9時過ぎに政府によって、半径3キロ以内の住民への避難勧告が出されましたが、時間を追って深刻さが増し、避難勧告は半径10キロ以内に拡大しました。
さらに同原発から10キロ強南にある福島第二原発も深刻な状態になり、ここでも半径3キロ以内の避難が勧告されました。これは、ものすごく、大変なことです。
現地にいる方がいたら、ぜひ可能な限り遠くに避難してください。

冷却ができない状態が続くとどういうことが起こりうるのか。
原子炉はそもそも連続的な核分裂が起こっている場です。その際出る熱が冷却水を熱し、それが循環して、二次冷却水を暖め、それが蒸気を発生させて、タービンを回して発電にいたるのが原発の仕組みです。

ところがこの冷却ができなくなっている。原発そのものは、すでに停止してはいますが、燃料棒はまだまだかなりの熱をもっています。
そのため常に冷却水を張っておく必要があるのですが、この水が冷やされないとどんどん蒸発してしまい、水位が低くなって燃料棒が水面から頭を出してしまいます。

そうなると燃料棒が徐々に温度が高くなり、次第に燃料をつめている被覆を溶かして熔解を初めます。そうして燃料が集中すると、暴走的な核分裂が始まってしまいます。これがメルトダウン炉心溶解です。

そうなると、原子炉内はどんどん高温になり、残った冷却水が一気に蒸気化して、水蒸気爆発が起こる可能性があります。この場合、原子炉の蓋が開いてしまう可能性が高いです。
そうなると原子炉から水蒸気にのって大量の放射能が大気中にでます。確実に数百キロが被曝します。これはチェルノブイリで実際に起こったことです。
また燃料棒の被覆の金属が大量に溶け、これが冷却水と接するなかで大量の水素が発生し、水素爆発が起こってしまう可能性もあります。

しかしこれは最悪の事態のレベル1です。さらに、それでも集中した燃料棒の暴走が止まらなかった場合、原子炉そのものがどろどろに溶け、原子炉格納容器を破って潜っていきます。これだと、原子炉の中にある放射能のすべてが大気中に出てしまいます。こ

の状態でさらに水素爆発などが重なると、もう本当に最悪の状態になります。今、進行中なのは、こうしたことになりうることもある事態です。
万が一、こうしたことが起こるとどうなるか。想像するのはイヤですが、とにかく莫大な人々が被曝します。さらに膨大な地域が、人が住めない地区になります。チェルノブイリでは、半径数百キロが廃村になりました。炉心が炉内に残ったにも関わらずです。

そうなると私たちの国には、膨大な数の難民が発生します。さらに首都圏が麻痺し、経済が崩壊し、ほとんど国家崩壊の状態になります。
さらに連動して日本発の世界大恐慌が勃発するでしょう。そうなると投機屋がすぐに食料・燃料を押さえてしまうでしょうから、それらの価格が高騰し、世界的な飢餓が広がる可能性すらあります。
原発一発の事故で世界が大混乱にいたるわけですが、その可能性が今、福島で進行中です。

現在的には、福島第一原発第1号機において、原子炉内の水蒸気気圧の上昇のために、放射能が外に出るのもやむなしと考えて、手動で原子炉の弁をあけて、圧力を外に逃がす作業が行われているところです。
このままでは大爆発必至ととらえて、原子炉格納容器を開けるという、およそ原子力行政にとっては、あってはならない選択に踏み込んでいます。
しかしそれでも冷却水の蒸発が止まらず、水位がどんどん下がってとうとう燃料棒の一部が冷却水の上に頭を出してしまっているとのこと。そうなると高温化して、燃料棒が溶けて崩壊し、炉心にたまっていく可能性がますます高いです。
できることは、冷却がうまくいくことを祈るのみですが、同時に万が一のときに、非被災地の側は、発生する難民を受け入れる準備を始めるべきだと思います。少なくとも僕はそんな気持ちで情報を調べています。

とにかくこの被災は現段階でも確実に阪神大震災を上回っています。本当に大変です。それに原発の暴走が加わったら、第二次世界大戦以来、最悪の状態に私たちの国はおかれるでしょう。
それは他国にも深刻な影響を与えるでしょう。本当にそうならないことを祈るばかりです。

福島原発の現場がどうなっているかは分かりませんが、暴走を食い止めようとしている人々は、ほとんど特攻隊のような状態で奮闘しているようです。
さきほども、このままでは作業員の被曝が必至ということで、作業方法の検討が行われているという報道もなされました。

チェルノブイリでもたくさんの消防士が、原子炉の蓋があいた原発に突入していき、その後に多くが本当に深刻に被曝して苦しんで、亡くなっていきました。
今、日本中から、多くの医師達、医療スタッフ、消防スタッフ、その他の救助隊の方達が、続々と被災地に入っており、その中には、今まさに原発に近づいている人々もいるでしょう。
なんとか冷却が復活して、事態が収まって欲しい。本当に祈るばかりです。

ともあれ今は情報ウォッチを進めます。

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(1)への付記(20110404)

タイトルを見やすくするために、
「福島原発が危機に」に直します。

なお、この連載初期の記述には幾つかの間違いがあります。

一つには「原子炉はそもそも連続的な核分裂が起こっている場です。その際出る熱が冷却水を熱し、それが循環して、二次冷却水を暖め、それが蒸気を発生させて、タービンを回して発電にいたるのが原発の仕組みです」と書いてあること。
これは関西電力などに使われている加圧水型原発の構造です。FUKUSHIMAは、沸騰水型と言って、炉心を回っている水がそのままタービンを回してます。これに接する二次冷却水を海から引き込んでおり、ここに熱を移して海に捨てています。

二つに
「そうなると燃料棒が徐々に温度が高くなり、次第に燃料をつめている被覆を溶かして熔解を初めます。そうして燃料が集中すると、暴走的な核分裂が始まってしまいます。これがメルトダウン炉心溶解です。」と書いていますが誤りがあります。
メルトダウンは、冷やせなくなった燃料が溶けだして塊になり、下に落ちて行くこと、炉を突き破ってしまうことを指します。
この際、暴走的な核分裂は伴いません。冷却できないといわゆる「崩壊熱」によって、高温になり、やがて自分で溶けていくのです。

この場合に、核分裂が始まり、(再臨界)、暴走していくと、燃料は溶けるより、核爆発を起こしてしまう可能性があります。
この可能性は非常に低いとされていますが、ゼロとは言えません。

ともあれここの記事では、燃料が高温になって溶けていき、炉を破ってしまうこと(メルトダウン)と、燃料が固まった際に核分裂(再臨界)がはじまることが、十分に分けて考察されていません。

この点をお詫びして訂正します。