2013.06.25

明日に向けて(694)沖縄慰霊の日に思う・・・基地問題を解決してこそ、私たちの人権は確立する!

守田です。(20130625 07:30)

6月23日は「沖縄慰霊の日」でした。沖縄戦で亡くなられたすべての方の霊に、心からの祈りを捧げたいと思います。
この日が「慰霊の日」とされているのは、「組織的戦闘としての」沖縄戦が、この日に日本軍司令官牛島中将の自決によって集結を迎えたという解釈があるからです。しかし実際には牛島中将が「最後の一兵まで戦え」という命令を残したため、その日以降も、日本軍による抗戦と米軍による掃討戦が長く続けられました。

沖縄戦では日米両軍の兵士におびただしい死傷者が出ましたが、同時に沖縄の人々が戦闘に巻き込まれ、島の人口の三分の一から四分の一と言われるほどの大量の死者を出しました。沖縄の方たちはほとんどの方たちが戦災死亡者のご遺族です。
どうしてこんなに大量の住民の死者が出たのか。「小さな島が戦場になったから」・・・だけではありません。日本軍に島民を守る意識が極めて薄く、米軍との組織だった戦いに敗れて以降、避難民が押し寄せていた沖縄本島南部に敗残兵が住民に紛れて押し寄せたこと。これに対して同じく住民を保護する精神の脆弱な米軍が、徹底した攻撃を行い、兵士も住民も無差別に殺戮したことが原因です。

日本軍はただ住民を戦闘に巻き込んだだけではありませんでした。沖縄の人々を守る意識が希薄なばかりか、信用もしていなかった日本軍は、沖縄の人々が米軍のスパイをするのではないかと疑い、米軍への投降を一切、禁じてしまいました。そのため住民は米軍に猛攻撃を受ける日本軍との行動を余儀なくされたのでした。
しかも沖縄に多くあった洞窟(ガマ)に避難した住民のあとから日本軍が押し寄せ、洞窟から追い出したり、赤ちゃんの泣き声が米軍に聞こえるからと殺害された例も多々ありました。挙句の果てには、米軍の捕虜にならないためにと、軍による集団自決が強いられたり、スパイ嫌疑での処刑すらが行われました。

これらを見たときに、沖縄戦における大量の犠牲は、日米両軍に全面的に責任があることがはっきりとしています。
にもかかわらず、日本政府は沖縄の人々にきちんとした謝罪をしたことがありません。沖縄における戦争犯罪者の処罰を自ら行ったこともありません。もちろんアメリカの、明らかな戦争犯罪である大量の島民殺害への抗議・謝罪要求を行ったことも一度たりとてありません。

「鬼畜米英打倒」を叫んで、国民・住民を戦争に駆り立て、とくに沖縄では基地建設から残酷な地上戦への全面協力を強いながら、戦後に沖縄をアメリカに売り渡し、基地としていいように使用させ、沖縄の人々の人権を踏みにじり続けてきたのが私たちの国の政府です。
同時に、沖縄島民の戦闘による大量虐殺など何も反省せず、戦後一方的に土地を摂取して基地を作り、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン、イラク戦争等の拠点に使い、その間、さまざまな基地被害を島民にもたらしてきたのがアメリカ軍とアメリカ政府です。

ここにもあの戦争以来、まったく正されていない不正義が存在し続けている。そしてそれが私たち日本に住まうもの全体の人権を落とし込め続けているのです。沖縄が解放されなければ、私たち自身の日米両政府への隷属状態も解消されません。
私たちの隷属状態とは、広島・長崎への原爆投下や東京大空襲をはじめとした諸都市への空襲という明確な戦争犯罪や、無謀な戦争への参加を強いられたことが正されず、私たちの尊厳が回復されていない状態のことです。

にもかかわらず、こうした認識そのものが低いのが私たちの国の嘆かわしい現状です。かつて私たちが、あるいは私たちの祖父母や父母などなどが、戦争によってものすごい人権蹂躙を強いられたことがまったく回復されておらず、補償もされていません。責任者の処罰もほとんど皆無に等しい。
踏みにじられた人権が回復していないことが、その後の私たちの国の、女性の地位の諸外国に比べた極端な低さなどに象徴される、さまざまな人権レベルの低さの根本要因をなしています。だから私たちは、自らの問題として沖縄の基地被害にあえぐ現状の克服を目指さなければならないのです。

ちなみに、日本維新の会橋下共同代表は、「慰安婦は戦争において必要だった」という、今も撤回せずに強弁している性暴力発言に続き、「沖縄の米軍は風俗産業を利用すべきだ」という沖縄の人々の心を踏みにじる発言を行いました。
さらにたった今、沖縄の人々を苦しめている、米軍機オスプレイの訓練を全面的に肯定し、大阪八尾空港への訓練誘致を主張しています。そうではない。沖縄の人々は危険な訓練の全面中止を求めているのです。真の平和を求めているのです。そのことを橋下氏は無視し、蹂躙しています。

このように、日本を含むアジアの国々の人々に対しては上から目線で暴言を繰り返しつつ、アメリカには本当に卑屈な態度をとり続ける橋下氏のあり方は、私たちの国の極めて低い人権のあり方、歴史認識のレベルの低さを象徴しています。
僕はこういうものこそを「自虐史観」と呼ぶのだと思います。アメリカの戦争犯罪も基地被害も正面から批判できない。だから「風俗にいって、性的衝動をはらさせろ」などというとんでもない発言が飛び出してくるのです。

アメリカを批判するのなら、なぜ沖縄戦における暴虐をこそ批判しないのでしょうか。なぜ戦争犯罪である広島・長崎への原爆投下を批判しないのでしょうか。なぜ80以上の都市への壊滅的な空襲を批判しないのでしょうか。
その全てで行われたのは、非戦闘員の組織的かつ計画的な殺戮でした。それをまったく批判せず、沖縄を中心に日本の各地を米軍基地に提供し、列島のあちこちで危険なオスプレイ訓練も認めてしまっている。まさにこれこそが自虐でなくてなんでしょうか。

もちろんこうした傾向は、一人、橋下氏にとどまるものではなく、この国の「タカ派」だとか「右翼」だとか言われる人々に共通の傾向です。靖国神社を顕揚しながら、そこに強引に祀られている人々が「鬼畜米英打倒」と言って戦争に駆り立てられたことなど、まったく忘れている。というか本当はそんなことはどうでもいいのです。
もちろん日本軍兵士たちの過半が、構造的な虐待を受け、まさに人権蹂躙のさなかにあったことも何一つ捉え返そうともしない。つまり実際には兵士たちの苦悩など、何一つ思いやったことのないのがこの人々の共通した特徴です。だからまた兵士たちの犯した罪を捉え返し、背負うことができないのです。

私たちの前には正さなければならないことが山積しています。しかし反対に言えば、私たちの国の現状の酷さを克服するためには、何から紐解いていかなければならないのかもここからはっきりと見えています。
明白なのは、沖縄の基地問題の解決もまた、福島原発事故と、その後の大量の人々への被曝の強制という事態に、根底においてつながっているのだということです。だからこそ、基地をなくせという沖縄の人々の声を全国から我がこととして支援する中から、原発問題の根本的解決の道を切り開いていく必要があります。

こうしたことを的確に指摘するとても優れた社説が、6月23日の琉球新報に掲載されました。さすがに沖縄の新聞だと読んでいて深く共感しました。沖縄戦の実相の一断面を知るためにも、ぜひお読みください。
今も続く沖縄の人々の心の痛みをシェアしましょう。真の平和に向けた歩みを強めるために!私たちの人権の確立のために!

*****

慰霊の日 軍は住民守らず 「心の傷」抜本調査を
琉球新報 社説 2013年6月23日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-208379-storytopic-11.html

沖縄戦の組織的戦闘の終結から68年を迎えた。
「ありったけの地獄を集めた」と表現される過酷な戦場から針の穴をくぐるように生還した方々が戦後、肉体だけでなく心がひどくむしばまれ、その傷が癒やされることなく生きてきたことが、ようやく実証された。
沖縄戦トラウマ研究会が調査した沖縄戦体験者のうち、約4割が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症しているか、発症する可能性が高い深刻な心の傷(トラウマ)を抱えていた。

フラッシュバック

比較可能なベトナム戦争に従軍した米兵、阪神・淡路大震災後の被災者の約2倍だという。その理由の一つが、沖縄に駐留し続ける米軍の存在だ。
女性暴行や殺人など米兵が引き起こす犯罪によって、戦争時の記憶が突然よみがえるフラッシュバックにさいなまれる。米軍機や、強行配備された新型輸送機MV22オスプレイの爆音も同様だ。
体験者にとって戦争はまだ終わっていない。私たちはこの現実を直視しなければならない。
日本政府は、早急に全ての体験者を対象にしたPTSD調査を実施すべきだ。深刻な心の傷を抱えている方々に、適切な治療を施す責任がある。
同時にPTSD発症の一因とされる米軍被害をなくすためにも、普天間飛行場の閉鎖・県外移設、日米地位協定の改定は不可欠だ。
沖縄戦は「本土決戦」準備が整うまで、米軍を一日でも長く沖縄に引きつけておく「出血持久戦」(「帝国陸海軍作戦計画大綱」)だった。第32軍が司令部のある首里で降伏せず、沖縄本島南部の摩文仁、喜屋武一帯に撤退したのは、当時の大本営の方針に従ったからだ。
第32軍は沖縄県民を守るために配備されたのではないので、住民保護の視点は決定的に欠落していた。「出血持久戦」によって、南下した非戦闘員が戦火に巻き込まれ、おびただしい人々が犠牲になった。日本兵による食料強奪、壕追い出し、壕内で泣く子の殺害、住民をスパイ視しての殺害が相次いだ。
日本軍は住民から機密が漏れるのを防ぐため、住民が米軍に投降することを許さず軍と共に生き、軍と共に死ぬ「共生共死」の指導方針(「報道宣伝防諜(ぼうちょう)等に関する県民指導要綱」)を発令していた。そのため戦場で日本軍による命令や、強制、誘導によって親子、親類、友人、知人同士が殺し合う惨劇が発生した。県民にとって沖縄戦の教訓は「軍隊は住民を守らない」だ。

離島奪還訓練

尖閣諸島をめぐる日中の対立が高まる中で、自衛隊幹部が隊内誌に、沖縄戦を含む太平洋戦争中の島しょ防衛戦を分析、今後の作戦の教訓にしている。沖縄戦は「特別攻撃、進攻遅延海・空戦闘と地上戦闘により一定の(米軍を沖縄に引き止める)遅延効果は認められた」という内容だ。
「出血持久戦」を「一定の効果」があったと評価している。だが実態は、暗号を解読されて作戦は筒抜け、生還が許されない海と空からの特攻、急造爆弾を抱えて突撃を繰り返した揚げ句、住民を巻き込んだ無残な戦争だ。自衛隊幹部の「評価」に違和感を禁じ得ない。
別の論文によると、自衛隊が想定する島しょ防衛戦は、敵に離島(南西諸島)を占領された後、強襲上陸し奪還する。「領域保全を優先」するため「住民混在」の「国土防衛戦」を行うと明記しているのだ。沖縄戦を想起させる。この考え方に沿って現在、米国で陸海空3自衛隊と米軍による離島奪還訓練が行われているとみられる。
安倍政権は、改憲して自衛隊を国防軍に変更し、集団的自衛権の行使を容認し「戦争ができる国」づくりを進めようとしている。沖縄戦を体験し、引き続き過重な米軍基地負担を強いられている私たちとしては、到底認められない。
無念の死を遂げた方々に思いをはせ不戦の誓いを新たにしたい。

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