2013.06.13

明日に向けて(689)『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』に学ぶ!・・・2

守田です。(20130613 14:30)

前号で『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』の著者、アレクセイ・ヤブロコフ博士の京都講演の1をお伝えしました。今回はその続きをお送りします。
なお講演録は全3回でお届けしています。

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チェルノブイリから学ぶ
アレクセイ・ヤブロコフ講演・・・2

2013年5月22日 京都

さてチェルノブイリの事故に由来する放射線による障害ですが、ほとんど身体のあらゆる器官に起こります。これがいろいろと書かれているわけですが、ひとつだけ分かりやすい例を挙げてみたいと思います。
チェルノブイリから2000キロの距離にあるスウェーデンですけれども、汚染はマダラ状でして、汚染の強いところとないところとあります。ちょうど福島県の郡山市と同じ程度の汚染がある町で、学校の成績の調査が行われました。
スウェーデンでは学校の成績は市町村レベルできちんと保管がされています。その結果、分かったのは、郡山レベルの汚染地域と、汚染がないところの子どもを比較してみると、汚染と成績の悪さが完全に比例していることでした。
とくに数学において、汚染度が高ければ高いほど、成績が芳しくないという結果が出ています。

これまでは病気について話をしてきましたけれども、これからは死亡率についてお話をしたいと思います。
事故から2~4年たって、ヨーロッパ各国において死亡率があがったわけであります。これはロシアやウクライナに限られたことではなくて、各国で起こったことです。
岩波の本の171ページの図7の13~15などですが、生まれてから1年以内の乳児の死亡率です。このグラフは、ドイツとポーランドで乳児死亡率が事故後に急激に増えたことを研究書としてまとめたものでした。
さらに172ページにある図も加えて、ノルウェー、スイス、スウェーデン、フィンランド、4カ国の数字が出ていますが、これはそれぞれの政府がとっている統計をそのままグラフ化したものです。
これを見てみますと、チェルノブイリ以降の数年間の乳児の死亡率は、年々下がってはいますが、予想された数値よりもはるかに高いことが分かります。

次に死亡率全般を表したものを見ていきます。岩波の本では179ページの図7.22です。
ロシアの中でも汚染が最も著しかった6つの州と、そうではないところを比べてみたものです。汚染が著しいというのは、1キロ平米あたり1キューリーを越えているということですが、これらの地域では事故後の15年間で、そうでない地域よりも死亡率が4%高かったという統計が出ています。
もちろん一つ一つの死亡例に対して、これはチェルノブイリ事故によるものだと証明することはできないわけですけれども、しかしまとまった数値を見ると、チェルノブイリ事故以外に理由を見つけることができない高い死亡率だといえます。

汚染の著しい地域とそうでない地域との死亡率の差は、統計的な誤差と考えることはできない値です。したがって統計的に立証できる数字だと私は思っていますので、これを世界の人口全体に投影してみました。
まずこの汚染の著しい6つの地域でありますが、23万人が汚染がなかったときに比べて余計に亡くなったということが分かりました。これを世界全体に拡大すると、チェルノブイリの事故が理由で、100万人の方が亡くなったという計算を私はしたわけです。

原子力賛成派の人たちでありますが、汚染が著しい地域においては、罹病率が高いという事実自体は認めるようになりました。ただその理由は人々が放射線を恐るからだ、いわゆる「放射線恐怖症」がファクターであって、人が放射線を怖がることで、自らを病に追い込んでいると言いました。
しかしながら、例えばカエルやツルやツバメといった、汚染された地域に生息している動物にも、人間に起きているのと同じような異常が生じているわけです。例えば染色体の異常や突然変異が起きています。
また繁殖にしましても、それまでに見られなかったような異常が起こっているということが事実としてあるわけです。人間以外の動物に放射線恐怖症があるとはとても言えません。

これまでは人間に起きた変化についてお話してきましたが、チェルノブイリの事故の影響があった地域の動物、植物の調査もかなり行われていまして、調査の対象になった全てのものにおいて何らかの異常が挙げられています。そして同じようなことが福島においても、また福島の事故の影響が及んでいる地域においても起きています。

それではチェルノブイリの教訓に話を移したいと思います。
その1 放射能の影響は安全ですという、当局の公の宣言を信用してはいけません。
その2 政府から独立した放射線モニタリングを、水、空気、食品において確立しなければいけません。
その3 独立したモニタリングシステムで、体内にどれだけの核種を取り込んだのか、個人レベルで調べる体制を確立する必要があります。

私たち、現場の医者、健康を調査している研究者が集めてくる数字と、公的筋、例えばWHOが発表している数値がかけ離れているのはなぜなのかの理由ですが、WHOとIAEA,世界保健機関と国際原子力機構ですが、1959年に協定を結びました。
どういう内容かと言うと、WHOは原子力の事故の影響を発表する前に、必ずIAEAと協議をすることになっています。WHOが医師の誓い、ヒポクラテスの誓いを破るという内容になっているわけです。

私たちは何度もWHOに対して、IAEAとの協定を取り消してくださいと訴えたわけですけれども、WHOはそれをやめる気はありません。
それで6年前から、WHOの本部がジュネーブにあるわけですが、この本部前でウイークデーあれば毎日、ピケをはっています。ピケの内容は、ヒポクラテスの誓い、医師の誓いを思い出してください。チェルノブイリについて真実を語ってくれというものです。
この行動のアドレスを見ればピケの参加者にアクセスできます。またジュネーブを訪れる方もいると思いますので、1時間でも2時間でもかまいませんので、このピケの一員になってくださるととても助かります。
私がこのピケを訪問したときは、チェルノブイリだけでなく、福島についても真実を語ってくださいとWHOに訴えてまいりました。

続く

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