2012.12.20

明日に向けて(600)仙台市、福島市、釜石市、大槌町訪問を終えて

守田です。(20121220 23:30)

東北でのすべての日程を終えて、今日、花巻空港から伊丹空港を経て、京都に戻ってきました。それぞれの地で迎えてくださったみなさま、どうもありがとうございました。

今回の東北訪問はとても濃密なものになりました。随分、たくさんの人とお話し、この地域のことを今までになく多角的に見ることができたようにおもいます。その中には感動的なことも悲しくなることもありました。
毎日、現地から何かを発信しようと思ったのですが、次から次へと続く出会いの一つ一つが消化しきれないままに、どんどん時間が過ぎていったこと、また活動を終えて、旅館に入ってから、総選挙のことを含めて、いろいろなメールのやりとりが問われたこともあって、記事が書ききれませんでした。
それでも仙台の企画など、ノートテークしたものがあるので、今後、すぐにも紹介していこうと思います。

それに先立って、今日、ご報告したいのは、東北は津波からの復興がまだまだ進んでおらず、放射線防護にいたっては、あまりに不十分なままにおかれ続けているということです。
無論、そこに住まう方たちの努力が足りないのではありません。政府の取り組みがあまりに不十分なのです。放射線被曝にいたっては、相変わらずウソの「安全宣言」が繰り返されていて、放射線値が高い状態が放置され続けています。
そのため被災地以外からの東北へのサポートはまだまだ必要です。これは関東の津波・放射線被災地でも共通に言えることだとおもいます。

例えば、福島市では、町の玄関と言えるJR福島駅周辺の放射線値が相変わらず高い。駅ビルの周りで0.8μS/hぐらいの数字が出ていました。駅の近くのあるビルの周辺を依頼されて測ったところ、30μSを超えるマイクロホットスポットが見つかってしまいました。この値を上限とする計測器が振り切れてしまいました。
こうした数値が出ることは予測していましたが、実測してみて何とも悲しい気がしました。とくに駅ビルの周りを一人、道行く若者たちとすれ違いながらガイガーカウンターを持ち、0.8μSなどという数字を目にしながら歩くにはなんともやりきれな気がしました。夢なら覚めて欲しい・・・きっと福島市に住んでいる多くの人々が、こうした思いを繰り返してきていることでしょう。
あるいは大槌町では、いたるところにまだ津波で破壊されたままのビルが残っていました。震災から1年9ヶ月も経ち、政権すら変わったというのに、まだあの日、壊れたままの姿で、ほとんど崩れかけの状態で、人による解体を待っている建物がたくさんあるのです。これも無性にもどかしくなる光景です。

こうした現実に対して何が必要なのか。現実に僕が担えることとは何か。まずこの現状を被災地以外の人々に知らせることです。その中には福島のことを大槌の人々に伝え、大槌のことを福島の人々に伝えることも含まれています。ともに事実があまりに知らされていないからです。
多くの地域がまだまだ助けが必要であること、助けを受けるのはこの地域の人々の人権であり、だから当然にももっとそれが保障されなければならないことを広範に伝えていく必要がある。

同時に、今、問われているのは健康面のサポートであると強く感じました。例えば仮設住宅を訪れると、多くの方が不自由な生活の中で、運動不足になり、太ってしまっている現実もあります。仮設そのものの不自由さに加え、商店の多くも流されて、買い物が不自由だったりして、自炊が前のようにはいかないためでもあると思われます。
家族を失い、一家団欒が亡くなってしまって、食事を作る気にもなれない方もおられます。あるいは避難生活のストレスが過食に結びついたり、いろいろな要因で、栄養の偏った食事になっている場合も多いと思われます。こうした状態の上に、なかなか進まない復興へのイライラ感が加味されており、そんな状態ではどうしたって病気のリスクが増えてしまいます。
一方で放射線被曝に対しては、放射能汚染から可能な限り離れることが大切ですが、津波を受けてすでに仮設住宅で避難している各地の方たちにはそれはあまりにも困難なことです。また福島市の場合も、僕は可能な限り避難していただきたいですが、政府が財政補償の責任を無視している状態では、どうしたって多数の人が動くことができず、被曝が続いてしまっています。

ではどうするのか。一つにはやはりすべての地域の方にきちんと内部被曝の危険性を伝え、防護の重要性を知っていただくことが大切です。しかしそれで防げない被曝、すでにしてしまった被曝への対処も強めていかなくてはいけない。そのためには身体を少しでもよい状態に持っていき、免疫力を上げていくことが必要であり、かつできることです。
そのためにこの間、食べ物のことを重視し、講演でも、どのようなものをいかに食べると良いのかという内容を語るようにしてきたのですが、今回、さらに健康体操を含めた適度な運動などを通じ、身体そのもののケアしていく重要性を強く感じました。
それでこの面、放射線防護の実践的知識、これに絡む、身体を強くする食べ物についての知識、さらに健康体操など、心身の疲れを自らとり、自己治癒を可能とするスポーツ生理学などの知識を、講習会をはじめさまざまな手段で伝えていくこと、それらをセットで提供していくことが重要だと思うのです。それで健康面でのサポートをしていく。

実はこうした確信を深められた根拠として、今回の大槌町訪問に、京都OHANAプロジェクトのお仲間で、プロのスポーツコーチであり鍼灸師でもある木村克己さん(キムカツコーチ)が同行してくださったことがありました。イタリアで自転車競技者を支えてきた杉原さんという若い方も参加してくださり、身体の専門家二人と一緒の訪問でした。
とくにキムカツコーチには、仮設住宅の集会室で、健康体操の指導をしていただいのですが、これがみなさんに大受でした!内容がとても素晴らしかった。ぜひ今後、みなさんに紹介したいと思いますが、直感的に思ったのはこうした体操などのセルフケアが、放射線被曝にも非常に有効だということです。例えば有酸素運動は、身体の隅々に血を巡らせて、酸素を行き渡らせますが、それ自身が抗がん作用を持つ行為であるなどです。
それでその後に2回行った僕の講演でも、話を終えたあとにキムカツコーチに健康体操の指導をしていただいたのですが、この組み合わせもとても評判が良かった。これはいける!というか、大きな展望を感じました。

それにしても印象的だったのは、大槌町の仮設住宅に集ってくださった、50代から80代ぐらいの方たちが非常に熱心に放射能の話を聞いてくれたことでした。福島市の被曝状況にみなさんが心を強く痛めながら話を聞いてくださいました。みなさん、放射線の高い地域で苦しんでいる人々の痛みを、わがことのように嘆いてくださいました。
また僕は講演のときに、どこでも放射線による電離作用による分子切断など、被曝のメカニズムを原理までさかのぼって話すようにしていますが、それらの話もみなさんがウンウンと聞き込んでくださいました。非常に高い問題意識を持っておられる方もいました。
僕は必ず、被曝のメカニズムに続いて、では被曝してしまったらどうしたらよいのか、免疫力を上げて対抗していくことが大切だというお話しています。最近はそれと食べ物の話を連動させているわけですが、ここは本当に熱心にみなさんが聞いてくださいました。それだけにそのあとで行う健康体操が非常に有効だったのです。

今後、ぜひ、こうしたフィジカル面での健康増進とセットにした放射線防護の取り組みを強化し、それを被災地の方々にさまざまな手段、機会を通して提供したいと思います。同時にこうした内容そのものをより深化するために、ぜひ西洋・東洋双方の医師との連携を深め、かつまたさまざまな健康調査とも組み合わせる形での取り組みを作り出したいとおもいます。
各地域の市民の方たち、とくに現場のお母さんたちの持っているネットワークにもご協力いただいて、市民の側から作り出す有効な被曝対策を重ねていきたいと思うのです。

東北に行って、あらためて感じることはやはり私たちの国の被曝は深刻であるということです。放射線防護を徹底して進めたいですが、しかしすでにこれまでものすごい量の被曝が起こってしまっているし、残念ながら今後も避けらない多くの被曝が続くでしょう。
それが確実に健康被害に連なっているし、今後もそうなるだろうと僕は確信していますが、だからといってその結果を座して待っていてはいけない。健康被害をできるだけ抑え込む努力が必要です。今回の東北訪問、とくに大槌町への訪問で大きくその展望を(まだ自分にとっての展望に過ぎないにせよ)開くことができたのではないかと感じています。
そのためには、みなさんに今後もぜひとも支えていただきたいです。それで東北、そして関東へのより力強い関わりを続けたいと思います。

なお、今回、大槌町で今後の活動の発展に向けた大きな「いとぐち」を掴むことができたのは、一にも二にも、現地で非常に手厚い被災者支援、まちづくりの活動を続けている「NPO法人 まちづくり・ぐるっとおおつち」の方たちの受け入れがあったおかげです。
「ぐるっとおおつち」の方たちとは、中古自転車を東北に届ける過程で知り合いました。媒介してくれたのは、私たちの京都の友人で、震災直後から大槌町でのボランティア活動に飛び込んだ千田悦子さんでした。彼女が築いてくれた京都と大槌を結ぶ縁に助けられながら、私たちはその後の活動を展開してきています。
今回はその「ぐるっとおおつち」の皆さんが、キッチンカーを出して下さり、仮設住宅で、大槌の野菜を使ったカレーを振舞って下さいました。みんなでの食事会の楽しさもあって、多くの方が集まってくださいました。ちなみにカレーに使った食材は、吉里吉里に立ち上がった放射能市民測定所で、セシウム不検出がしっかり確認されたものでした!

いつもながらの「ぐるっとおおつち」のみなさんの手厚い受け入れに感謝を述べさせていただき、東北訪問の報告の第一段を閉じたいとおもいます。

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