2012.07.17

明日に向けて(510)復興が遅れる被災地 大槌訪問を終えて

守田です。(20120717 12:00)

先週の首相官邸前行動、そして16日の18万人集会、素晴らしいかったですね。金曜日には全国で10数箇所、同様の行動も行われました。まさに「再稼動反対」の声が全国にこだましています。願わくばこれが東北全体に広がって欲しい。そのためにも、この声が、低線量被ばくの危険性、これまで隠されてきた内部被曝の危険性とこそたたかうものへとさらに発展していって欲しいと思います。

そんなことを考えながら、僕は7月13日に岩手県大槌町に赴き、14日、15日と講演会、相談会を行ってきました。いろいろな方との出会いがありました。漁師さんから三陸の海に関する非常に貴重な情報も聞けました。
それやこれやを一刻もやはく文字に落としたいと思っているのですが、実はあまりに興奮したためか、16日より著しく体調を崩してしまいました。今、僕は岩手県一ノ関市室根山の友人のアビスさん宅にいるのですが、昨夜は持病の悪化のため、救急外来を訪ねて処置をしてもらわねばなりませんでした。アビスさんがいてくれたために助かりました。
いまは元気を回復していて、これから山形に向かいます。そのためいまは走りがきで大槌のことを書いておきます。

大槌町は津波で町の主要部がなくなってしまった町です。僕がこの町を訪れたのは昨年8月末のこと。中古自転車120台をお届けしました。そのときに町の中を車で走って、津波の猛威を実感しましたが、今回、おなじところを車で通って、第一に感じたのは「ぜんぜん復興してない!」ということでした。大変、胸が痛くなりました。

ただし、町の人々が復興に向けた努力をしてないというのではありません。例えば今回、宿泊に使わせていただいた旧大槌小学校跡地で、いまは「きらり」と言われるスペースには、仮設店舗の商店街が誕生していました。しかも嬉しいことにその一角には「七福」という焼き鳥屋さんが店を出している。

これは小川かつこさんという方が出されたお店です。この方はとても親しくしていた妹さんを津波でなくされていました。その妹さんが経営していた焼き鳥屋さんが「七福」で、「七福のママ」はとても有名だったそうです。
その愛しい妹さんの秘伝のたれを覚えていたかつこさんは、なんとしても店を復活させるのだと昨年の夏にがんばっていました。そのことを聞きつけて全国から支援が寄せられ、かつこさんは感激して、店を必ず始めるのだといきごんでいた。京都OHANAプロジェクトはそのかつこさんにも自転車をお渡しすることができたのですが、今回、たずねてみると彼女は、その自転車で元気に仮設から通ってきてくれていました。店は昼も夜も超満員。
僕もなんとかスペースをみつけてもぐりこませていただいて、秘伝のたれを味わいましたが、おいしいのなんの。そんな風に地元の方たちによる町の復興への熱意は高いのです。

ところが海岸際を走ってみると、津波で壊された防波堤がまだそのままゴロゴロと転がっている。広範な地域が、家の土台だけ残されていて、まだそれが解体されていない。いや1階がむざんに壊れて骨組みだらけになった建物がまだそこいらじゅうに解体もされずに残っているのです。
その町の一角に震災遺物(がれき)が積んでありましたが、その周りには広大な土地がなにもなく広がっている。いや土台を残したままに広がっているのです。

これをみて直感したのは震災遺物(がれき)広域処理の目的の一つが、町の復興がぜんぜん進まないことへの口実づくりではないかということでした。何せ膨大な土地がさらちになってしまっているのだから、置き場に困るはずなどない。またすでに手をつけられるところなどいくらでもある。
ところがそこに予算をまわそうとしない。壊れた堤防の修復ところか、除去すらしてない。当然、町の人々は政府は何をしているのだと思うわけです。(実際、そうした声をそこかしこで聞きました)それに対して、「がれきがあるから復興にとりかかれません」というのが口実なのではないか。現場に立ってみて、強く感じたのはそのことでした。

ちなみに大槌町の人々は、震災遺物を堤防に使いたいのだそうです。そしてそこを「鎮魂の森」にしたいのだとか。計算してみると、そのためには大槌の震災遺物だけでは足りない。だから他の地域のものを受け入れてはという声すらあるのだそうです。
放射能の問題で、鎮魂の森が可能かどうか、僕には即断できませんが、ともあれ震災遺物をそのように地元で使いたいという声は他にもいろいろあります。その意味でも広域処理などまったく間違っていることは明らかです。

ちなみに立ち寄った釜石市でも復興の様子はさんたんたるもので、わずかに地元の人々が商店を復活させている程度でした。しかしそこで放射能の話を聞いて、こんな声を聞きました。「ここいらの人は一番かわいそうなのは福島の人たちだといってるよ。だっていつまでたっても帰れない人がいるんだもの。この町は帰れないことはない。いつか復興できる。でも福島にはいつまでも復興でいない人たちがいる。あれは本当にかわいそうだよ」

そんな三陸海岸の大槌町にも、福島市渡利地区から母子避難してきている女性がいるそうです。その方は、町の姿をみて呆然とし、「こんなにたくさんの人が亡くなったところに避難してきて申し訳ありません」と泣いたそうです。
それを聞いた女性がおなじように「かわいそうなのは放射能の苦しみで帰れないこと。あなたたちの方が苦しいのだからそんな風にいわなくていいですよ」と語ったとか。

人々が痛みをたがいにいたわりあっています。その人々に対して、たいした予算を使わずに、原発再稼動にひた走っているのが今の政府です。
本当になんとかしなくてはいけないと思います。

・・・されそろそろ時間です。山形に向けて出発します。続きはまた。

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